Entrance for Studies in Finance

日産・SUBARU(無資格者検査)神戸製鋼(データ改ざん)

完成検査問題のSUBARUへの波及

 無資格者による完成検査の問題はその後 SUBARUに波及した。SUBARUでも長年 日産同様の慣行(まだ社内資格を取得する前の従業員が完成検査に携わるという)があったとされる(10月27日発表)。各メーカーが検査するのは、国の車検場に持ち込む手間時間を省力化するため。現在、輸入車についても国は完成検査を義務付けている。ただ社内資格を短期間で取得させることにして(各社により資格基準が異なりどうも弾力的に運用できたようだ)、有資格者を速成すれば、大騒ぎにならなかったのかもしれない。反面、現場では有資格者のハンコを借りて押印する行為が常態化していたということは、規制逃れの行為であることが現場の担当者も分かっていたことになる。こうした場合、資格を早くとれるように社内制度を改めればよかったのに、それを長年放置していたところに、現場に経営の目が行き届いていないことを感じる。あるいは現場の声が上に上がっていないか。現場レベルでの法令順守を、日産とSUBARUは改めて推進する必要があるのだろう。

 ある程度の経験のある工員による検査であり大騒ぎする問題ではなく、問題は過剰規制にあるとも言える、他方で逆に安全性審査の最終ステップが無資格者によって行われていたと声高に非難もできる。 

謝らない 日産社長の対応 ITmedia ビジネスonline  車の安全性の検査は、社内の研修訓練を経た完成検査員しかできない。しかし日産は無資格者による検査を常態化させていた。この問題は国交省の検査で発覚した(9月18日)

 西川社長がすべて有資格者が検査する体制に改めたと記者改憲で報告した(10月2日)。しかしその後、一部の工場では無資格者による検査が以前と同様に続けられていたことが社内調査の結果判明した。この問題はそこで日産の社内体制の在り方の問題、トップの指示が現場で無視されるのはなぜか、としても議論されることになった。トップの指示が厳正だったとすれば、これは組織の在り方としておかしい。なぜ指示は行き届かなかったのか?

 西川社長はその後、再発防止の指示が現場に行き届かなかったのは課長と係長のコミニケーションギャップがあるとの発言を記者会見で行った(10月19日)。その意味では、現場に規制を遵守する意識が徹底することがまず第一に必要だろう。その後公表された資料によれば、社内マニュアルの順守が強調される一方、法令順守の重要性が社内で十分でなかったと思える。

 社内では無資格者による検査を合理化するため、習熟度合の見極め、独り立ちの判定などが、指導員により行われることが慣行になっていた。確かに形式的な資格試験よりは業務実態に合っているようにも見える。背景には完成検査員の慢性的不足があり、合理化により慢性的な人員不足が生じているのに、現場が声を上げられず、本社は現場の実態を無視して合理化を促していた可能性がある。しかし国交省や社内の監査のときだけ、無資格者をラインからはずしたり検査員のバッジを配って不正を隠すとなると、隠蔽の意図は明らかである。資格試験そのものも教材を答えを見ながらの回答をさせていた、答案の提出後、間違いを直して再提出させていた、となると、資格試験として機能していないようにも見える。

 無資格者による審査。無資格者の審査をごまかすため有資格者のハンコを無資格者に貸すこと。国交省への届け出とは異なる場所で無資格者による検査。などが指摘されている。検査について、無資格者でも可能だという判断が現場あるいは管理職のレベルで生まれていたのではないか。なぜ資格者を置いて、その人に検査をさせているかの意味がよく考えられる必要があるように思われる。また製造現場に数値目標を掲げて、成長と利益を追求するコミットメント経営が一因との指摘)へのコスト削減の指示が結果として、原因になった可能性が指摘されている。

 11月17日に公表された報告書では、不正は38年前から続いていた可能性がある、現場の係長は実態を知っていたが課長は知らなかった、問題は現場にあったとしている。これは大変奇妙だ。40年近くの不正であれば、現在の管理職はかつて現場で実態をみていたはず。この報告書の言い方は管理職や本社経営者の責任を否定する目的があるようにみえる。西川広人CEOは、現場と管理職の意志疎通に問題があったことを認めたが。人手不足が直接の原因とする見方を否定。退任も否定した。西川氏の人手不足が直接の引き金でない、という言い方は今後も人の面で合理化を進めざるを得ないとの経営判断を示しているように見える。おそらく検査のところの合理化を法令に合わせてどうするかは、大きな経営課題なのではないか。ことは自動車というものの安全性にも関わる。人手を減らしつつ、完成検査の精度をむしろ上げる方法を探ることが、メーカーと国交省双方に求められているのではないか。

 このあとSUBARUの問題が表面化する。この連鎖 三菱自動車、日産自動車、SUBARUはとめようがないようだ。

日産 神戸製鋼 相次ぐ不祥事 Agora 2017/10/10

2017/10/11 記者会見記録 製品に影響を与えないとする神戸製鋼の主張は製品段階で品質チェックが行われるからという内容であるようだ。・・・かなり無責任としかいいようがない。この神戸製鋼の事件は8月の社内調査で事実が発覚。10月8日に副社長が問題を公表した。日産の事件と似ているのは、この公表以降も性能に関するデータ換算で不正が継続していたことである。これは現場での偽装が日常化して本流となっていたことを示すものではないか。

神戸製鋼の事件が、日産、SUBARU、SUBARUと次元を異にするのは、後者はともかく検査をして問題はなかったが検査を行ったのが有資格者でなかったという問題であるのに、神戸製鋼の場合は、品質データの改ざんを繰り返していた点である。ただ大変怖いのはリニア中央新幹線のように、高い強度が要求されるところにも神戸製鋼の部材が納入されていたこと。万一を考えると納入先が要求しているレベルの商品を供給していなかった神戸製鋼の罪は極めて深いといえるのではないか。

神戸製鋼 Free sta 2017/10/13

新たに9製品に不正 神戸製鋼 Jizi Com 2017/10/13

2017-10-27 投稿

2017-11-18 加筆修正

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