服部真澄という作家がいる。
「龍の契り」「鷲の驕り」「ディ-ル・メイカ-」が刊行されたときにハードカバーで読んだ記憶がある。
私の中で服部真澄と幸田真音は同じ系列の作家として頭の中に入っていた。
服部真澄は最新テクノロジーを題材をサスペンス調に表現する作家だ。
今回はじめて読んだ幸田真音は金融をサスペンス調に表現する作家だと思っていた。
実際読んでみるとサスペンス調ではなく、金融社会の不条理が人間の心理に与える事を題材としている。
ストーリー構成や旨さは服部真澄のほうが断然上手。
最近ではコメンテーターとしてよく見かけるようになった幸田真音の小説はいまいち。
ただ、日本が抱える「大きな悩み」はよく表現されている。
あとがきのほうが興味を持って読んだくらいよく金融社会を熟知されている。
それは当然、幸田真音の経歴によるものだ。
医者が医療小説を書くのと同じこと。
最近、大先生が「○○業界を鋭くメスを振るった快作」といった小説が少なくなった。
専門分野は職業としている人間に特化していることは自然。
視点を一般人にすれば至極当然に受け入れられる。
「タックス・シェルター」は「専門分野の人が一般人の視点から専門分野の不条理を描いた」作品。
それ以上でもそれ以下でもないといった印象でした。
ラストの展開に「へぇ~」を残した事は○。
気が向いたらまた幸田真音を読んでみよう~♪