野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

優しいピンクの花がねじれて咲く「ネジバナ」(夏の花 2022-46)

2022年07月18日 13時08分52秒 | 

優しいピンクの花がねじれて咲く「ネジバナ」。右巻きと左巻きがある。日本の固有種で、「モジズリ」というゆかしい別名もある。小さいながらもラン科の花である。「捩花のういういしさがこみあげる 高澤良一 素抱」という句を作った作者は「捩花の妻得てあれから四十年 高澤良一 素抱」という句も残している。

(2022年夏 川崎市)

 

夏の花シリーズ(2022年夏)

「キンシバイ」(初夏の花 2022-01)
「どくだみ」(初夏の花 2022-02)
「アマリリス・アップルブロッサム」(初夏の花 2022-03)
「カラー・ピカソ」(初夏の花 2022-04)
「ペンステモン・ハスカーレッド」(初夏の花 2022-05)
「オルレア」(初夏の花 2022-06)
「 サルビア・ミクロフィラ・ホットリップス」(初夏の花 2022-07)
「アスチルベ」(初夏の花 2022-08)
「ゴデチア」(初夏の花 2022-09)
「ルリマツリ」(初夏の花 2022-10)
「アネモネ・ヴィルジニア」(初夏の花 2022-11)
「ハタザオキキョウ」(初夏の花 2022-12)
「サフィニア」(初夏の花 2022-13)
「エケベリア "七福神"」(初夏の花 2022-14)
「ホタルブクロ」(初夏の花 2022-15)
「ハクチョウソウ」(初夏の花 2022-16)
「マルバシモツケ」(初夏の花 2022-17)
「ブルビネ・フルテスケンス」(初夏の花 2022-18)
「オオヒエンソウ」(初夏の花 2022-19)
「キリンソウ」(初夏の花 2022-20)
「西洋オダマキ”イエロークイーン"」(初夏の花 2022-21)
「シラン」(初夏の花 2022-22)
「ワスレナグサ」(初夏の花 2022-23)
「トキワツユクサ」(初夏の花 2022-24)
「コウホネ」(初夏の花 2022-25)
「トリアシショウマ」(初夏の花 2022-26)
「タチアオイ」(初夏の花 2022-27)
「アルストロメリア・プルケラ」(夏の花 2022-28)
「ストケシア」(夏の花 2022-29)
「オランダハッカ」(夏の花 2022-30)
「ペンタス」(夏の花 2022-31)
「ダイヤモンド・フロスト」(夏の花 2022-32)
「ヒルガオ」(夏の花 2022-33)
「トレニア」(夏の花 2022-34)
「アカリファ」(夏の花 2022-35)
「サニークラウン」(夏の花 2022-36)
「ヒメヒオウギスイセン」(夏の花 2022-37)
「サルビア・ガラニチカ」(夏の花 2022-38)
「カンパニュラ・メディウム」(夏の花 2022-39)
「ルドベキア・ヒルタ」(夏の花 2022-40)
「エキナセア」(夏の花 2022-41)
「アガパンサス」(夏の花 2022-42)
「アカンサス・モリス」(夏の花 2022-43)
「シロタエギク」(夏の花 2022-44)
「ザクロ」(夏の花 2022-45)

 

 

【ネジバナとは】

・北海道から沖縄まで日本各地に自生するラン科の多年草。日当たりの良い芝地に多いが、田畑の畔、堤防、道路の分離帯など町中で普通に見られる。夏になるとピンク色の花が螺旋状に咲き、草花に興味が乏しくてもその姿は記憶しやすい。日本の在来種だが、アジア~オーストラリアまでの広い地域に分布する。

・開花は5~8月(地域によってはさらに9~10月)。葉の間から白い短毛のある花茎が立ち上がり、その上部に直径4~5ミリの小花が咲く。一見するとランの仲間には見えないが、鐘型で横向きに咲く花には3つの「内花被」と3つの「外花被」があり、唇弁の先には細かな歯牙がある。

・ネジバナの学名はSpiranthesで、螺旋(Spira)+花(anthos)からなる。花は下から順に咲き上がり、同程度の割合で右巻きと左巻きに捩れるが、全く捩れないものもある。花には甘い微香があり、セイヨウミツバチが訪れる。

・花の後にできる果実は長さ6ミリほどの楕円形で上向きにつき、中には数十万粒もの種子が入っている。果実は熟すと自然に裂け、風によって種子が拡散されが、単独で発芽するだけの養分を持っておらず、ラン菌を寄生させて育ち、最終的にはお世話になったラン菌を分解して養分にするという。

・ネジバナの葉には夏葉と冬葉がある。夏葉は長さ5~20センチ、幅3~10ミリの細長い線形で、株元からわずか2~3枚が生じて斜上する。葉の中央にある葉脈はへこみ、付け根は短いサヤ状になる。一方の冬葉は丸く、地を這うように広がる。

・地下にある根は小さいものの多肉質で、やや太いヒゲ根がわずかにある。

・別名の文字摺草やモジズリ(捩摺)の由来には、花穂の様子が、かつて陸奥国信夫郡(現福島市)で作られていた「しのぶもちずり絹」の模様に似ていること、あるいはネジバナそのもので絹を染色したことによるといった説がある。

 

捩花

おもはゆき捩花の辺に汝と坐る 高澤良一 素抱
千木屋根に咲く捩花も神の国 岡部六弥太
山男くる捩花の小鉢提げ 高井北杜
恭仁京阯捩花芝を描きにけり 金久美智子
捩花のういういしさがこみあげる 高澤良一 素抱
捩花のどれも動力尽きしさま 高澤良一 ももすずめ
捩花のほどよく捩れ蟻のぼる 渡邊千枝子
捩花のまことねぢれてゐたるかな 草間時彦
捩花のもののはづみのねぢれかな 宮津昭彦
捩花の一本に風旅の僧 加藤三七子
捩花の妻得てあれから四十年 高澤良一 素抱
捩花の影も捩れてをりにけり 高須賀恵美子
捩花の根がぶち切れて口惜しかり 高澤良一 素抱
捩花の翩翻梅雨の中休み 高澤良一 随笑
捩花は糸の如くに咲きのぼる 脇田裕司
捩花を挿し正面を決めにけり 日原傳
捩花を降り来し蟻と思ひけり 大串章
捩花地に音たてて雨降り来 鈴木貞雄
昏々と愛捩花に子が生る 栗林千津
遠ざかる遍路の鈴や捩花 有馬朗人
青芝の中なる捩花いっぽんに 背景は消えゆきゆきて夕 吉野裕之
ねぢ花をゆかしと思へ峡燕 角川源義
ねぢ花の野をおのおのの腓かな 岡井省二
ねぢ花の枯れても縒の戻らぬよ 樋笠文
芭蕉曾良もじずり草の長短か 百合山羽公
もじずりの花に霧ゆく療養所 竹内水居
もじずりの花の恋歌なかりしや 大谷ふみ子
もじずりの咲きて目洗地蔵道 西居 浩
仏彫る里にもじずり咲きにけり 林徹



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