もうなじみの「キンシバイ」が咲く季節になった。ときのうつろいのなんと早いことか。きれいにならんだ黄金色の雄蕊たちがかわいい。
(2022年初夏 川崎市)
キンシバイの基本情報
学名:Hypericum patulum
和名:キンシバイ(金糸梅) その他の名前:ヒペリカム
科名 / 属名:オトギリソウ科 / オトギリソウ属
特徴
よく茂った濃い緑色の葉に映えるキンシバイの黄金色の花は、初夏から夏へと移り変わる季節を知らせてくれます。枝垂れた枝の先端にうつむき加減に花を咲かせる、江戸時代に渡来した中国原産の半常緑低木で、古くから観賞用として栽培されてきました。
キンシバイの仲間(オトギリソウ属)の日本原産種には、薬草として知られるオトギリソウ(Hypericum erectum)やトモエソウ(H.ascyron)など20種ほどがありますが、いずれも草本植物です。オトギリソウは「弟切草」と書き、その由来には以下のような話が伝えられています。
花山院の御代、代々伝わるある薬草(オトギリソウ)でタカの傷を治していた鷹匠が、その秘密をほかに漏らしてしまいました。それを聞いた鷹匠の兄は激憤して弟を切り、その血しぶきがオトギリソウに飛び散り、以来、葉に黒色の斑点がついたといいます。この話は、オトギリソウが古くから切り傷を治す薬草として利用されてきたからだと考えられます。また、キンシバイの葉もよく見ると、斑点があるのがわかります。
近年はキンシバイにかわって、花や葉が大型で、長期間にわたって花を咲かせ、生育旺盛な園芸品種‘ヒドコート’が、広く栽培されるようになりました。