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私家版 野遊び雑記帳

野遊びだけが愉しみで生きている男の野遊び雑記帳。ワンコ連れての野遊びや愛すべき道具たちのことをほそぼそと綴っていこう。

いとしのナイフたち――25年目の『BE-PAL』に寄せて

2006-05-20 09:52:54 | Weblog
 ナイフのことになると書きたいことが山のようにある。と、言っても、精通なんかしちゃいない。持っているナイフも10本足らず、とりたてて高価なものはない。すべてマスプロナイフばかりである。
 『BE-PAL』の真似をして、ぼくも気にっている3本を並べてみた。

 20数年前、ラブレスのナイフを買おうかどうしようか迷ったことがある。1本1本が手作りだから、注文して半年以上待たなくてはならないという。知り合いが2本注文したので、その1本を譲ってもいいとの申し出だった。値段は1本が、当時のぼくのボーナス1回分。あえて言わせてもらえば、そのボーナスだって、世間一般と比較すると30代にしてはかなり多額であった。
 迷いに迷って、結局、あきらめた。独身だったら目をつぶって全額ボーナスをつぎこんでいたかもしれない。いや、借金をしてでも……。
 あきらめはしたけど、その後、後悔はしなかった。ラブレスのナイフは、たとえば、ハンターのようにそれを使いこなせる人にこそふさわしい。奥さんに稼ぎがある知人は2本を買い、部屋の飾りにしたと言っていた。ぼくとは趣味がちがう。

 写真は、その当時からぼくが愛用してきたナイフたちである。いちばん上がガーバーのC325、真ん中がバックのフォールディングハンター#110、3本目がガーバーサカイという顔ぶれになる。
 あこがれのバックのフォールディングハンターを手に入れたとき、アメリカ開拓史の伝統の重みを思い知らされた。実用に供される本物のナイフだった。シースもしっかりしている。原野にあって、生命の危機に瀕したとき、この1本に生還を託することができそうだとさえ思える造りだった。しかし、ぼくの手にはハンドル部分がやや大きすぎた。これはアングロサクソンの血を引く男たちのための標準サイズである。
 ガーバーC325モデルはシースナイフである。デザインとサイズに惚れて買った。むろん、切れ味は申し分ない。岩にぶつけてウッド製ハンドルの一部を欠いてしまったが、いまなおぼくの守護刀のような存在である。ほかにも気に入った何本かのシースナイフをコレクションしているが、その姿でこの C325を脅かすだけのものはない。
 フォールディングタイプのガーバーサカイは国産品である。ブレードの根元に「bySAKAI/JAPAN」と刻印されている。アメリカのガーバーのライセンス生産だったと記憶しているがたしかではない。
 
 バックのフォールディングハンターを手にしたとき、それまで持っていた国産のナイフたちが惨めなほどヤワに見えた。日本には日本刀の伝統があり、鉈や庖丁などはどこの国よりも高品質の製品がそろっているが、ナイフの文化はないのだと思い知らされた。
 数年後、ガーバーサカイを手にしたころには、日本も相田義人氏をはじめとする一流のナイフビルダーを排出するまでになっていたし、メーカーも多種多様の本格的なスポーツナイフを量産していた。どこにそんな需要があるのかと不思議に思っていると、アメリカのアウトドア事情に精通している知人が、驚くべき事実を教えてくれた。
 「日本製のナイフはアメリカじゃすごい人気なんです。素材がいいんですよ」
 アメリカには日常的にナイフを必要とする地域がふんだんにあり、その供給先が市場なのだという。
 「たとえば、アラスカへ行ってごらんなさい。男たちは、例外なくナイフを腰に提げている。でかいシースナイフもあればハンディなフォールディングタイプもある。彼らにとって、ナイフは男の一物と同じく、男の象徴なんですよ」
 
 3本の中でぼくのアウトドアでの使用頻度がもっとも高いのはガーバーサカイである。いちばん小ぶりだけど、これがぼくの「男の一物」というわけだ。

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