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私家版 野遊び雑記帳

野遊びだけが愉しみで生きている男の野遊び雑記帳。ワンコ連れての野遊びや愛すべき道具たちのことをほそぼそと綴っていこう。

愛惜のガダバウトチェア

2006-07-30 18:21:22 | Weblog
    ガダバウトチェア(Gadabout Chair)
       ――英国マクラーレン社製。
         散歩用に開発された折りたたみの軽量椅子で
         折りたたむとステッキ代わりになる。
    
 当時もいまもガダバウトチェアに関するぼくの知識はこんな程度のものである。
 軽いし、傘のようにたたむととてもコンパクトになる。専用の袋に収納して肩から提げて運ぶこともできる。袋から出してL字型になった把手を利用すればたしかにステッキのようになる。
 だが、これを肩から提げて散歩に出かける気にはなれないし、ステッキ代わりになるというのも、原産国のアングロサクソンならいざ知らず、スタンダードなわれらモンゴリアンには大儀である。
 
 ガダバウトチェアをキャンプで使いはじめたものの、女房はあまり気に入らない様子。不満は、お尻がドンと沈み込む作りになっているためである。ゆったりとリラックスするにはいいが、テーブルの前でこれに座って食事となると、上体がうしろに反ってしうから、特に上背がない人間にはけっこうつらい。立ち上がるときも、「どっこいしょ」と弾みをつけなくてはならない。
 リラックスタイムにはいいといっても、身体が沈み込んでホールドされてしまうので窮屈と感じることもある。地面が傾いていたりすると、お尻をとられているので座ったまま倒れていきそうになる。焚火の前だと火が遠くなる。
 
 火にも弱かった。焚火の前に置いて、トイレにたち、戻ってみるとナイロンクロスのお尻があたる位置に穴が開いていた。はぜた火の粉の仕業である。立て続けに2脚がやられた。
 こうして、またしても椅子探しの日々がはじまった。
 スノーピークのディレクターズチェアは、当時、たしかまだパイプがスチール製で重い上にかさばったので対象外だった。まもなくパイプがアルミの製品もラインナップされたが、脚の部分が八の字型に曲がってしまったという友人からのフィールドレポートを聞いたので触手が伸びなかった(クレームで交換してくれたそうだ)。
 
 以来、長く使ったのがキャプテンスタッグ製のディレクターズチェアだった。折りたたむとスノーピークの半分の寸法になった。スノーピークが二つ折りなら、こちらは三つ折りという、よく考えた構造だった。
 ただ、お尻の部分が一枚布なので寒冷期だとけっこう寒い。そこで、3年前、ようやくスノーピークのディレクターズチェア(パッドインチェア)に変えた。いささかかさばりはするものの、使い心地は快適そのものである。このメーカーの椅子に着目してから10年以上が経過していた。
 
 ディレクターズチェアがぼくのキャンプの主役になったあとでもガダバウトチェアを置き去りにして出かけることはなかった。消灯後、星空をながめながらひとりでウィスキーを舐める時間はいつもガダバウトチェアで過ごした。
 ソロでキャンプにでかけるときは、相変わらずガダバウトチェアが主役だった。ふだんも、キャンプ道具を下ろしたあとのクルマのラッゲージスペースにはガダバウトチェアと3リットルの水が、ルーフボックスには、スコップとブランケット類、若干の災害対策用品が積み込んだままになっている。
 
 だが、気がつくと、ガダバウトチェアはいつのまにかショップから姿を消していた。生産が中止になったという。
 2年ばかり前だろうか、日本の某メーカーからパクリとしか思えないような構造の椅子が発売になった。真似をして、オリジナル以上の品質の商品に進化させるのが得意な日本のメーカーだから、きっとガダバウトよりも高品質だろうと思っていたら、まもなく、A&Fのライセンス生産という新しいバージョンのガタバウトチェアがリリースされた。
 やっぱり、以前のオリジナルに比べ、全体的にも部分的にもなりタフな造りになっている。ナイロンクロスなど比較にならないほどだ。その分、少々重くなった。カタログを単純に比較すると以前のモデルが1.5㎏、今度のは1.8㎏で、その差300g。 
 この程度だと、散歩用でステッキ代わりにもなるという初期のコンセプトは捨ててしまったのか――という非難は酷かな。
 
 なんであれ、この洒落たデザインの椅子が復活したのはなんともうれしい。ぼくが使い古しているヤツの中には焚火の火の粉でお尻のあたりに穴が空いたのもあるけれど、手持ちの4脚を使いまわしていけば、まあ、現役の野遊び人でいる期間くらいはじゅうぶんもってくれるだろう。だいぶくたびれてきたけど、これらもいまやぼくの宝物のひとつである。

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