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私家版 野遊び雑記帳

野遊びだけが愉しみで生きている男の野遊び雑記帳。ワンコ連れての野遊びや愛すべき道具たちのことをほそぼそと綴っていこう。

小さな調理台&食卓

2006-09-18 13:03:46 | Weblog
 これを教えてくれたのは田渕義雄さんだった。
 「ベニアの調理台 これは1人ででかけるときにもいつでも持ち歩いているベニアの小さな調理台。スベア123は縦長なので、ストーブの座りがよくない。つまらないもののようだが、このベニアの調理台の威力はすごいのである。写真のものは26×14cmで70㎏。この調理台は、もちろん食事のときにはかわいいテーブルになるのであります」
 そんなキャプションがついて、スベア123のストーブを乗せた1枚のベニヤ板の写真が紹介されている。
 
 写真が掲載されているのは、シェリダン・アンダーソン氏と田渕氏の共著になる『メイベル男爵のバックパッキング教書』(晶文社)。
 引用した一節(P.183)を読むやいなや、ぼくはすぐにホームセンターに走り、カットしてあるベニヤ板を見つけて買ってきた。30×22.5㎝(厚みは4mm)だから、ほぼA4判に近い。田渕さん愛用のボードよりはかなり大きいが、ぼくにはちょうどいい大きさに思えた。
 
 このボードがどれだけ便利かは使ってみてはじめてわかる。
 まな板になる。ストーブを安定させる調理台になる。テントの中でストーブを使うとき、グランドシートへの熱を遮断できる。ナベ敷きになる。最後は食卓になる。ほかにも、焚火のうちわ代わりになるなど、ソロでバックパッキングスタイルの野遊びをやろうとするときの必需品になった。
 
 一度使ってその威力を知ると、ぼくはすぐに数枚の同じボードを買い足した。グループキャンプでもなにかと重宝すると悟ったからである。なによりも、焚火の煤で汚れたナベを食卓に上げるときのナベ敷きとして活躍してくれた。
 『メイベル男爵の――』の奥付を見ると1982年に初版が出ている。ぼくのベニヤ板は、実に24年間活躍をしてきてくれた計算になる。ときどき洗ってはいるが、とても四半世紀を酷使されてきたような肌の色艶ではない。ぼくが現役の野遊び人でいる間は、まちがいなくベストパートナーでいてくれるだろう。
 
 さて、『メイベル男爵のバックパッキング教書』(原題『Baron Von Mabe.'s BackPacking』1980年初出)だが、フライフィッシャーマンでありバックパッカーのシェリダン・アンダーソン氏はすでに故人である。その訃報を受け取ったときの田渕氏の悲しみを、たしか、いまはなき雑誌『OUTDOOR EQUIPMENT』で読んだ。
 本書は、メイベル男爵のマンガイラスト入りの、バックパッキングのためのテキストであるが、「男爵のご親友であるヨシオの脚注」がこれまた素晴らしい。こちらのほうがページ数も多いし、“田渕義雄のエッセンス”のすべてが惜しげもなく詰め込まれている。
 うしろの見返し(表紙の裏側の見開き部分)にある男爵の装備のチェックリストもおおいに参考になる。

 1ページずつがきわめて濃密である。何度繰り返して読んだことだろう。
 台風に閉じ込められて野遊びに出かけられなくなったきょうのような日には、もう一度、スミからスミまで読んで、次の野遊びに備える絶好のテキストである。

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