「痛いのよ、」
少女は些か困ったように顔を歪めて、少しだけ言葉を発した。目の前に居た"ハンプティ・ダンプティ"は、表情の一つも変えずにそれを続けた。ますます困ったように、少女は首をかしげる。
「痛いのよ、ハンプティ・ダンプティのお兄様。いい加減止めて下さいな」
その些か威張りくさった態度から、少女は彼を"ハンプティ・ダンプティ"と呼んだ。少女を仲間として引き入れたのは、マ・メール・ロワ。すなわちマザーグースと呼ばれていた。
彼女はフランスの生まれだった為、はじめはハンプティ・ダンプティを知らなかった。だからこう、解釈していたのだ。
"リトルマン・オブ・リトルマンは、自分を待って吸い込まない
リトルマン・オブ・リトルマンは、次第に口ごもる狂った女"
「ハンプティ・ダンプティのお兄様。傷口を指で抉るのは、いい加減止めて下さいな」
許容している少女も勿論おかしかったが、それ以前にその行為を行っているハンプティ・ダンプティ自体がおかしかった。
そもそも少女がそうして血を流している原因を作ったのはハンプティ・ダンプティの方なのだ。理不尽な理由をつけては、ハンプティ・ダンプティは少女を殴ったり銃で撃ったりしていたのだ。(そしてそれを誰も、咎めない)(あの、マザーグースでさえも)
「痛いので、止めて下さいな」
次第に声が小さくなっていく。それでも、死ぬことはない。
ハンプティ・ダンプティは少女に決して死ぬような撃ち方をしなかった。もちろん、敵に対しては容赦なかったが。
「痛いから・・」
「いい加減黙れ。"次第に口ごもる狂った女"」
「・・ごめん、なさい・・」
そう言って、少女はハンプティ・ダンプティの言葉通り口ごもった。
少女は以前、ハンプティ・ダンプティに対してこう零していた。
『あの方ってハンプティ・ダンプティのようね!言葉を使うときに、あの方が選んだ意味、それ以上でもそれ以下でもなくお使いになるのよ?それにこれは、みんな人に言えることではあるけれど、人は死んでしまっては元には戻せないものね!それにあの方、小さくて丸くて卵みたいじゃない!』
――
(ハンプティ・ダンプティと狂った少女)
「リトルマン・オブ~」はwikipediaからの引用。
すげえやべえかなり違えという印象を受けました。
元がそんな変な詩じゃないので少し笑えた。
あの方が誰なのか気付かなくてもいいです。
だってハンプティ・ダンプティはなぞなぞだから。
なぞなぞって程問題がないんですがかっこわらい。
強いて言うなら「小さくて丸くて卵みたい」ですかね?
これわかった人が居たら素晴らしいと思う(笑