せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

Dead or Kill

2007-12-19 17:52:27 | 小説
「あんた死ぬの、リオン」

双子であり双子じゃないこの世界で唯一異質な存在。本当はひとつだったビショップの役目が半分に割れてふたつになっただけ。だからひとつが消えたらもうひとつも消えるらしい。リオンに殺られて血を吐いたあたしと同じく、無傷のはずのリオンが血を吐いた。あらぬところから血を流して。口の端から流れる血を片手で拭って、"あたし"は「しるか」と呟いた。

「っはは、冷たいなあ…あたし等運命共同体でしょ?」
「そんなの御免だ、"俺はお前じゃない"」
「一緒に逝こうよ、"私はあんたなんだから"」
「ふざけるな」

どうも、半分に割れるとこうも仲が悪くなるものだ。全ての思考も、二等分された。私が咳き込めば、少し遅れてリオンは血を吐いた。カエルが地面に這うような音が響いて地に鮮血が広がる。私達はそういう運命だ。はじめに交わろうとした方が、取られる(殺される)。同じ白の盤の上に乗ってしまったビショップ、ああなんて哀れだとレヌの声が聞こえる気がする。

ああ、あの女。私が殺して、やれなかった。

あんなに哀れな女が居るものか。死ぬことも生きることも叶わず逃げることしかできないキング。哀れな哀れなレヌ=ルージュ。私が殺してやりたかったのに。まあそれはよしとしよう、何故なら痛手を追ったのは向こうも一緒だ。リオンももう長くない。あたしが死んだらリオンも死ぬ、皮肉なことに。そうでなくてもきっとディーはリオンを殺しに来るだろう。でもダムも生きていたんだっけか。この戦、(このままじゃこっちが負ける)

「そんなつれないこと言わずにさあ、」

感覚の消え失せた足を無理矢理立たせて爪を構えた。さあ最後の戦いと行こうじゃないか。私が死ぬのが先かリオンが死ぬのが先か(こんな間抜けで先の見えてる勝負、するなんてあたしらしくないけど)。

「連れてったげるよ、盤の外に!!」

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(死か殺か)
さあ、最後の宴を始めようか。

盤の外、っていうのはアリスの箱庭用語で地獄のことです。
アリスの箱庭っていうのはハトアリとアリプロに感銘を
受けてできた鏡の国のアリスもどき戦闘ファンタジーです。

視点は赤のビショップ、メアリ=コルネイユ。グリフォン。
ついでに半身のフルネームはリオン=ジャンブといいます。
前者は皮膚(かわ)殺ぎライオン、後者が首刎ねレイヴン
というかなり恐ろしい二の名を持ってます笑(笑えねええ)