せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

長月

2007-04-25 22:33:26 | その他

「月が遠い」

頬を撫でる感覚に秋の臭いを感じて、思わずそう呟けば、そりゃあな、となんてことなしに傍で聞こえる。ぼんやりと月を眺めながら冷たい風を吸い込むのが好き。このまま冷凍して、止まりそうな心臓がずっと在ってくれる気がする、から。

「・・そーいや」
「うん」
「今日さ、」
「うん」
「お前の、余命の最終日、だったよなぁ」

そうかもね、と呟けば、そうだったよ、と聞こえた。多分、と付け足したその声がやけに低かったからかもしれない。わたしはまたぼんやりと呟く。銀、はさ。

「わたしのこと、忘れない?」
「・・たりめーだろ」

すこし鼻を啜った音が聞こえた。これは、期待してもいいのだろう、か。でもちょっと遅すぎたなあ。心の中で呟きながら、口では、なら安心だね、と呟く。何が、とは返らなかった。

「わたしのこと忘れないでね。わたし、わたしが、生きていたこと、忘れない、でね」
「・・おー」

心地良くその声を聞きながら、ゆっくりと目を閉じる。二度と目覚めることはないけど、こんなおしまいなら安心して眠れるかもしれない。


最後にわたしの名前を呼ぶ声がした気がした。


―――
(Good night.Good Dream.)
どうか安らかに。どうか永遠に。


名前変換にもなれない可哀相なお話たち。
え、これ、何て呼ぶの?二次創作だよね?
ドリー夢なんて名乗る資格なくね?アレ?