せかいのうらがわ

君と巡り合えた事を人はキセキと呼ぶのだろう
それでも僕らのこの恋は「運命」と呼ばせてくれよ

絶叫三秒前

2007-04-23 20:42:51 | その他

闇夜がまだ明けない頃に、それは来た。

さも楽しそうにこちらの仲間を切り倒して真っ赤に染まりながらも煙管を吹かすその姿は恐怖としか言いようがなかった。床が真っ赤に染まっていく、奴の服も真っ赤に染まっていく。
彼等は私を庇うようにして戦っていた。私が、剣を扱えないから。これほどまでに苦い思いをしたことはなかった、何故ならこういう場合では私が一番の弱点となりうるのだから。

いよいよ減ってきた仲間を見て、彼は刀を抜いた。行かないで、そう咄嗟に叫んで着物の裾を掴んめば、いつものように、優しく。けれど、絶対の拒絶を持って彼は言った。行ってくる。そして最後の一人を斬ったあいつに向かっていった。恐怖から傍にあった刀を握り締めると、低い、狂ったような笑い声が聞こえる。

「クク・・ヅラァ、落ちたもんだなァ、お前も。女一人の為に、どれだけ犠牲にするつもりだ・・・?」
「全てだ。」
「ッハ。狂乱の貴公子が聞いて呆れるぜ・・!」

刀のぶつかり合う音が響く。もう悲鳴も肉を切る音も骨が軋む音も聞こえない、あの男が全て殺してしまったのだ、暖かい家族を。そう思っていれば涙が落ちた。・・その、一瞬だった。

「余所見してる場合かよ!」

そう聞こえたと思えば目の前が真っ赤に染まる。目の前に黒い髪がばさりと舞った。咄嗟に吸った息が悲鳴として漏れる前に、唇は抑えられる。口の中に広がった異物感に思わず噛み付けば、小さくうめいた後にそれは離れた。けれど視界にはその男しか映らないのだ。視線を逸らすこともさせてもらえずに、男は耳元で毒を吐いた。

「なァ、俺のモノになれよ、」

吸い過ぎた息が苦しい。過呼吸を繰り返す私に構わずに男は、さも、楽しそうに(仲間を甚振っていた時のように、さも、楽しそうに、笑い)。

「なァ、」

「俺を、」



「愛せよ。」



―――
(絶叫三秒前)

COCCOお題けもの道の前の話・・・のつもり。
彼=桂 あの男=高杉 に決定でつ。(何

笑顔一分前

2007-04-23 20:16:49 | その他

「おれ、蘭が好きなんだ」

そう、と返して、自然に笑みが毀れる。やっとこの子も人を愛することを覚えたのだ。そこに、と言うと、少し躊躇った後、すとんと腰掛けた。それで、どうして私に?そう語りかけると、やはりすこし躊躇った後、表情を崩す。

「蘭は、ヅラが好きなんだって」

その言葉を聞いて思わず声を洩らす。もう一度聞きなおしてもやはり同じ問いが返ってきた。そんなわけは、ないからだ。蘭のフルネームは桂蘭、そしてその兄である桂小太郎、2人は兄妹であり、好き合うことは例外だ。そんなはずはない、そう返すと、怪訝な顔で返ってきた。どうして?

「2人は兄妹だからだ。蘭の言っている好きと、お前の言っている好きは異なるんだよ」
「・・どういうふうに?」
「ふむ・・お前は、好んで食べる食べ物などがあるだろう」

そう言えば肯定の返事が返ってくる。すかさず、それが蘭の言う"好き"だ。と続けた。あまり納得はしていないようだったが、とりあえず頷いている。まあ、兄妹愛、とも呼ぶがな。そう呟けば眉間に皺が寄ったが、口を開くことだけはしなかった。

「お前の言う好きは・・そう、だな・・・愛、と呼ぶべきか」
「あい?」
「そう、愛だ」

にこり、と笑いかければ、いよいよ首を捻った。難しかったか、そう考えて簡潔に話す。とりあえず、自身を持て。蘭は兄として小太郎を慕っているだけだ。そう言えば、目を見開いたあとで、先生ありがとう、と叫んで騒がしく出て行った。
自身を持っていい、何故なら、三時間前蘭が同じことを言って来たのだから。

さあ、あの子が笑顔で帰るまで、あと何秒。


(20×3+10秒、約一分となります)


―――
(笑顔一分前)
バビロンまで何マイル?


このガキ(ガキ言うな
・・・・・子供は多分高杉とか銀とかそのあたり。
まあ蘭は俗に言う愛され主人公かもしれない。

真撰組のある方には恨まれてるんですがね(待


マザーグースのナーサリーライム。

バビロンまで何マイル?
20×3+10マイルです
ロウソクの灯が消えないうちに着けますか?
ええ、行って戻って来られます
あなたが軽やかに走ったなら
灯が消えないうちに、たどり着けますよ


火が消えるまでには、どうか笑顔で帰れますように。