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おおしたさんの治療室&ツアーガイドと

このブログは2005年6月に始めました。鍼灸院をやってた頃のことを含め、今も気ままに書いています。

死産とグリーフケア

2023年11月15日 | 子育て
 

死産とグリーフケア

子どもを死産で亡くした井上ご夫妻によるこの本には、医療者から受けたケアの良かった点や改善点等が記されている。また死産直後の辛さだけでなく、産後の生活における思いや、出産に携わった助産師と産科医の話も、とても考えさせる貴重なもので、今後のケアに役立ててもらいたいというご夫婦の強い意志を大いに感じるものとなった。

恥ずかしいがこの辺りは全くの門外漢、まずはグリーフケアの意味から調べてみた。参考にしたホームページによると「大切な人が亡くなったことなどによる喪失感、悲嘆(グリーフ)を抱える人に対して、その声に耳を傾け、寄り添い、そのプロセスを見守ることでその人の回復や成長を支援すること」とある。言葉にすると簡単だが、その寄り添いはかなり注意深いものであるのは間違いない。

ところで私がこの本を読んで最初に思ったのは、父親に対するグリーフケアについてだ。同じ経験でも父親と母親では捉え方が違う。最大の当事者である母親のケアは当然だが、妻の悲しみを支えなければと自らの悲しみを隠そうとし、そして仕事にも出かけなければならない男性をどう支えるか。特に日本人男性は見ず知らずの方々への相談が苦手なので、グリーフケアに男性をどう引きずり込むか、また男性のための会が果たしてあるのか、そんな事をふと考えてしまった。

死であろうと長い旅路であろうと、人は対象者の不在に対し、別れの儀式を残った者と共有しないと、いつまで経っても対象者から心が離れない。だから古今東西何某かの儀式が必要なのだ。これは胎児も同じで、意味なく悲しみを増やす必要はないとの理由で赤ちゃんを見せないまま葬るから、気持ちの整理がつかなくなる。

儀式といえば、韓国映画「君の誕生日」を思い出す。チョン・ドヨンが出ているという理由だけであらすじも知らずに見たのだが、泣き腫らしつつ見終えてしまった。軽く説明をすれば、息子を事故で失った事を受け入れられず、遺族の会にも近づかず一人悲しみを抱きながら生きている母親と、理由があって海外におり、事件があった時に家族のそばにいられなかった夫の負い目が物語の軸だ。これから見る方もいると思うので詳しくは語らないが、その母親の絶望の克服について、これを書きながら思い出した。とにかく亡き対象者を弔う体験を、所属する共同体と共有する事が無ければ、悲しみは持続する。これは人種を超えて人間の当たり前なのだろうと改めて感じた次第だ。

学旅行中の高校生ら300人以上が犠牲となったセウォル号沈没事故を初めて正面から取り上げた作品

グリーフケアとは?
グリーフケアとは、大切な人が亡くなったことなどによる喪失感、悲嘆(グリーフ)を抱える人に対して、その声に耳を傾け、寄り添い、そのプロセスを見守ることでその人の回復や成長を支援することを指す。

渡辺さんは、エンジェルドレスを着せることで、母親がひとりで背負っていた死産の悲しみを、家族で共有できるようになったのではないかという。赤ちゃんの兄弟になるはずだった子供たちが面会をしたときに、自然と赤ちゃんの顔をなでたりする場面が見られたからだ。


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