東洋はり医学会10月例会が10月2日(日)三田の仏教伝道センタービルでおこなわれました。
研究部では10時より柳下会長により「脉診」、理事の中田光亮先生より「長鍼・短鍼の臨床運用」について講義を受けました。
食事の後13時より渋谷支部の藤崎先生より「肝臓切除後の体調不良」について、岐阜支部の伊与田先生より「肘関節症」の治験発表を聞き、足立支部支部長の今氏崇人先生より「心と東洋医学」という演題での宿題発表を聞きました。
今氏先生の発表に対して、柳下会長の講評がありました。
「人間は生まれながらにして怒り、恐怖、気持ちいい、気持ち悪い。という感情を持ち合わせているが、 生まれながらにして一つかけているものがある、これが"思う"ということ 。」
どういうことかというと、東洋医学では「木・火・土・金・水」という五行のバランスから体を見つめます。
このとき
- 木は怒り
- 火は気持ちいい
- 金は気持ち悪い(悲しい??)
- 水は恐怖
に配当されます。
このとき欠けているのが”思う”ということです。
”思い”は土に配当されます。
生まれた時は土が欠けているんです。
春秋時代の「書経(尚書)」 (洪範) に記載された五行説では「土は万物の資生するところなり」とあります。
万物はみな土より生じたということです。
土は五臓では「脾」に配当されます。
「脾」の働きは胃と一体となって働き、飲食物の消化や吸収を司ること、そして後天の精を取り出すこと。
まさに生まれた後に必要になってくる作業です。
その辺りを踏まえて、柳下先生より治療家として患者の心理状態も考えながら治療しなければいけないとの講評、患者さんの"思い"に資するように、と解釈しました。
安藤昌益は先ず土ありき、土の上に他の四行が乗っかっている、いわゆる四行説のようなものを言っていますが、五行の関係はその成立から考えても全くの対等ではないのでしょうね。
安藤昌益
その後16時30まで実技の勉強をし、17時より指導者育成講座を受講しました。
勉強会終了後、一目散で等々力へ往診……へとへとになった一日でした。
ありがとうございました!
前八王子支部長の下村です。
質問。
土(思い)を、どのように臨床に応用するのか具体的な例があると、良かったのにと思いました。