夢のような西行庵。
いつまでも見ていたいけれど、帰らなければならない。
考えないようにしていた(今来た道を戻るのか……)という気持ちと、向き合わなければなりません。
西行庵のすぐ前から、急で高い斜面が見えていて、ずっと背中がぞわぞわしっぱなしです。
見上げると、さっき歩いてきた道。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/20/20aae1058ab026e2d9c0b523fea6551b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/0c/69158ed874d492dd455972049555256d.jpg)
はあ、とため息をついていると。
「あの、あちらの道はどこにつづいているんですかね」
「ああ、あっちも帰り道です」
「えー、そうなんですか」
「ええ、あちらのほうが少し遠回りですが歩きやすいですよ。景色もまた違いますしね」
ダンボになっていた耳が、こんな会話をキャッチした。
……、いいこと聞いた。
西行庵からのびる、もう一本の道。
それは、左に上る元の道ではなくまっすく進んで別の斜面を行く道だった。
何人かの人たちが、ゆっくり上がっていくのが見える。
歩きやすいというその言葉に飛びついて、さっそく歩き出した。
いろんな色のもみじ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/4d/6be39e4e81aa101a3ba60aee04480eb6.jpg)
子供の頃ならいっぱい持って帰っただろうな。
自然がくれる、人の手では作り出せない贈り物。
きれいです。
先を歩いている人に続いて、新しい道を歩いていきます。
ううう、下は見ない。見ない。
前だけ向いて進んでいこう。
やがて、曲がり角がきて。
見えるものが変わります。
と。
ものすごい、谷。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/21/8ae83f52cd7f77fd69e4aecd207d6d3e.jpg)
なかなか見れない、山の上のほうの景色。
いつもの私なら、「きゃー、すごーい!」とはしゃいでいるでしょう。
しかし。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/20/5dc8faac005d5301481fa2a88dcb9adb.jpg)
足場が、狭い。柵がない。
そして何より、てすりがない!!!
ああああああ、こわいいいいい~~~!(もう泣いてます)
足場がせまいということは、こんなにも不安な気持ちにさせるんだ、と、分かりました。
『歩きやすい』。確かに。
足元が土なので、さっきのボコボコした石の道よりも安定感がある。
しかしそれは、柵なんて必要のない人たちのための言葉だったのだ。
もう、戻ることもできない。
前から人が来たので、すれ違う幅なんてないし、私、左側の斜面にぺったりと貼り付く。
ええ、こうして待っていますとも。
少しでも低いところで。
やってきたお兄さん、すいません、と恐縮してか小走り。
走らなくていいです! こんなところで気を遣わないで下さい……!
見てるだけでゾクゾクする。
よく普通に歩けるなぁ。
やっぱ私が怖がり過ぎなのかもねん……。
また、一歩、一歩と進んでいきます。
ものすごく怖い。姿勢はすでに、バレーボールの構え並みに低い中腰。
ついに一回、しゃがみこんでしまった。
右側の景色が見れない。
こんなに絶景なのに見れない。
悔しいので、カメラだけ右に向けて。
液晶を見ながらぱしゃ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/e3/4562fa6691140e091ee16126f2c90da3.jpg)
紅葉と渓谷。すごく絵になるなぁ。
左側の杉も美しいなぁ。ぱしゃ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/3e/e6c5e2d906f9981c32170ccfead34d17.jpg)
ええい動け。私の足。
ぎぎぎぎぎ、と立ち上がります。
足も腰も、こわばりきって自分の体じゃないみたい。
一歩、また一歩。
あのピークまで行けるのかしら。私。
あそこに立てるのかしら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/24/a3afe2c375b9a4eb6e9185ca820dde9f.jpg)
ついにピークにたどり着きました。
なんとかなる。なんとか。
そう自分を励ましながら進んでいくと、行く先に、少し広いところが見えてきた。
せまい道の終わりだぁ~~~~! やった~~~!
とおちゃ~~~く!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/72/9d70a01646689d6ddf57b8cc75611c8a.jpg)
すっごくきれい~~~~~!
なにこれ、ご褒美かなぁ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/ec/d507a35ddd8aaf0e36a223458c4de2ca.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/27/b2ef700d6b9f3c62d045fdf9ab74312d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/97/8ab2ed2f6d69c86c4c6c761e65caecfc.jpg)
空が青すぎる。
すごい。
そして、改めてあの渓谷を見に行きます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/45/55ddb1807727902a28055bb33758e458.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/90/73e6fe52583c041fa34f362bbe96f49b.jpg)
広いスペースがあれば、そんなに怖くないんだな。
ずっと見てても平常心でいれて、だけどぎりぎりまで行って身を乗り出すことは到底できない。
つまりはそういうことなんだ。この怖さっていうのは。
ここがこんなに難所じゃなければ。
こんなところに住みたいよ~~~。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/50/5e447e143bf5a3e217e621e6d230e01f.jpg)
いっぱい写真を撮って、後ろ髪を引かれるようにその場を後にしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/72/98cbd078839c62d9e5a91e51876969eb.jpg)
ここから先は、あんなに怖い道もなく。
日が傾いてきたせいで更に薄暗くなった道を抜け。
倒木をくぐり。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/b7/62645bd3d3ce0f64cf09a3706d900e93.jpg)
たまに差し込む光に心を躍らせて。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/04/246cfd09760508bc81ad21fc717e602b.jpg)
予定していたよりずっと時間がかかってしまったのが気掛かりで、いつのまにか小走りになっていました。
案内板を発見。
このあたり一帯は宝塔院跡と呼ばれていて、かつては大小の寺院が点在していたそうです。
宝塔院というのは、もしかしたらあの素晴らしい場所にあったのかもしれません。
あの眺めだもの。きっと。
やっと、元の道に、帰ってきましたよ~~~!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/aa/05fb4b418bbb31c8940ba505514cb026.jpg)
はああ、良かった~~~疲れた~~~。
ここまでたったの2キロなのに、右のふくらはぎがつりました。
アップダウン、過酷だったなぁ、運動不足の体には。
もう一度、あの素晴らしい眺めを目に焼き付けて。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/d8/1e193e3f7f99d4c7dc9342841fc3d0c6.jpg)
奥千本のバス停まで、てこてこ下りていきました。
つづく。
いつまでも見ていたいけれど、帰らなければならない。
考えないようにしていた(今来た道を戻るのか……)という気持ちと、向き合わなければなりません。
西行庵のすぐ前から、急で高い斜面が見えていて、ずっと背中がぞわぞわしっぱなしです。
見上げると、さっき歩いてきた道。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/20/20aae1058ab026e2d9c0b523fea6551b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/0c/69158ed874d492dd455972049555256d.jpg)
はあ、とため息をついていると。
「あの、あちらの道はどこにつづいているんですかね」
「ああ、あっちも帰り道です」
「えー、そうなんですか」
「ええ、あちらのほうが少し遠回りですが歩きやすいですよ。景色もまた違いますしね」
ダンボになっていた耳が、こんな会話をキャッチした。
……、いいこと聞いた。
西行庵からのびる、もう一本の道。
それは、左に上る元の道ではなくまっすく進んで別の斜面を行く道だった。
何人かの人たちが、ゆっくり上がっていくのが見える。
歩きやすいというその言葉に飛びついて、さっそく歩き出した。
いろんな色のもみじ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/4d/6be39e4e81aa101a3ba60aee04480eb6.jpg)
子供の頃ならいっぱい持って帰っただろうな。
自然がくれる、人の手では作り出せない贈り物。
きれいです。
先を歩いている人に続いて、新しい道を歩いていきます。
ううう、下は見ない。見ない。
前だけ向いて進んでいこう。
やがて、曲がり角がきて。
見えるものが変わります。
と。
ものすごい、谷。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/21/8ae83f52cd7f77fd69e4aecd207d6d3e.jpg)
なかなか見れない、山の上のほうの景色。
いつもの私なら、「きゃー、すごーい!」とはしゃいでいるでしょう。
しかし。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/20/5dc8faac005d5301481fa2a88dcb9adb.jpg)
足場が、狭い。柵がない。
そして何より、てすりがない!!!
ああああああ、こわいいいいい~~~!(もう泣いてます)
足場がせまいということは、こんなにも不安な気持ちにさせるんだ、と、分かりました。
『歩きやすい』。確かに。
足元が土なので、さっきのボコボコした石の道よりも安定感がある。
しかしそれは、柵なんて必要のない人たちのための言葉だったのだ。
もう、戻ることもできない。
前から人が来たので、すれ違う幅なんてないし、私、左側の斜面にぺったりと貼り付く。
ええ、こうして待っていますとも。
少しでも低いところで。
やってきたお兄さん、すいません、と恐縮してか小走り。
走らなくていいです! こんなところで気を遣わないで下さい……!
見てるだけでゾクゾクする。
よく普通に歩けるなぁ。
やっぱ私が怖がり過ぎなのかもねん……。
また、一歩、一歩と進んでいきます。
ものすごく怖い。姿勢はすでに、バレーボールの構え並みに低い中腰。
ついに一回、しゃがみこんでしまった。
右側の景色が見れない。
こんなに絶景なのに見れない。
悔しいので、カメラだけ右に向けて。
液晶を見ながらぱしゃ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/e3/4562fa6691140e091ee16126f2c90da3.jpg)
紅葉と渓谷。すごく絵になるなぁ。
左側の杉も美しいなぁ。ぱしゃ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/3e/e6c5e2d906f9981c32170ccfead34d17.jpg)
ええい動け。私の足。
ぎぎぎぎぎ、と立ち上がります。
足も腰も、こわばりきって自分の体じゃないみたい。
一歩、また一歩。
あのピークまで行けるのかしら。私。
あそこに立てるのかしら。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/24/a3afe2c375b9a4eb6e9185ca820dde9f.jpg)
ついにピークにたどり着きました。
なんとかなる。なんとか。
そう自分を励ましながら進んでいくと、行く先に、少し広いところが見えてきた。
せまい道の終わりだぁ~~~~! やった~~~!
とおちゃ~~~く!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/72/9d70a01646689d6ddf57b8cc75611c8a.jpg)
すっごくきれい~~~~~!
なにこれ、ご褒美かなぁ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/ec/d507a35ddd8aaf0e36a223458c4de2ca.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/27/b2ef700d6b9f3c62d045fdf9ab74312d.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/97/8ab2ed2f6d69c86c4c6c761e65caecfc.jpg)
空が青すぎる。
すごい。
そして、改めてあの渓谷を見に行きます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/45/55ddb1807727902a28055bb33758e458.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/90/73e6fe52583c041fa34f362bbe96f49b.jpg)
広いスペースがあれば、そんなに怖くないんだな。
ずっと見てても平常心でいれて、だけどぎりぎりまで行って身を乗り出すことは到底できない。
つまりはそういうことなんだ。この怖さっていうのは。
ここがこんなに難所じゃなければ。
こんなところに住みたいよ~~~。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/50/5e447e143bf5a3e217e621e6d230e01f.jpg)
いっぱい写真を撮って、後ろ髪を引かれるようにその場を後にしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/72/98cbd078839c62d9e5a91e51876969eb.jpg)
ここから先は、あんなに怖い道もなく。
日が傾いてきたせいで更に薄暗くなった道を抜け。
倒木をくぐり。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/b7/62645bd3d3ce0f64cf09a3706d900e93.jpg)
たまに差し込む光に心を躍らせて。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/04/246cfd09760508bc81ad21fc717e602b.jpg)
予定していたよりずっと時間がかかってしまったのが気掛かりで、いつのまにか小走りになっていました。
案内板を発見。
このあたり一帯は宝塔院跡と呼ばれていて、かつては大小の寺院が点在していたそうです。
宝塔院というのは、もしかしたらあの素晴らしい場所にあったのかもしれません。
あの眺めだもの。きっと。
やっと、元の道に、帰ってきましたよ~~~!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/aa/05fb4b418bbb31c8940ba505514cb026.jpg)
はああ、良かった~~~疲れた~~~。
ここまでたったの2キロなのに、右のふくらはぎがつりました。
アップダウン、過酷だったなぁ、運動不足の体には。
もう一度、あの素晴らしい眺めを目に焼き付けて。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/d8/1e193e3f7f99d4c7dc9342841fc3d0c6.jpg)
奥千本のバス停まで、てこてこ下りていきました。
つづく。