この一球は絶対無二の一球なり
されば身心を挙げて一打すべし
この一球一打に技を磨き体力を鍛へ
精神力を養ふべきなり
この一打に今の自己を発揮すべし
これを庭球する心といふ
【解説】
テニスプレーヤーの間であまりにも有名なこの名文はOBの福田雅之助が部に贈ったものである。現在も部室には額にいれた直筆の全文が飾られている。早稲田の選手のみならず幾多のテニスプレーヤーがこの言葉に感銘を受け勇気付けられた。早稲田の選手ではない松岡修造選手もウィンブルドンでマッチポイントを握った場面で「この一球は絶対無二の一球なり」と叫んでサービスを放ちベスト8進出を決めた。福田雅之助は1919年卒業、1922年第一回全日本選手権大会で優勝。1923年~25年の間デ杯代表選手となる。1924年にはウィンブルドン大会とオリンピック・パリ大会に出場。海外遠征の研究成果としてイースタングリップを日本に導入し、著書も多数残し、日本のテニスの発展に大きく貢献した。
福田雅之助から直筆で「この一球」を受け取り家宝にしているOBも多い。
集英社ホーム文庫『エースをねらえ!』全10巻を漫画喫茶で読んだら、福田雅之助氏の「庭球訓」が鏤められていた。この一球は絶対無二の一球なり…と!27歳で夭逝した宗方仁の好きな言葉であり、オーストラリアの男子テニスプレイヤーであるエディ・レイノルズが友人の宝力冴子から教わった言葉だったり、至る所に。