就職決まった！長いけど読め。いや、読んでください。

横浜の会社からの連絡を待っている最中、別の会社から面接の予定が入る。
恵比寿なので遠い。まぁ滑り止めのつもりで一応。
どうせ面接でも「遠いねぇ」なんて言われるのだろう。
かなり腐り気味の俺の心。

で、横浜の会社。金曜日まで待ったが一向に連絡が無い。
せっかくの土日なのに落ち着かない日々。まぁ、毎日休日なのだが。
そして、月曜日。週の初めなのに遅めの起床。生活を改める気力さえ失ってしまった。
メールをチェック。なにやら大量のメールが届いていた。
「ラブコミュ＋」という迷惑メール。うざい。
大量のラブコミュ＋の間にその便りがあった。

「面接結果のお知らせ」

ああ、不採用だ。
もう件名を読むだけで、採用か否かが分かってしまう。
一応、開いてみる。

このたびは当社の採用面接にご応募いただき、厚くお礼申しあげます。
さて、面接の結果につきまして慎重に協議いたしましたが、誠に残念ながら、
今回は採用を見送らせていただくことになり、貴意に添えぬ結果となりました。
ご期待に応えられず、誠に申し訳ございませんが、悪しからずご了承のほどを、
お願い申しあげます。
今後のご健闘を心からお祈り申しあげます。

今回は無くても、次回はあるのか？
○ね！全力で○ね！つ～か潰れてしまえ！
俺を落とした会社！

全力で溜息。タバコが旨くない。
ベランダで叫びたい。

妻に「落ちた」とメール。
「恵比寿があるよ！」との返信メール。気持ちがありがたい。
今後の対策を練り、なんとなくグランツーリスモ。
翌日に面接する会社までの道のりを調べ、だらだらと過ごす。
夕方、明るく妻が帰宅。俺、負けじとマイナスのオーラを出す。
「明日、いい日になるよ！」と妻。「もう、何も期待しないよ」と俺。
とりあえず、寝る。眠れそうに無いが目を閉じてみよう。

6時ごろ目覚ましが鳴る。しっかり睡眠は取れたようだ。
そのまま起きるのも癪なので、５～６度寝を決め込む。
暫くしてから「ガバっと」起床。早々と着替えを済ませ、出発時間までだらだらと過ごす。
忘れ物が無いかをチェックし、家を出る。おお。寒い。
ホームに着くと、１本前の電車に乗れそうだ。無茶苦茶早く着いてしまいそうだが、これに乗るか。
老夫婦が座っているボックス席にお邪魔する。
見慣れた風景、ありふれた日常。
少し眠るか本でも読むかと思っていたら、お婆さんに声を掛けられる。

お婆さん「あなた、おいくつなんですか？」
俺「３７歳ですよ」

お婆さんによると、息子さんが亡くなって今年で１３回忌だそうで、
俺がその息子さんの弟の様に感じて思わず声を掛けたそうだ。
お歳を召した女性には人気があるんだよなぁ。俺。
東宝ニューフェイスに応募していたら、今頃大スターになっていたかも。

そのまま、会話を終わらせるのもどうかと思ったので、俺も質問。
俺「どちらへ行かれてたんですか？」
お婆さん「熱海まで。今まで行った事が無かったので楽しかったのですよ」

よっぽど楽しかったみたいで、少しハイテンション。
大船の観音様を見つけたときには、手を合わせていました。

老夫婦は川崎辺りで下車。長生きしてください。
俺も品川から山手線に乗り換え、恵比寿へゴー。

到着。西口を出てなんとなく勘で進んでみる。
急坂だ。うざくね？と思っていたところ、会社が入っているらしきマンションを発見。
ポストを見ると会社のロゴマークを発見。うん。ここだ。
一旦戻ってドトールへ。
コーヒーを注文し、2階の喫煙スペースへ。
本を読みながらの一服。だが、あまり落ち着かない。
人が増え始め狭くなってくると、さらに落ち着かない。
それなりに時間が過ぎ、いざ会社へ。急坂がやっぱりうざい。
エレベータを降り、右手を見ると会社の玄関がある。
古めのマンションによくある鋼鉄製のドア。
中の様子が窺えないので、より緊張感が増してくる。
呼び鈴を押す。圧迫面接をされそうな予感。

「は～い。あ！○○さんですね。お待ちしておりました。ささ！どうぞどうぞ！」

あれ？玄関ドアの印象と違うぞ？なんか歓迎されてね？

明るく出迎えてくれたのは社長。年も若めで安心。
中に入ると、まだオープンしたてのオフィスが眩しい。
つか、ここ普通の家じゃね？といった印象。
まあ、いい。どんな会社も最初はそんなもんだ。

本日の面接官は２人。会社の社長と親会社の社長。
社長２人というプレッシャーに早くも負ける。

で、前々職からこれまでの経緯を述べる。
雑談をしながら、会社の説明を受ける。
思っていたより良さそうで、是非ここで頑張りたいと思う。
で、「広告業界あるある」など話していると「あ、そうそう」と社長。

「早速ですが、働くとしたらいつから可能ですか？明日からでも良いですか？」

え？嘘？マジ？

喰い気味に俺「それって内定と考えて宜しいですか？」
「どうします？」と親会社の社長へ視線を送る社長。
うなずく親会社の社長。「じゃ、そういう事で」と社長。

頭の中で響くファンファーレ。くす球が開く。小人ダンサーが踊っている。
「採用です」「採用です」と女子アナが叫んでいる。

へ。良いの？おお。有難う御座います。頑張ります。会社の為に死にます。

入社は3月5日（月）。
スカイツリーの完成、ロンドンオリンピック。そして俺が無事に転職出来た日。
忘れないよ。2012年。良い年になりそうだ。

俺があまりにも興奮ぎみなので「気を付けて帰ってね」と言われる始末。
タバコを吸いに再度ドトールへ。咽もカラカラです。
一服しながら妻にメール。

タイトル「再就職できた。」
本文「採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用
採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用
採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用
採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用
採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用採用」

さらに後輩にもメールする。
少し落ち着いたので帰る事にしよう。
電車に乗り、暫くすると妻から入電。
「本当に良かったね」と同時に「気を付けて帰ってね」。
おかしなテンションになっているので、俺おかしいらしい。

心ここにあらず。まさに今がそうである。
「再就職出来ました」と、隣の会社員に伝えたい。
ニヤケ顔を我慢していると、なにやら英語が聞こえてきた。

「キャンユウスピークイングリッシュ？」（英語解る？）
アジア系の外人さんの様だ。英語は全然話せないが頑張ってみるよ。
「少し」と俺。少しどころか全然わからないがな。
ほっとしたのか外人さん。まくし立てる。スマートフォンを俺に見せながら。
どうやら外人さん、新木場にいる友達の家を出て、岡山に行きたいようだ。
リスニング能力が無いので、あくまでも憶測なのだが。
「岡山？本当に岡山？」「ええとどうやっていくんだっけ？」
質問を理解し、回答を伝える事が出来ないもどかしさを感じていたとき、
単純かつ、素晴らしい解決策を発見！
「英語が話せる駅員に訊けば早くね？」
おお。すばらしい。この調子で紛争問題も解決できればノーベル平和賞ものだね。
「じゃあさ、次の駅は品川だからそこで降りて、英語が話せる駅員に訊きなよ。」
といった内容を知っている限りの単語を駆使しながら伝える。
すると外人さん「○○○○○○○東京○○○○○○○○○○○東京！」
とりあえず東京駅には行きたいらしい。
「トウキョウオウケイ」と俺。
すると外人さん、なにやら嬉しそう。言葉が通じない国で不安だったのだろう。
しかし、会話が成立していたのか？彼の悩みに答える事が出来たのだろうか？
間違っていたら申し訳ない。とりあえず謝っておこう。
「俺、英語少ししか話せないから、分かってあげられなくてごめんね」
それでも、彼はものすごい笑顔。安心感だけは与える事が出来たようだ。
よかった。国際問題の火種にはならなそうだ。

品川で外人さんと別れ、東海道線に乗り込む。
どっぷりと小説の世界に入り込み、やっと地元の駅に到着。
ニヤニヤしながら自転車で我が家へ到着。
外人さんとの禅問答の様なやりとりで若干落ち着いたが、
まだ「心ここにあらず」。さて、どうしたものか。

「ああそうだ。この喜びを残しておこう」とブログ執筆中に妻から入電。
「アハハハハ！ウフフフフ！これから帰るね！」
俺だけでは無く、妻も壊れてしまった。
積もる話もあるので、今日は近くのイタリアンへ。
珍しく良く喋る俺。二言目には「あ～よかった～」。

振り返ってみると応募が４０社で面接が１０社。
面接して不採用。また面接して不採用の繰り返し。
「俺って人間性に問題があるんだな」
「社会不適合者。まさに俺の事だな」
「失業保険もあとわずか」
「家のローンをどうしよう？」
全て不安で埋まってしまった俺の心。なんか病的にやばそうだ。
そんな中の採用なので、本当に良かったと思っている。
しかし、ふとした瞬間に再就職の喜びを忘れ、気分が落ち込んでしまうのが辛い。
やばいな。俺。書いていて心配になってきた。
「採用を貰ったんだ」と自分に言い聞かす事しかないのかな？

そんなこんなで本当に大変だった３ヶ月。
やっと再就職が出来ました。

最後にこれだけは言っておこう。
「デフレは死ね！」