物欲大王

忘れないために。

戸梶圭太「東京ライオット」

2006年08月08日 18時11分41秒 | 読書、書評
東京ライオット

徳間書店

このアイテムの詳細を見る


 やはり好きな作家の作品はあっという間に読んでしまう。
2日で読み終えた。
さて、今回は高級マンションを巡る住民騒動がテーマ。
東京のスラム街に突如出現した超高級マンション。
いわゆる「勝ち組」、「負け組」の構図である。
マンション住民は優越感に浸り、地元住民を見下す。
一方、地元住民は劣等感を感じ、マンション住民に敵意を剥き出しにする。
交差するお互いの黒い感情。
まともな作家ならオブラートに包んで描くものだが、著者はあえてそれをしない。
描かれているのは黒い本音だけ。

 俺が小学生の頃、「人類は皆平等である」と教えられたが、著者はあっさりそれを斬り、「差別は存在する」と断言する。
格差社会が広がる未来の日本を予言した作品である。

 読んでいてかなり共感できる部分があったのは俺が卑しい人間だからか?
ちょっと自分が嫌になった瞬間である。
それにしても綾瀬の事悪く書きすぎ(笑)。
評価★★★★★(5段階)