物欲大王

忘れないために。

石田衣良「電子の星~池袋ウエストゲートパーク4」

2006年08月02日 19時41分29秒 | 読書、書評
電子の星 池袋ウエストゲートパークIV

文藝春秋

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 おなじみのIWGPシリーズの第4弾。
スペシャルドラマになった「東口ラーメンライン」を含む4作を収録。
毎回、同じ様な内容なのについつい読んでしまう、不思議な小説である。
大体の流れは以下の通り。

・依頼人と会う。
・初めは断わろうと思っていたが、話を聞いて依頼を受ける。
・聞き込み。犯人特定。
・タカシと犯人を懲らしめる。

ミステリー小説でありながら難しいトリックは一切無い。
誰かが不幸になるわけでもないし、明るくなる様な終わり方。
登場人物に個性があり、皆カッコ良い。
ある意味パターン化されているので安心して読める。
平成の水戸黄門といった所だろうか。
作品の雰囲気が良いなと感じた一冊である。
「ワルツ・フォー・ベビー」の終わりのシーンでは、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」が頭の中で流れたのは俺だけではないはずだ。

いや、ホントですって。
評価★★★★☆(5段階)

塚田努「だから山谷はやめられねぇ」

2006年08月02日 19時15分17秒 | 読書、書評
だから山谷はやめられねぇ―「僕」が日雇い労働者だった180日

幻冬舎

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 ごく普通の大学生の「僕」は、就職活動を前にしてドロップアウト。そして始めた東京・山谷でのドヤ暮らし。宿なし・金なし・家族なしの中年男たちと寄せ場や職安に通い、スポーツ新聞に掲載された求人を頼りに飯場の世界にも飛び込んでいく。彼らは、そして就職を選べなかった僕は、ダメな人間なのか?答えは肉体労働の中にある。だからひたすら汗をかく。今日も、明日も、明後日も―。ドヤ街の男たちと寝食を共にした一人の大学生による傑作ノンフィクション。幻冬舎アウトロー大賞大賞受賞作(アマゾンより)。

 就職活動の時期になると、人は「自分探しの旅」に出たくなるものだ。
アジアへ放浪してみたり、会社という組織に疑問を持ちニートになる者も。
著者は何を思ったのか、山谷へゴー。
人生勉強なのか、あるいはただの馬鹿なのか?
様々な人間模様が窺え、労働者達が何をし、何を考えているのかが分かる内容。
彼が山谷での180日間で何を得たのかは疑問だが、
山谷ドキュメントとしては楽しめる内容だった。
評価★★★★☆(5段階)