もとなりくんの「今週の政治 ‘とんでも’」

日本の経済、安保危機を打開する力は、国民の結束と強い政治しかない

米中首脳会談に注目! 中国の切り崩し工作に対する米国の出方が焦点

2013-06-08 19:12:21 | 政治
安倍政権の外交・安保、経済政策は、これまでのところ概ね妥当なものであり、かなりの成果をあげている。とは言え、不安要因も少なくない。アベノミクスについて言えば、三本の矢のうち、最も重要かつキーである第三の矢、構造改革、規制緩和政策が期待に反して、従来の発想の羅列的寄せ集め、それゆえ中途半端なものにとどまっていることである。このままでは首相の言う「民間活力の爆発」はとても期待できそうにない。これは重要なことであるので、当ブログでも今後しっかり議論していきたいと思う。
次に外交・安保であるが、対中国外交については、極めて戦略的な外交が精力的に展開され、一定程度の対中包囲網の形成に成功したと言っても良いだろう。対韓国については、相変わらずの「価値観を同じくする同盟国」との欺瞞的で内実のない建前外交を繰り返しており、いま一つパッとしない。しかし、アベノミクスが順調に進んでいることにより、日本の国際的発言力が強まっていること、そして韓国、米国も「慰安婦」を活用していたという維新 橋下氏の攻めの主張によって、韓国(そして米国)の欺瞞性が国際的に暴露され、韓国の「慰安婦」問題についての日本批判の勢いはかなり弱まったように見える。習主席の外交も、朴大統領の外交も、現実性、合理性、戦略性、ダイナミズムの点において、安倍首相のそれに比べてかなり見劣りがするものであり、どちらかと言えば失速気味であるように見える。
このような中で、この手詰まり状態を打開すべく習主席が打ち出した策が、異例の就任三か月目での米中首脳会談というサプライズであった(もちろん、これは米国のニーズでもあるが)。だから、ここには日本にとっての少なからぬ懸念材料がある。それは、米国が中国に妥協的融和策を採る方向に舵を切るのではないかということである。現に、米中首脳会談の直前というタイミングで、オバマ米政権の安全保障部門のトップ交代が電撃的に発表され、米国の対中傾斜に対する懸念が出ている。ホワイトハウス内部の力学に微妙な変化があったのでは といった憶測も流れている。
「オバマ大統領は5日、ホワイトハウスのドニロン大統領補佐官(国家安全保障担当)の辞任と、その後任にライス国連大使を起用すると発表した。ドニロン氏は7、8両日にカリフォルニア州で行われる習近平国家主席との米中首脳会談の地ならしのために訪中し、帰国したばかりだった。 バイデン副大統領に近いドニロン氏は、欧州や中東から、外交・安保の比重を東アジアに移す「ピボット」(軸足旋回)を推進してきた実績がある。
 一方、ドニロン氏の後任となるライス氏はアフリカ専門でアジア政策は未知数だ。国連大使時代、核実験やミサイル発射を行った北朝鮮への制裁をめぐり「中国の国連大使にはぐらかされっぱなし」(日米外交筋)と押し出しの弱さを懸念する声もある。
 一方、国務次官補起用が決まった国家安全保障会議(NSC)のラッセル・アジア上級部長の後任に取り沙汰されているのがNSCのメデイロス中国部長だ。
 2010年9月、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で海上保安庁の巡視船に衝突した中国漁船船長の身柄拘束事件で、日本政府に釈放圧力をかけるなど「中国寄りの姿勢を示した」(米紙ワシントン・タイムズ)と批判された。日米関係筋は、これら親中派の復活に警戒感を示している。」(7日 産経)。

もちろん、「(ニクソン大統領が初訪中を日本に事前通知せず発表した)ニクソン・ショック(71年)のような事態は起きない」(アーミテージ元米国務副長官 7日 産経)ということには疑いの余地はない。問題は次のことにある。新たな安全保障チームは、「米中新時代(G2)という幻想」(ヒラリー前国務長官)に振り回された1期目に回帰しつつある、つまり米中二国で世界を仕切るという路線に傾きつつあるとの懸念がくすぶっている。この場合、米国は日本に対してもこのことへの協力を要求してくるだろうし、それが米国自身のための小刻みな妥協、融和策であるとすれば、その本質が見えにくいものとなり、結局日本は、ずるずるとそれに従って、国益を損ねていくことになる可能性がある。と言うよりも、これまでの日本外交はそうであったということである。しかし今、中国は尖閣はもとより、沖縄、そして太平洋の日本領の略奪を狙って、行動している。韓国は竹島の永久略奪はもとより、対馬の略奪、日本海の権益確保を狙い、更には慰安婦問題で日本の名誉を貶め続けようとしている。また今月には中韓の首脳会談が予定されており、そこでは新たな「反日」策動のすり合わせも行われるはずである。このような状況の中では、日本外交はこれまでのような没主体的で従属的なもの、没戦略的なものであってはいけない。
今回の米中会談の結果は今後の中韓の動きに、大きな影響を与えるから、結果がどうなるかは日本にとって重大な関心事である。我々としては、米国がこれまで通り、法と正義の旗のもとに毅然とした姿勢を貫いてくれることを期待するし、それを信じたい。米中会談の結果の概要は、日本時間の明日中には判明するであろうから、その評価について、この場でもアップして議論していきたい。