もとなりくんの「今週の政治 ‘とんでも’」

日本の経済、安保危機を打開する力は、国民の結束と強い政治しかない

沖縄知事「辺野古移設」承認! = 「オールジャパン」での国防強化、沖縄基地負担軽減への確かな一歩だ!

2013-12-28 21:19:11 | 政治
2013年12月28日
これは、1996年の日米合意以来、様々な曲折を経てきた米軍普天間飛行場の移設問題が、実現に向けて確実に前進したということである。
「沖縄県の仲井真(なかいま)弘多(ひろかず)知事は27日午後、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古への移設に向けた政府の埋め立て申請について「基準に適合していると判断し、承認することとした」と表明した。 政府の沖縄振興策に関して「安倍内閣の沖縄に対する思いが、かつての、どの内閣にも増して強いと感じた」とも述べた。」(27日 産経)。
この問題は、日米両政府、沖縄県、名護市、米軍、そして野党など多くの関係者が様々な事情を抱えて絡み合う、複雑な連立方程式である。これら関係者がこの困難さを乗り越えて、今回の「辺野古移設」承認に辿りついたことには大きな意義がある。日本の安全保障環境が著しく悪化する中、これが日米の同盟関係をより強靱で持続可能なものにし、沖縄の基地負担軽減、沖縄経済の振興にも大きな貢献をすることになるだろう。この過程は、困難な国家的問題を「オールジャパン」で解決していくことの一つの重要なパターン、モデルを提供してくれたと言えるだろう。この問題に限らず、日本には、震災復興、デフレ脱却、財政再建、経済の活性化、少子高齢化、社会保障の立て直し、原発を柱とするエネルギー問題、農業の改革など、多くの課題があるが、今回の前進を一つの重要参考モデルとして、ぜひとも「オールジャパン」の体制で乗り切っていきたいものである。ここでは、普天間基地移設問題についての経緯、意義、今後の課題などは議論せず、とにかく今回の取り組みが「オールジャパン」体制確立に向けての明るい兆しになっていることを具体的に見てみたいと思う。

《知事の決断を評価》
「知事は「県民の意思に関係なく国際情勢は緊張している」として「沖縄は一定の役割を果たさなければならない」と語った。同時に「過重な基地負担は不公平」とも訴えた。 沖縄県民を含む国民全体で、安全保障の重要性をしっかりと受け止めることが欠かせない。」(28日 産経社説)。 「仲井真知事にとっては、まさに苦渋の決断だったろう。 当初は、辺野古移設を条件付きで支持していたが、民主党の鳩山首相が「最低でも県外移設」と県民の期待を無責任に煽(あお)ったため、2期目の知事選公約に「県外移設」を掲げざるを得なくなった。 しかし、埋め立てを承認しなければ、普天間飛行場の危険な現状が長期間にわたって固定化されてしまうのは確実だ。…略… 沖縄の米軍基地問題では常に、基地の抜本的な撤去を目指すか、段階的な負担軽減を進めるか、という方法論の対立がある。知事が着実な負担軽減を優先し、現実的選択をしたことを評価したい。…略… 知事の決断は、辺野古移設反対派から批判されているが、将来は高く評価されるはずだ。」(28日 読売社説)。

《不退転の決意を示した安倍政権》
首相は「出来ることはなんでもやる」と表明している。「知事の判断を後押しした安倍政権の努力も高く評価したい。基地負担の軽減策として、普天間飛行場や牧港補給地区の返還期間の短縮や訓練移転、米軍基地内の環境調査に関する新たな日米協定の協議開始などを示した。…略… 沖縄振興策でも、安倍首相は、来年度予算の積み増しに加え、2021年度まで毎年3000億円台の予算確保を約束するなど、最大限の配慮を示した。県北部振興策にも毎年50億円を計上する。 厳しい財政事情の中、異例の優遇措置だが、難局を打開するためにはやむを得まい。…略… 安倍政権が沖縄県の承認を得られたのは、不承認時の政権への打撃というリスクも覚悟し、一貫してぶれずに、仲井真知事との信頼関係を築いたことが大きい。だからこそ、知事も県民からの批判というリスクを取ったのだろう。」(同_読売社説)。

《自民党本部、沖縄県連の努力を評価》
つい先ごろまで、自民沖縄県連は「普天間 県外移設」を主張して、党本部方針とのねじれが生じていたのであるが、自民党石破幹事長、高村副総裁、官邸の菅官房長官らによる、沖縄県連そして地元選出の国会議員への説得が功を奏して、自民県連の方針転換が実現した。党と官邸による説得のよく練られた戦略的手順とその実行、そして沖縄県連と翁長県連会長の苦渋の英断には敬意を表したい。

《島袋前市長の貢献は大きい》
それにしても、今回の仲井間知事の承認に大きな貢献をしたものは、来月の宜野湾市長選に、「基地移転推進派」候補として名乗りを上げた前市長の島袋氏の立候補表明であったように思う。氏は、保守系候補として自民が擁立していた末松前県議が、「辺野古移設」を明確にせず、基地移設を「仲井間知事が承認すれば、自分も移設を容認する」などと、あいまいでわかりにくい、腰の引けた対応に業を煮やし、保守系が分裂することを承知の上で、立候補を表明した。末松氏のような腰の引けた態度では、たとえ当選しても基地移設の難事業は到底実現できないと見越しての決断であったと思われる。これに慌てたのが自民党本部であり、沖縄県連であった。島袋氏の立候補表明によって、動きの鈍かった自民党が‘喝’を容れられたことになり、末松氏の政策の転換と、「移転推進」派の結束を固めることにつながった。
「来年1月19日投開票の沖縄県名護市長選に出馬表明していた島袋吉和前市長(67)は25日夜、立候補を見送ることを明らかにした。末松文信前県議(65)と同市内で会談し、末松氏からの候補者一本化要請を受け入れた。 末松氏は会談で、米軍普天間飛行場(同県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古への移設を「推進する」と明言した。これまでの「移設容認」という立場から「移設推進」に踏み込むことで、「推進」を掲げてきた島袋氏に立候補辞退を求めた。これを受け、島袋氏は支持者とも協議し、立候補を見送ることを決めた。」(25日 産経)。
島袋氏の立候補という‘奇策・妙策’が無ければ、自民沖縄県連の政策転換が進んだかどうか、「推進」派の結束ができたかどうかは疑わしく、この意味で島袋氏は、今回の承認の実現の立役者の一人であったと言える。氏の政治姿勢、その能力を高く評価したい。氏は末松氏の選対本部長になるとのことであり、勝利を期待するものである。

《岩国基地他、全国自治体への訓練移転協力の広がりを歓迎》
知事は政府に対し、普天間の24機のオスプレイの半数程度を県外に配備し、さらに5年以内に普天間の運用を停止するよう求めていた。首相は、オスプレイの訓練の半分を県外に移すと言っている。移転先の同意を得るのは容易ではない。だが、山口県岩国市は岩国基地に、普天間の空中給油機を受け入れると決めた。この他にも、オスプレイの一時的訓練や、公開展示などに応じる自治体も出始めている。こうした自治体の動きを評価すると共に、これが更に広がり、本格化するように期待したい。

《民主、維新の積極・建設的姿勢を歓迎! 公明は責任与党として、「末松支持」を鮮明にすべきであり、そうでなければ「与党」の名に値しないことを肝に銘じるべきだ!》
「(仲井真知事が辺野古への移設を承認したことに)、民主党からは評価する声があがった。
 海江田万里代表は27日、国会内で記者団に「知事の判断は大変重い。その思いをしっかりと受け止めて、沖縄の負担軽減、普天間飛行場の早期使用停止に向けて後押しをしたい」と述べた。岡田克也前副総理は「大変な中で、重い決断をしたと評価している。米国との関係、沖縄のために政府もしっかりと努力してほしい」と語った。大畠章宏幹事長も「普天間飛行場の固定化を避けるには辺野古移設が有効だ」と評価する考えを表明。 日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長も国会内で記者団に「一つの方向性が見えたことは大変よかった。野党だが協力したい」と述べた。」(27日 産経)。
何をやっても、煮え切らない民主党が、今回は、かなり積極的で建設的な立場に立った発言をしていることは歓迎したい。
公明党は、党本部は辺野古移設方針であるが、地元の沖縄県連は「県外移設」を主張しており、いまだ「ねじれ」のままである。来月の宜野湾市長選では、公明党が末松支持に廻ることが、推進派が勝つ鍵とされている。辺野古移設の問題は、普天間が固定化するかどうか、沖縄の経済や未来がどうなるか、更には日本の主権、領土を守れるかどうか、アジアの平和を守れるかどうかの問題に大きく影響するものである。公明党の動きは非常に重要であり、国政に責任を持つ与党として、ぜひとも末松氏の支持に廻るよう強くお願いしておきたい。

《沖縄、盛り上がらない反対運動_  県庁集結は約10人! 朝日の主張は国を分裂させ、国防を無力化するものだ!》
沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾=ぎのわん=市)の名護市辺野古への移設に反対するグループ約10人は27日午前、沖縄県庁の1階ロビーで反対演説を行った。ただ、通行人が足を止めることもなく、反対運動は盛り上がっていない。反対派グループは拡声器を使って「知事は辞めろ」「県民を裏切る行為だ」などと仲井真氏を批判。政府による辺野古埋め立て申請の承認撤回を呼びかけ、メディアの注目は集めた。」(27日 産経)。
現在の、中韓北からの日本の国家主権や領土侵略行動の激化と、それに対して安倍政権が毅然とした反撃行動を行っている状況のもとでは、「反日」的な沖縄基地撤去要求運動も、今回の承認への反対も勢いを欠いたものにならざるを得ないようだ。しかし、彼らは、見えないところで陰湿に反撃の準備をしているだろう。その一例が朝日新聞の主張であり、今回の件を次のように社説で論じている。
「承認を得たらこちらのもの。抵抗する市民を排除して工事を進めればいい――。そんな発想が政府側にあるとすれば、すぐ捨てなければならない。県民の反発を強め、今後の数々のハードルを高くするだけだろう。…略… 知事の判断にも、首相の回答にも、沖縄の思いは複雑だ。 振興策への歓迎。負担軽減策への落胆。札束でほおをたたいて基地負担を我慢せよと迫るのか、という反発もある。 沖縄の内部も、本土と沖縄の間も、分断が深まったようにみえる。近年の沖縄では「差別」という言葉が頻繁に使われる。…略… 基地の負担と歴史を重ね、差別だと訴える声もしばしば耳にする。王国をとりつぶされた琉球処分、本土防衛の「捨て石」にされた沖縄戦、独立する本土から切り離されて米国に「質入れ」された経緯である。 それは、本土に暮らす者も等しく考えるべき問題だ。 日本は戦後、憲法9条の下で平和国家の地位を築いた。ただし、それは日米安保条約による米軍の駐留と沖縄の負担の上になりたつ平和だ。 本土の人々はその事実を忘れがちだ。だが、負担を強いられる側は忘れない。意識のギャップが広がれば、何かのきっかけで不満が爆発しかねない。」(28日 朝日社説)。
なんと陰湿でおどろおどろしい内容だろうか。沖縄の人と本土の人は、全く相いれないものであり、両者は本質的に対立・抗争せざるを得ない宿命にあるとでも言わんばかりの書き方だ。ここでは、何百年にもわたる交流と友好、そして融和の努力とその成果が全く無視されている。「差別」、「捨石」、「質入れ」などといった視点で見ている人がいないとは言えないだろうが、大部分はそうではないはずだ。これは沖縄の人、そして本土の人のこれまでの問題解決に向けての懸命の努力を侮辱する見方ではないか?!
さすがの朝日も、今回のような、さまざまな形で沖縄にメリットをもたらす決断を正面切って批判するわけにもいかなかったらしい。そこで例によって、支持しているのか反対なのかを玉虫色にし、相手(知事、政府)のやることについて、「…しかし…」の主旨でひたすらケチをつけ、非現実的な負のイメージ(たとえば、「差別」、「捨石」、「質入れ」など)を想起させ、国民の不信感と不安感を煽り、両者を離反させることによって、この問題での混乱のネタを仕込んでおこうとの意図が読み取れる。そもそも朝日には「国家」や「国防」についての概念、意思がないのであり、このことは次の一説からもわかる。「同盟に不可欠なのは、集団的自衛権の行使より何より、駐留米軍への地元の人々の理解である。」(同 社説)。「地元の理解」が重要であることは論を待たないが、集団的自衛権はどうでもよいと言わんばかりの情緒的な内容には大きな違和感がある。集団的自衛権は、防衛のための武力をどう行使するかという問題だから一般には基地外の問題であり、基地問題とは直接の関係がない。両者は次元も分野も違う問題であり、それゆえ両立は可能であり、また両立させねばならない。にも関わらず、それを強引に同列に並べて択一を迫り、集団的自衛権の問題を実質的に切り捨てている。挙句の果ては、いつ「不満が爆発」するかわからないとして、テロリストの脅迫まがいのことまで書いて、不安感、不信感の醸成に努めている。これは悪意のレトリック、詭弁、扇動である。真の国防に何の関心もなく、あるのは自社の部数をいかに増やすかという経営上の欲求と、上から目線の主張による自己陶酔だけしかないから、このような脳天気で無責任なことが書けるのだろう。

ともあれ、今回の承認は、辺野古移設の実現に向けての一歩にしか過ぎない。年明けの宜野湾市長選、米国との交渉などまだいくつものハードルを越えねばならない。また、反対派が計画の実現行動に対して理不尽、非合法的な阻止行動に出てくる可能性もある。国民一丸となって、「オールジャパン」での移設推進運動を展開したいものである。


首相の靖国参拝を支持!_ 日本の主権、人の姿、世界平和への意志、中韓への配慮が示された!

2013-12-27 00:22:57 | 政治
2013年12月26日
今日安倍首相が靖国神社を参拝した。7年前の前回の安倍政権時に、靖国参拝ができなかったことを「痛恨の極み」としていた首相が、ようやく念願を果たした形だ。日本をこれまで通り「半人前の国」に押さえつけようとしている中韓は、今回の参拝を受けて激しい日本批判を出している。しかしながら、日本の首相が日本のために尊い命を捧げた人たちに尊崇の念を表明するため靖国を参拝することは、人としても国としても当然のことであり、中韓からとやかく言われる筋合いのものではない。しかも首相は、中韓に配慮して、終戦記念日や春夏の例大祭の参拝をせずに、就任後一年も経ったこの時期にようやく参拝をしているのである。首相が、主権国家として日本ができる中韓への最大限の配慮を示しつつ、日本の主権を示す行動を決断したことを高く評価し、支持したい。ともあれ、今回の参拝の意図、趣旨が何であったのかは、首相自身の言葉で説明してもらうのが一番良いだろう。以下首相談話。
「本日、靖国神社に参拝し、国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対して、哀悼の誠を捧げるとともに、尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました。また、戦争で亡くなられ、靖国神社に合祀されない国内、及び諸外国の人々を慰霊する鎮霊社にも、参拝いたしました。 御英霊に対して手を合わせながら、現在、日本が平和であることのありがたさを噛みしめました。 今の日本の平和と繁栄は、今を生きる人だけで成り立っているわけではありません。愛する妻や子どもたちの幸せを祈り、育ててくれた父や母を思いながら、戦場に倒れたたくさんの方々。その尊い犠牲の上に、私たちの平和と繁栄があります。 今日は、そのことを改めて思いを致し、心からの敬意と感謝の念を持って、参拝いたしました。 日本は、二度と戦争を起こしてはならない。私は、過去への痛切な反省の上に立って、そう考えています。戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく決意を、新たにしてまいりました。 同時に、二度と戦争の惨禍に苦しむことが無い時代をつくらなければならない。アジアの友人、世界の友人と共に、世界全体の平和の実現を考える国でありたいと、誓ってまいりました。 日本は、戦後68年間にわたり、自由で民主的な国をつくり、ひたすらに平和の道を邁進してきました。今後もこの姿勢を貫くことに一点の曇りもありません。世界の平和と安定、そして繁栄のために、国際協調の下、今後その責任を果たしてまいります。 靖国神社への参拝については、残念ながら、政治問題、外交問題化している現実があります。 靖国参拝については、戦犯を崇拝するものだと批判する人がいますが、私が安倍政権の発足した今日この日に参拝したのは、御英霊に、政権一年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意を、お伝えするためです。 中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは、全くありません。靖国神社に参拝した歴代の首相がそうであった様に、人格を尊重し、自由と民主主義を守り、中国、韓国に対して敬意を持って友好関係を築いていきたいと願っています。 国民の皆さんの御理解を賜りますよう、お願い申し上げます。」(26日 産経)。
現在、中韓のみならず、米国からも今回の首相の行動に「失望」との批判が出されているが、冒頭に述べたように、参拝は国民の代表としても、普遍的な人間性の感情としても当然のことである。中韓米からの、そして今後出てくるであろう、各国の一部の「反日」勢力からの批判には、しっかり上述の趣旨を説明していくと同時に、断固とした日本の姿勢を貫いて行く必要があるだろう。野党、特に、社民党や共産党からも強い批判が出されている。しかしながらいずれにせよ、「義と理」は安倍政権、すなわち日本にあるので、こうした不当な批判には断固として反撃していく必要がある。重要なことは、国民が結束して政府を支えていくことである。とにかく、日本の代表である首相の行動について、中韓や米国から、ああしろ、こうしろ、これはやってはならない、などといちいち支持されて、それで行動していくような国では、日本に未来はないだろう。国内外で批判が強まる可能性もあるが、それらについては都度議論していくこととし、本日はとりあえず基本的立場を述べることにとどめておきたい。

「米国の最重要パートナーは中国?!」を考える  冷徹な現実に沿って経済と国防の両面強化を!

2013-12-22 23:31:32 | 政治
2013年12月22日
「外務省は19日、米国で一般国民と有識者を対象にそれぞれ日本について聞いた世論調査の結果を発表した。アジアで最も重要なパートナーを聞いたところ、一般では日本が35%、中国は39%。質問方式などが違うため単純比較できないが、昨年は日本50%、中国39%だった。有識者では今回、日本39%、中国43%となっている。 日本の防衛力については「増強すべき」が一般では過去10年で最高の64%、有識者も72%と高水準だった。日本は信頼できる友邦かどうかを聞いた質問では一般の76%、有識者では93%が「信頼できる」と回答した。」(19日 日経)。
この調査は1960年から毎年行われているものであり、今回の調査は今年7~8月に行われた。今回の結果の特徴は次のような点にある。
>中国の伸張
経済的に台頭著しい中国と、その中国と近年 経済的な側面で相互依存度を高めている米国の状況が結果に表れたと言えるだろう。「アジア最重要パートナー」については、それまでの日本が首位の状況に対して、一般人は2011年になって初めて、有識者では2010年に日中の逆転現象が起きた。より詳しくは、一般国民の2009年からの日中の比率を(日、中)で示すと、(46、39)、(44、44)、(31、39)、(50、39)、(35、39)であり、2010年に日本と中国が同率で共に1位となったが、11年は中国が、12年は日本が単独で1位となり、今年は再び中国が1位となった。有識者については、(44、43)、(36、56)、(28、46)、(40、54)、(39、43)となっており、中国が4年連続で日本を上回っている。これは中国の人口・資源を背景にした経済成長に伴う影響力の強化が反映されたものと見ることができるだろう。
>韓国の伸張
一方、韓国を最も重要なアジアのパートナーとして考えている米国国民は、一般国民が7%、有識者が14%となり、昨年のそれぞれ1%台から大幅に増加した。最近の北の挑発行動の激化や、朴大統領が5月に米国を訪問し、オバマ大統領と首脳会談を行ったことなどが影響したとみられる。
>「アジアで最も重要なパートナー」としての日本の値の大幅低下
中国が39%で2年ぶりにトップになったのに対して、日本を挙げた一般国民は35%で、15ポイントもの大幅減となった。もっとも、中国の値は横ばいであり、これはどちらかと言えば日中のバランスをとったとでも言うべきものであり、日本の評価の低下とまでは言えないだろう。
>他方、日本に対する「好感度」や「信頼性」は従来レベルを保っている
対日信頼度は一般の部で76%、有識者の部で93%と、前回と同様の高い数値が示されている。また、日米協力関係を「極めて良好」ないし「良好」と回答する割合は、一般の部で58%、有識者の部では86%との数値が示された。
>「日米安保の維持」についての支持が大幅減少!
日米安保条約が「米国の安全保障にとって重要か」との質問には、一般市民で「極めて重要」「ある程度重要」との回答が計88%に上った。有識者も同じ計88%だった。ところが、「有識者とは区別して行った一般国民対象の調査で、日米安全保障条約を維持すべきかと聞いたところ、「維持すべきだ」と回答した人は67%で、前年より22ポイントも大幅減少となった。(時事)。 この質問が設けられた1996年以降で最低だった。朝日の紙面では、この原因として、尖閣諸島における日中の対立を挙げ、これに巻き込まれるのを嫌がったのではないかということも指摘している。これは正しい見方だろう。
>それゆえ逆に、日本の防衛力強化についての支持が上昇している
日本は防衛力を増強すべきと考えるかとの質問については,「増強すべき」との回答が一般の部で64%,有識者の部で72%となった。

以上、全体としては日本にかなり厳しい内容になっているのではあるが、これは以下に述べるように、激変する世界情勢に対する米国の戦略、政策変化の反映であり、ある意味で当然のことでもあるので、それゆえ日米同盟の信頼性を損なうものではない。つまり、「対中弱腰姿勢」、「日本軽視」と言えなくもないが、だからと言って、日米同盟が役に立たないとか、「対米強硬姿勢」を取るべきだということにはならない。日本に求められているのは、日本もまたこうした情勢の激変を踏まえて、現実的かつ最適、戦略的行動をとって行くことであるだろう。以下、これらの内容がどういう意味合いのものであるかについて、私見を述べてみたい。

《中国の台頭と日本の経済力の相対的低下によって、中国の経済的魅力を無視できない米国》
「中国を最も重要なパートナーに選んだ一般国民に理由(複数回答)を尋ねたところ、80%が「貿易と経済の関係」と回答。日本を選んだ人は、48%が「政治の結束」と答えた。」(共同_20日 産経)。
米国といえども、国益に供する経済活動なくしてはやっていけない。もうほとんど先が見えた中国経済ではあるが、しばらくは、世界の経済活動のエンジン役を果たすであろうから、米国としても中国との良好な経済関係は保持したいところだろう。日本は経済的にも、政治的、軍事的にも重要なパートナーではあるが、残念ながらここ20年にもわたる政治・経済の混迷で、日本にかつての活力はない。「これではいけない」と、日本はようやく再生への道を踏み出してはいるが、先は長い。米国が中国になびく理由の一つは日本の経済状態にもあるわけだから、日本は「米国の姿勢が云々」と言うまえに、日本経済が置かれている危機的状況をしっかり認識すべきだろう。中国では、ネットユーザーが「日本人だけが(日本よりも中国が上位だったことに)意外だと驚いている。米国は利益至上国家だから。中国と日本、どちらがより大きな利益をもたらしているのか一目瞭然」「日本の没落の兆候が見えてきた」などの感想を寄せているそうだ。これはかなりの事実を突いている!

《米国は、日米同盟によって中国の暴走を抑えつつ、中国との経済関係を発展させようとしている。これは日本とても同様だから異存はないが、問題は中国(そして韓国)の出方である。日本の国益を損ねてまで、両国に譲歩することはできない!》
新興国の著しい台頭、世界の多極化によって、米国はもはやかつてのような「世界の警察官」としての超大国ではなくなっている。米国はどんどん「内向き」となり、世界の煩わしい問題からできるだけ手を引こうとしている。このことはオバマ大統領自身が「米国は世界の警察官ではない」と認めている。もちろん、これは米国がその超大国の責務を投げ出してしまうということではなく、現在の米国の力の範囲内でやれることを行い、足りない分は、日本などと役割を分担して、全体として、世界の平和と繁栄の秩序を作っていこうということである。これは安倍首相の唱える「積極的平和主義」と軌を一にする考えであるだろう。
米国の考えがどのようなものであるのかは、次の11月30日の毎日の記事(最終更新 12月6日)が明確に語っているように思う。
「2008年の米大統領選でオバマ氏の外交顧問を務め、現政権の外交政策に影響力のあるズビグニュー・ブレジンスキー元米大統領補佐官(国家安全保障担当、85歳)が毎日新聞の書面での取材に応じた。日本に対して「自国の安全保障を確保するだけでなく、世界の安定に貢献する能力がある」と安全保障分野における国際的貢献に強い期待を明示。日本の役割拡大には中国、韓国など近隣国との「和解」が重要との認識を示した。 ブレジンスキー氏は日本について「今や、経済的・軍事的な国力の強さに見合った、世界におけるより大きな役割を引き受ける態勢にある」と評価。一方、日本が国際社会で効果的に役割を拡大するための条件として、米国と協力しつつ「日本と近隣諸国との間の関係を難しくしている一部の問題」を解決することを指摘した。その上で、第二次大戦後に国家的な和解を追求したフランスとドイツやドイツとポーランド、現在のポーランドとロシアの経験を「慎重に考察すべきだ」と提案。「歴史的な反感の連鎖を断ち切るには多大な労力を要するが、結局は、和解は当事者の利益となる」と述べ、日中、日韓関係を改善すべきだと呼びかけた。 一方、米外交の進むべき方向性として、第一に欧州や日本、韓国など「民主的価値」を共有する国々との同盟の「根本的重要性」を認識すべきだと指摘。続いて、「中国とのグローバルパートナーシップの発展に向けた努力」と「ロシア、インドなど他の主要国との最大限の協力」を挙げた。」(毎日)。
ブレジンスキー氏は、米コロンビア大を中心に国際政治を研究し、1977〜81年にカーター大統領の国家安全保障担当補佐官を務めた。退任後もレーガン、ブッシュ(父)両政権の諮問機関などで外交政策に助言する一方、ブッシュ(息子)政権の単独行動主義を批判するなどキッシンジャー元国務長官と並ぶ米外交の大御所的な存在として知られる。氏の考えは、オバマ政権の、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官らの言動に符合しているから、これは米国の外交戦略と見てよいだろう。
とは言え、日本と米国は別の国家だから、なにからなにまで日米の利益が合致するということはあり得ない。ここに述べられている「日本と近隣諸国との間の関係を難しくしている一部の問題」を解決することは、言うは易しで行うは難しである。尖閣、竹島、慰安婦、戦時徴用、歴史認識、靖国…、などについての中韓の主張はいずれも虚偽でぬりかためられており、しかも日本の主権と国益を損なうものであるから、安易な妥協や譲歩はできない(それをこれまでやって来たが、いずれも逆効果だった)。日本がこれらの問題の解決のために努力することはもちろんであるが、もし米国が安易な妥協や譲歩を日本に求めるようなことがあるならば、日本はこういう理不尽な圧力は跳ね返すことになるだろう。
尖閣問題についても、不協和音はあり、その一つが、今回の米国一般国民の「安保維持」に否定的な意見の増加であるだろう。これは、米国にとってアジアにおける経済的に最も重要なパートナーは中国であり、米国は中国と事を構えたくない。日本が中国と事を構えるなら米国をまきこまずにやってくれ、との意識が米国内に広がりつつあることの反映ではなかろうか。対する日本では、尖閣・日本を守る戦争は米国がやってくれるものとの脳天気な考えがはびこっている。日米両政府、特に日本の政府は、こういうギャップを埋める行動をとらねばならず、米国政府もこのための支援をしっかり行うべきである(なにしろ、日本人にこういう脳天気な考えを植え付けたのは米国なのだから)。

《米国の政策によって、中韓がタガをはめられることは良いことだ!》
上述の米国の政策は、日本にとって不都合な点もあるが、好都合な点も少なくない。値の多少はあるにしても、中国、韓国が米国の「アジアで最重要なパートナー」候補と認められることは、中国や韓国がそれにふさわしい考えを持ち、行動するということでもある。つまり、現状では北と同類の‘野蛮さ’としか言いようがない中韓が、それなりに理性的な国になることを意味する。ブレジンスキー氏は次のように言っている。
「米中関係については「現時点では民主的価値を共有していない」としながら、「世界のさらなる安定、安全保障の強化、山積する地球規模の課題への長期的な対応において、米中はともに貢献できる」との共通認識を持てば、関係発展は可能との認識を示した。」(同上 毎日)。
韓国の値が大幅に増大した理由の一つはこの辺にあるように思う。すなわち、米国民は中国のみならず、北の蛮行にも危機感を強めており、南北の戦争に巻き込まれたくないということであろう。韓国を一人前の国として認めるから、せめて南北という同族の争いにまで米国を巻き込まないでくれと言うことではなかろうか。

《真の「最重要パートナー」になること、すなわち「積極的平和主義国家」になることを求められている日本! 現在の日本政府の戦略・政策、行動は正しい!》
とにかく米国の戦略・政策は、朝日新聞が「米世論『日米安保を維持』急減 『重要パートナー』中国に抜かれる」と見出しをつけて、いかにも米国は日米同盟に嫌気がさしているとか、現在の日本政府の政策が米国から否定されたかの如きイメージをまき散らそうとしていることとは相容れないものだ。また、読売新聞が「連帯感薄れ?米、アジア最重視は中国…日本2位」、つまり日米同盟は危ういというイメージでもない。米国は「条約に従って、日本を守る」と明言しており、現状では日米同盟はしっかりしている。ただ、日本の一部の国民が考えているような‘何から何まで米国がやってくれる’条約ではないということなのであり、これは当然のことだ。日本には、主権国家としての権利も義務、役割があり、それらを果たさなければならない。その第一歩は、経済大国としての、経済の立て直しであり、もう一つは、国の防衛を他国に押し付けるのではなく、「自分の国は自分で守る」という主体性を持つ国になることである(この前提に立ってこその「同盟」!)。ブレジンスキー氏は、日本の国力が最盛期、世界第二位の経済大国にのし上がった時代の、1972年に、「ひよわな花・日本―日本大国論批判」を出版し、日本の政治・経済・文化・防衛を読み解き、未来を語った。氏は、我が国のことを、「政治的な砂上の国家に築かれた経済大国」と説いた。それは、「欧米先進国のほとんどがGNPの4%以上」の国防軍事予算に対して、1%の日本の今後の対応について述べられていた。彼によると、当時の日本の防衛力は「4週間程度以上は持ちこたえられまい。」と述べている。残念なことに、この状況はほとんど変わっていない。今、国防予算は、依然としてGDPの1%にとどまっており、国防上不足分は、米国の核の傘と、軍事力によって補われている。金と血を流すのは米国で、「平和国家」の賞賛を受け取るのは日本というようなことでは、米国が「最重要パートナー」と呼びたくなくなるのも無理はないのではないか。

緊急・重要_ ホワイトハウスへ「慰安婦像」撤去請願署名を! 韓国の虚偽に憤っている人は参集を!

2013-12-17 08:45:42 | 政治
2013年12月17日
これはまさに、‘緊急かつ重要’な事柄だ!
「―米の慰安婦像撤去を ホワイトハウスの請願サイトで 米男性が開始― 米カリフォルニア州グレンデール市に設置された慰安婦を象徴する少女像をめぐり、米国人男性がこのほど米ホワイトハウスのホームぺージ(HP)の請願コーナーでオバマ大統領に像撤去を求める請願活動を始めた。請願が正式に受理されるには、来年1月10日までに10万件の署名が必要だが、16日の時点で集まったのは2万件余り。達成は容易ではない。(田北真樹子)
「グレンデール市の公園に設置された侮辱的な像の撤去を」と題した請願を始めたのは、米テキサス州在住のトニー・マラーノさん(64)。反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)による調査捕鯨への抗議活動で日本が不当におとしめられていると問題意識を持ったのをきっかけに、動画サイト「ユーチューブ」を使い告発を続けている。「テキサス親(おや)父(じ)」のあだ名で知られる。 請願コーナーで取り上げられる案件のほとんどは実現していないとされるが、マラーノさんは産経新聞の取材に「慰安婦像が平和よりも憎悪を助長するものだと感じる人にとって、請願が不快感を示す手段になればと思った」と請願活動を始めた動機を説明した。 請願の正式受理に必要な署名はこれまで2万5千件だったが、最近になって10万件に引き上げられた。米国内で複数の都市が慰安婦像の設置を検討しているといわれる中、10万件のハードルを越えられれば、グレンデール市以外の都市に「安易な決断をしないように働きかける事になる」(日本国内のマラーノさんの代理人)と期待する。 慰安婦像撤去を求める署名サイト(英語)はhttp://goo.gl/mnXO3Y、英語での署名方法が分からない場合はhttp://staff.texas-daddy.com/?eid=454に解説がある。」(16日 産経)。
私はよく知らなかったが、嬉しいことにこれは‘米国人でなくても参加できる’とのこと。「慰安婦問題」と言う韓国の不当で理不尽な虚偽の喧伝によって、日本の名誉が不当かつ理不尽に貶められているにも関わらず、何もできないことに歯ぎしりしている人は少なくないと思う。ぜひともこれに参加して、‘真実’を世界に発信しようではないか。私もこのような署名はやったことがないので、どうすればよいのかわからないが、ありがたいことに、次の日本のサイトで詳しく解説してくれているので、何はともあれ、アドレスをアップしておきたい。難しそうにみえるが、やってみると簡単らしい(私もこれから)。
<請願署名の方法>

重要なことは、後20日程度で、賛同者を10万人以上に拡散させねばならず、それゆえ、一刻の猶予もならないことである。上述の記事にもあるように、10万人の署名はかなり‘高いハードル’のようだが、逆に言えば、20日程度で、この高いハードルを越えたことが示せれば、「慰安婦問題」に対する日本人の憤りがいかに強いかを米国、韓国そして世界に示すことができる。これは韓国の不当な虚偽攻勢に反撃し、米国での日本への不当な批判の広がりを食い止めるチャンスである。逆に、高いハードルとは言え、10万人程度のことが達成できないようでは、それがこの問題に対する日本人の意識の低さと誤解される恐れがある。ぜひとも成功させたいものだ。日本のマスコミはこの件をほとんど報道していないが、韓国では重大な関心を持って報道しているとのこと。また、この運動をしている‘テキサスおじさん’へは、米国内外の韓国人から、不当な非難のメールや、「殺人予告」などの脅迫も行われているという。こういう不条理なこと、不当なことを許さぬために、この運動で、日本人の良識と、断固たる姿勢を示そうではないか!

中国「防空識別圏」内の「飛行計画」_ 毅然たる姿勢を世界に示そう! 主体性なき対応は「孤立化」招く!

2013-12-14 21:42:41 | 政治
2013年12月14日
この問題について次のような報道もなされているが、これは国民にかなりの誤解を与えるものと考える。
「―韓国、中国に飛行計画提出 方針転換、日本さらに孤立―
韓国国土交通省当局者は12日、国内の航空各社に対し、中国の防空識別圏を通過する際の同国への飛行計画提出を容認する方針を伝えたことを明らかにした。これまで提出しないよう指示しており、事実上の方針転換。大韓航空やアシアナ航空などは、同日から飛行計画の提出を始めた。 中国政府はこれまで、20以上の国・地域の航空会社が飛行計画を提出したとしており、日本国内の航空会社に提出しないよう要請する日本政府の孤立がさらに浮き彫りになった。」(12日 共同)。
この中の日本の「孤立」ということに対しては、強い‘意義’を表明したいのであるが、その前にまず、日本政府と米国の対応を見ておきたい。
「菅義偉官房長官は12日の記者会見で、韓国政府が中国の防空識別圏を通過する韓国の航空会社に対し、飛行計画提出を容認する方針に転換したことに関し「日本政府の方針を変えることはない」と述べ、日本の航空会社が中国に飛行計画を提出しないよう求めていく考えを示した。また、中国の防空圏設定について「公海上空における飛行の自由を不当に侵害する。関係国と連携し撤回を求める方針は変わっていない」と説明した。」(13日 産経)。
「政府は13日の閣議で、中国による防空識別圏設定に関し、日本の航空会社が飛行計画を中国側に提出しない場合でも、「直ちに安全上の問題はない」とする答弁書を閣議決定した。
 根拠として、外務省の斎木昭隆事務次官が11月25日、中国の程永華駐日大使に厳重抗議した際、程氏から「民間機を含め、飛行の自由を妨げるものでない」との発言があったことを根拠とした。 みんなの党の中西健治参院議員の質問主意書に答えた。」(13日 産経)。
次に米国の対応と行動である。
「バイデン米副大統領が4日に北京で習近平(シージンピン)中国国家主席と会談した際、中国による防空識別圏の設定に対し、「米国は日本の同盟国であり、何かがあれば、(日米安全保障)条約上の義務がある」と述べていたことがわかった。 日中間で紛争が起きれば米軍の出動を辞さない決意を示し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺など中国が防空識別圏に含めた区域内で中国の軍事行動を抑止する狙いがあるとみられる。日本政府関係者が12日、明らかにした。 米政府はこれまでも、尖閣諸島には対日防衛義務を定めた日米安保条約5条が適用されるとする立場を表明してきた。ただ、米政府首脳が中国政府首脳に直接、こうした立場を伝えるのは異例だ。防空識別圏は各国が独自の判断で設定できるため、米政府は撤回までは求めていないが、中国を強くけん制した。」(13日読売)。

先月23日の中国による一方的な「防空識別圏」の設定に対して、米国は26日に中国に無通告でB52戦略爆撃機を飛ばして、中国の一方的な防空識別圏の設定を認めない意志表示をした。日本国内では、これを米国の中国に対する対決の意志表示と見て、安堵すると同時に、米国に喝采を送った向きもあったが、現実は必ずしも日本が期待していたようなものにはならなかった。以後の展開は、かなりわかりにくいものであったが、今ようやく全体像が見えてきたようである。日本は今回の設定を不当なものであり認められないとし、「撤回」の要求をすると同時に、中国による民間航空機の飛行計画提出要求には応じられないとする立場をとっている。これに対して米国は、設定は、認められないとしつつも、「撤回」までは要求していないし、また民間航空機の飛行計画提出要求に応じるという立場をとっている。おまけに韓国は例によって、米国への泣きつき外交で、韓国の新たな防衛識別圏を米国に認めさせ、他方では、これまでの方針を転換して、飛行計画を提出し、中国への‘すり寄り’を行った。中国はこうした日米(そして韓国)のギャップを突いて、日米の結束を弱めようと策動している。
冒頭の共同通信記事はこのような情勢をとらえて、日本の「孤立」と表現しているのであろうが、これは問題であるので、以下四つの点について述べさせてもらいたい。
第一に、日本が各国から批判されているならともかくも、そういうことはないし、むしろ大部分の国は日本を支持している。もし中国側発表の20以上の国・地域の航空会社が、飛行計画を提出しているというのが本当なら、確かに多数決で言えば、日本が極めて少数派(というよりも唯一の例外?)であるとは言える。しかし、だからと言ってこれがなぜ孤立化を意味することになるのか。日本は中国からの侵略のターゲットになっている当事国であるのだから、どちらかと言えば第三国であるその他の国と対応が異なるのは当たり前だ。第三国は、日本の主張にエールを送るにしても、自国の国益を犠牲にしてまで、日本の応援をするつもりはないだろう(逆の立場で考えてみればよい)。なにしろ、中国は「飴と鞭」の使い方が巧みだから、各国とも、下手な動きはできないのである。しかし、これは各国が日本を批判していること、それゆえ日本が「孤立」していることをなんら意味しない。
第二に、数もさることながら、質・内容の方がよほど重要だということである。日本が主体的に、正しく毅然とした行動を取れば、世界は日本を支持し、中国が孤立する。世界は、どちらの主張が正しいのか、どちらの主張が国益にかなうかということで、自分たちのその後の動きを決めようとしている。中国の理不尽、かつ野蛮な行動に対して、日本が腰砕けになって、中国への軟弱姿勢見せた途端、世界は日本を見放すだろう。軟弱な国を応援してみても、ついて行っても、結局は‘ハシゴを外される’だけだし、悪くすると、自分たちが日本に代わって中国と戦争をしなければならないはめになってしまう。バカバカしいことこの上ないと思うだろう。こう思われたら本当の孤立化である。こうなってはいけない。
第三に、米国は、米国の国益を守りつつ、日本の防衛義務も果たすという難しい要求を抱えつつも、それなりの努力をしているように見える。これ以上の何かを期待するのは、する方が無理ということになるだろう。米国は尖閣問題については当事者であると同時に、第三者的要素を持っている。今回の中国の設定は、米国のアジアにおける外交、軍事的なプレゼンスを否定し、それをかすめ取ろうとする策動の一環であり、米国に対する挑戦そのものであるから、黙ってはおれない。だから、厳しく非難している。同時に、中国の尖閣侵略行動に対しては、日本防衛のため、中国と一線を交えることも辞さないとの決意を中国に伝達している。ただそうは言っても、米国とても中国との戦争はなんとしても避けたいところであり、国内経済成長のためには、中国と険悪な関係になって、中国市場を捨て去るようなまねもできない。したがって、中国に一定の譲歩をして、事態をこれ以上深刻化することに歯止めを掛けたいということだろう。米国には、日本とは異なる国益があるから、日本の立場と完全には一致しない部分があることは、止むを得ぬことである。重要なことは、日本を守る義務を負っていることを米国がはっきり明言していることであり、そうである以上は、日本は、これを基軸として、防衛体制を強化することが重要となる。尖閣の防衛はあくまでも日本主体の仕事であり、断じて米国主体の仕事ではない。米国は日本の友軍として、日本の防衛戦争を支援する国であって、日本の代わりに中国と戦争する国ではないのだ。
それゆえ第四に、日本に必要なことは、米国に無理な要求をすることではなく(もちろん、正当なことは言わねばならないし、米国の不当な要求は撥ねつけねばならないが)、自力でも尖閣を守れるような具体的行動(法整備、予算増強、装備の増強、普天間移設、訓練の強化など)である。問われているのは、日本の断固たる姿勢なのであり、この点では、日本政府の現在の対応は正しい。日本の民間航空機に対する安全上の不安から、旅客数が減少し、経営上の困難が発生しているとの話も漏れ聞くが、腰砕けにならぬように、今後とも断固たる姿勢を貫いてもらいたい。また国民も、しっかり政府、日本の航空会社を支援していく必要があるだろう。なお、韓国であるが、どうしようもなく「愚かな国」であり、それゆえ‘期待も、信頼もできない国’であるとの認識に基づいた対応が不可欠である。国内政局は、一部で「野党再編」論議が盛り上がっているようだが、日本を守ることに何の関心も示さない野党など、無益であるばかりか有害と言える。くだらない党利党略のパフォーマンスをするのではなく、どうやって日本を守るかを語るのが先決だ。