もとなりくんの「今週の政治 ‘とんでも’」

日本の経済、安保危機を打開する力は、国民の結束と強い政治しかない

慰安婦問題 維新石原氏の橋下批判は‘らしくない’! 「タブー」に切り込まずして「維新」はできない!

2013-06-19 16:42:46 | 政治
各社の世論調査で維新の支持率が軒並み急落しており、これに焦りを募らせたのか、石原氏が橋下発言を唐突に批判した。
「日本維新の会の石原慎太郎共同代表は18日、共同通信のインタビューで、共同代表の橋下徹大阪市長による従軍慰安婦発言が党勢低迷を招いたことについて「大迷惑だ」と批判した。参院選の結果次第では、橋下氏の進退判断もあり得るとの認識を示した。橋下氏を擁護してきた石原氏が厳しい姿勢に転じたことで、日本維新の混乱が拡大する可能性もある。…略… 橋下氏の慰安婦発言について、石原氏は「言わなくてもいいことを言って、タブーに触れた。いまさら強弁してもしょうがない」と述べた。」(18日 共同)。
まったく石原氏‘らしくない’発言であり、維新の理念からしても問題ある発言と言わざるを得ない。これに対して橋下氏は、19日、次のように反論している。
「「(発言は)間違っているとは思っていない。有権者に繰り返し丁寧に説明していく」と述べ、撤回や謝罪をしない考えを示した。その上で「歯止めがかかる党だというのが表になって良かった。これが日本維新の会の姿だ」と強弁した。 参院選や東京都議選を控えていることを踏まえ「敵は外にいる。内部でエネルギーを割く時期ではない」と党内に呼び掛けた。選挙への影響に関しては「有権者に党内の議論を知ってもらうのはいいことだ」と述べるにとどめた。 慰安婦発言には、「ここまで幅広くこの問題が知れ渡ったのは(河野官房長官談話が出た)平成5年以降初めてだ」と自賛した。」(19日 産経)。
これは当然かつ正しい主張であるだろう(「強弁」、「持参」というのは色眼鏡と言うしかない)。

そもそも、維新の失速、急落の原因は、複合的なものであるだろう。もともとの大阪維新の異常とでも言うべき人気は、民主党、自民党のだめさ加減の裏返しだった。だから、安倍首相という強力な指導者を得た自民が勢いを取り戻した今、維新の存在価値が相対的に低下するのはある意味で当然である。旧「立ち上がれ日本」の切り札としての石原氏の参加も期待通りの支持の広がりが得られなかった。また、太陽の党と合流したことによって、大阪維新の斬新なイメージが損なわれたこともある(もちろん、太陽の、国会・国政ノウハウが得られたというメリットはあった)。大阪維新は地域政党であり、地域に根差した政治を手作りで行うことと橋下氏のキャラクターとの二つを売り物として伸張したが、国政に進出してそれが、素人くささ、国政ノウハウの不足というマイナスの形で表れてきたということもある。もともと理念や政策の違いが少なくなかった太陽との合流を行ったことは、「政策重視」という維新の看板を曇らせた。国政政党に脱皮するためとは言え、知名度はあるものの維新の斬新、清潔なイメージにそぐわない人たち、政策的に無節操な人たちを受け入れたこともイメージを悪くした。今回の橋下発言が、維新人気の低落に追い打ちを掛けたことは事実であるが、だからと言って、これにすべての原因があるかのような言い種はいかがなものか。
石原氏の発言で耳を疑いたくなること、それゆえ、より深刻な問題は、「言わなくてもいいことを言って、タブーに触れた。いまさら強弁してもしょうがない」と言っていることである。沖縄米軍に風俗を勧めることなどは、確かに「言わなくてもいいこと」であり、こういう発言をするようでは橋下氏の本性がこの程度であると誤解されても仕方がなく、これの撤回、謝罪は当然のことである。これはモラルの問題だから、「タブー」以前のことである。しからば石原氏の言う「タブー」とは「慰安婦問題」についての日本の立場を公にし、韓国、米国に反論し、国際社会に理解を求めることと言える。しかしこれがなぜ「タブー」なのか?! もしこれが「タブー」であるならば、これを破っていくのが、日本のやるべきことであり、日本維新がやるべきことではないのか? 日本が根も葉もないことで侮辱を受け非難されているのに、これを「タブー」視して、ひたすら黙り込むようなことで、どうして日本の「維新」ができようか、どうして日本に「立ち上がれ」などと呼びかけられるのか? 一体に、今回の橋下「慰安婦」問題においては、これまで国士気取りで、「濡れ衣を晴らせ」とか、「政府は何をしているのだ」とか、「韓国、米国はけしからん」などと言っていた政治家、知識人、国民の多くが(すべてではない!)、黙り込んでしまい、のみならず橋下批判に走ったように見える。本来 平沼氏などは、橋下発言以前の問題として「慰安婦」問題に先頭を切って取り組むべき立場であるはずだが、氏がこれまでにやる気を持って取り組んできたようには見えないし、今回の橋下発言に対しては、迷惑千万という態度であった。なぜ今回の騒動を「慰安婦問題」の不当性、虚偽性を訴える千載一遇のチャンスとして、橋下氏とベクトルを合わせて、国民と国際社会に訴えないのか?! これではいくら国士を気取っても、国民の人気取りのためのそれ、ポーズだけのそれということになってしまう。橋下発言の本旨は安倍首相、自民党の右派とも共有されているはずのものであるが、安倍首相は「日本政府の立場は橋下氏のそれとは違う」と述べた。これはいわばトカゲのしっぽ切りであるが、政党が違うのだし、何よりも安倍首相は日本の代表であるから、橋下氏の不用意な発言の尻拭いをするようなことになっては我々国民も困るので、これは止むを得ない意味がある。だからこそ、‘草の根’の運動、下からの運動が必要なのではないか。橋下氏は、維新(共同)代表であり、安倍首相よりははるかに発言しやすい立場にある。橋下氏の発言の本旨は正しく、そしてそれは「タブー」に挑む勇気ある行動なのだから、心ある国民はこれを擁護し、支持すべきであった(実際、こういう動きはある)。少なくとも、維新のメンバーがこれを擁護することは当然のことであるだろう。
現に石原氏も当初は「軍と売春はつきもの」として橋下氏を擁護していた。もともと橋下氏にはフライング発言が多く、物議をかもすことが多かった。そのような橋下氏に「義経(橋下)を守る弁慶になる」と言って大阪維新と太陽を合流させたのが石原氏なのだから、この程度の問題発言で、そしてこれくらいの維新低迷で、簡単に橋下批判に走るのは、‘らしくない’と言わざるを得ない。
いずれにせよ、橋下発言は、日本の主張を初めて国際社会に具体的に堂々と発信したという意味で、その意義は大きい。だから「いまさら強弁してもしょうがない」とはならない。橋下氏は先月27日の海外メディア会見で、2時間半にわたる説明、質疑応答をこなした。この種の会見は弁明だけに終始し、質疑応答などは形だけで早々に打ち切り、逃げ切りを図るのが一般であるが、橋下氏は質問がなくなるまで反転攻勢を含んだ積極的説明を続け、ついには、記者の方が疲れてしまったようだ。橋下会見以後、国際社会の日本たたき、特に韓国の理不尽で情緒的な「反日」合唱は勢いを失ったように見える(国連拷問禁止委員会などのマイナーなものはあるにせよ)。とにかく効果はあった!「言わぬことは聞こえぬ」のであり、国内だけでいろいろ言っても、海外に発信しないかぎりは国際社会には通じない。正しいことは断固として主張し、その実現のために果敢に行動していく、これが、維新の真骨頂のはずだから、維新は石原・橋下両氏の協力でもって今回の問題を乗り越えて頑張ってもらいたいものだ。