米中首脳会談が終わり、概要も明らかとなったので、ここでとりあえずの感想を述べておきたい。一言で言って、わかりにくい会談結果であり、あえて言うとすれば、お互いが自分の主張を自分の観点で言い合っただけの‘同床異夢’の結果と言えるのではなかろうか。サイバー攻撃問題、北制裁の問題などでは一定の前進があったと言えるが、尖閣をはじめとする中国による周辺国への領土侵略問題についてはまさに‘同床異夢’の結果であったと言ってよいだろう。
「オバマ大統領は尖閣諸島を巡る日中の対立について、両国に緊張緩和の取り組みと話し合いを求める立場を改めて表明した。 8日の会談後に記者会見をしたドニロン大統領補佐官(国家安全保障担当)によると、両首脳は7日に尖閣諸島を巡る日中の対立についても意見交換した。オバマ大統領は、「関係国は緊張を高めるのではなく緊張緩和を求めるべきであり、行動ではなく外交チャンネルを通じて話し合おうとすべきだ」と指摘したという。
また、中国の外交全般を担当する楊潔●(●は竹かんむりに褫のつくり)国務委員(副首相級)も8日の会談後に記者会見した。楊氏によると、習主席は7日の夕食会で、南シナ海での領有権問題や尖閣問題が取り上げられた際、「国の主権と領土をしっかりと守る」としたうえで、話し合いによる問題の解決を主張したという。習主席は「関係する国々が責任ある態度を取り、挑発的な態度をとることをやめ、なるべく早く問題を適切に解決するための道に戻るべきだ」との考えをオバマ氏に伝えたという。」(9日 朝日)。
オバマ大統領の発言は、中国の武力による領土侵犯行為への強い牽制ではあるが、「関係国」や「外交チャンネルによる解決」の意味が(表面的には)曖昧であるから、「尖閣の領有権をめぐる」日中対話促進のことと解釈する余地を残している(もちろん、こういう主旨ではないはずではあるが)。現に、次のようにも報じられている。
「中国の楊潔●国務委員(外交担当)は8日(日本時間9日)、「関係方面が責任ある態度をとって挑発行為をやめ、対話を通じて妥当な問題処理と解決の軌道に立ち戻るよう望む」と述べ、名指しは避けながらも、日本などに対して、中国との領土交渉に応じるよう求めた。」(9日 産経)。
これでは話が全くアベコベである! 数千年の歴史に育まれた中国の自己中心的発想と、高度な詭弁の技術には、恐れ入るしかない。このようなわけで、今回の会談内容は、お互いにかみ合わぬ議論であった。
看過できないことは、習主席が「太平洋には両国を受け入れる十分な空間がある」と述べ、米中は「新型大国関係」であるべきと主張している点である。先の「中華民族の偉大な復興」というスローガンと相まって、ここには中国の海洋進出の野心、米中二か国(G2)による世界支配の野望が露骨に表れている。
このような中国の露骨な力の発想、詭弁的なやり方の中で、米国が戸惑いながらも、(中国のみならず、日本他にも)様々な配慮を尽くしたということは言えるだろう。ともあれ、一部に懸念されていたような「米国の中国傾斜」は今のところ見られてはいない。しかしながら、このような米国の対応は、日本を‘大船に乗った気’にさせるものではない。遅かれ早かれ中国は米国を抜いて世界一の経済大国になるだろうとの予測もある現状において、米国だけで中国を抑え込むことはもはや困難であるから、日本としても「米国頼み」一辺倒の発想に立ってはならないだろう。今回の会談結果が示していることは、日本は自力で国を守れる防衛力、外交力を早急に強化する必要があることである。特に、尖閣については「領土問題は存在しない」という原則を貫くのはもちろんであるが、これだけでは不十分であることは明らかだ。国際司法裁判所での決着をも視野に入れて、尖閣が「日本の固有の領土」であることの根拠の強化と、その広報・宣伝活動の強化が急務である。同時に、日米同盟の実質を更に強化し、一連の民主主義国、利害を共有する国々(現状では、韓国はこれに値しない!)との連携強化の必要性である。
「オバマ大統領は尖閣諸島を巡る日中の対立について、両国に緊張緩和の取り組みと話し合いを求める立場を改めて表明した。 8日の会談後に記者会見をしたドニロン大統領補佐官(国家安全保障担当)によると、両首脳は7日に尖閣諸島を巡る日中の対立についても意見交換した。オバマ大統領は、「関係国は緊張を高めるのではなく緊張緩和を求めるべきであり、行動ではなく外交チャンネルを通じて話し合おうとすべきだ」と指摘したという。
また、中国の外交全般を担当する楊潔●(●は竹かんむりに褫のつくり)国務委員(副首相級)も8日の会談後に記者会見した。楊氏によると、習主席は7日の夕食会で、南シナ海での領有権問題や尖閣問題が取り上げられた際、「国の主権と領土をしっかりと守る」としたうえで、話し合いによる問題の解決を主張したという。習主席は「関係する国々が責任ある態度を取り、挑発的な態度をとることをやめ、なるべく早く問題を適切に解決するための道に戻るべきだ」との考えをオバマ氏に伝えたという。」(9日 朝日)。
オバマ大統領の発言は、中国の武力による領土侵犯行為への強い牽制ではあるが、「関係国」や「外交チャンネルによる解決」の意味が(表面的には)曖昧であるから、「尖閣の領有権をめぐる」日中対話促進のことと解釈する余地を残している(もちろん、こういう主旨ではないはずではあるが)。現に、次のようにも報じられている。
「中国の楊潔●国務委員(外交担当)は8日(日本時間9日)、「関係方面が責任ある態度をとって挑発行為をやめ、対話を通じて妥当な問題処理と解決の軌道に立ち戻るよう望む」と述べ、名指しは避けながらも、日本などに対して、中国との領土交渉に応じるよう求めた。」(9日 産経)。
これでは話が全くアベコベである! 数千年の歴史に育まれた中国の自己中心的発想と、高度な詭弁の技術には、恐れ入るしかない。このようなわけで、今回の会談内容は、お互いにかみ合わぬ議論であった。
看過できないことは、習主席が「太平洋には両国を受け入れる十分な空間がある」と述べ、米中は「新型大国関係」であるべきと主張している点である。先の「中華民族の偉大な復興」というスローガンと相まって、ここには中国の海洋進出の野心、米中二か国(G2)による世界支配の野望が露骨に表れている。
このような中国の露骨な力の発想、詭弁的なやり方の中で、米国が戸惑いながらも、(中国のみならず、日本他にも)様々な配慮を尽くしたということは言えるだろう。ともあれ、一部に懸念されていたような「米国の中国傾斜」は今のところ見られてはいない。しかしながら、このような米国の対応は、日本を‘大船に乗った気’にさせるものではない。遅かれ早かれ中国は米国を抜いて世界一の経済大国になるだろうとの予測もある現状において、米国だけで中国を抑え込むことはもはや困難であるから、日本としても「米国頼み」一辺倒の発想に立ってはならないだろう。今回の会談結果が示していることは、日本は自力で国を守れる防衛力、外交力を早急に強化する必要があることである。特に、尖閣については「領土問題は存在しない」という原則を貫くのはもちろんであるが、これだけでは不十分であることは明らかだ。国際司法裁判所での決着をも視野に入れて、尖閣が「日本の固有の領土」であることの根拠の強化と、その広報・宣伝活動の強化が急務である。同時に、日米同盟の実質を更に強化し、一連の民主主義国、利害を共有する国々(現状では、韓国はこれに値しない!)との連携強化の必要性である。