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自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

事業仕分けの成果 「中間搾取」と「無駄なところへのお金の流れ」のカット

2009年11月28日 10時10分34秒 | 予算・事業仕分け
事業仕分けが終わった。
これまで水面下でなされてきた予算をつくる過程の一部であるが、国民に広く公開することで、「政権交代によって、日本の政治が変わろうとしている」ことを印象づけることができた。削減額は目標の3兆円には達していないが、国民が税金の使い道に関心を持ち、仕分けの是非について普通に話すようになったこと、官僚が推進する事業の非効率さや国民とはかけ離れた金銭感覚への追及に拍手をおくったことにこそ、大きな意味がある。現在もスーパーコンピュータに関して議論が巻き起こっているが、「(使い道は例示しかできないが)世界1を目指す」から「科学技術の優位性を保つために世界1の演算能力を持つスーパーコンピュータが必要」という「目的化した手段」の逆側からのアピールが出つつある。縮減に仕分けられたからこその動きであり、大きな意味があったと評価できる(「廃止」とされても、当事者以外のどこからも反対の声があがらなければ、本当に「不要」な事業だったといえる)。

鳩山首相は、次のように語っている。

「この事業仕分けで一つ一つの事業というよりも、それが例えば途中で中間搾取みたいな形でですね、本当に必要な事業であっても本当に必要なところに回らないで、いろいろと無駄なところにお金が回ってしまっているというようなところを、むしろ大いにカットしていくという発想がまさに事業仕分けだと」
「その意味での中間搾取、本当に必要がないところにお金が流れているというところの説明に関しては、ノーベル賞を受賞された方々も理解をされていました。むしろそこはわかると」

このブログで取り上げてきたようなモデル事業や実証事業のスキームは「利権の温床」と疑われても仕方ない、民主党政権では認めないという意思表明と受け取ったがいかがだろうか(昨晩、コメントを頂いたようなことは、あってはならないこと。担当者が予定価格を漏らしていないか、採択地を決めるにあたってどのように評価したのかをきちんと調べて「やましいことは何もない」と表明すべきである)。
事業仕分け最終日の27日も、経済産業省のサービス産業生産性向上支援調査事業(14億円)が、「業務委託先の財団法人の活動への支援になってしまっている」や「再委託の契約についても、単独応札など不透明な例がある」と「廃止」とされている。


仕分け結果の詳細(11月27日分)
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009112701000848.html


これだけ財政が厳しくなると、「国が億単位の予算をとって、全国各地でモデル事業や実証事業を展開する」ような事業は縮小せざるを得ない。必然性が求められるし、今月の30日に一部のハローワークで試行される「ワンストップサービス」のように規模を小さくしつつ、現実的で、すぐにでも全国に展開できるもの(直前の予行演習的な事業)に限られるのではないだろうか。

それでは、国がなすべきことは何だろうか。安心ジャパン・プロジェクトの指摘でもあったように、民間でできることまで国が予算をつけて実証事業を展開する必要はない。障害となっている規制を撤廃し、国として考え方を示すべきことは示す。このような「環境整備」に注力すべきではないだろうか。昨日も書いたように、事業の規模は大きくなくても構わない。有識者を集めて、きちんと議論し、他の省庁と調整すべきことを調整する。業界から意見をきき、業界に対して国としての考え方を示す。国がこのようにしてくれたならば(かつ、これ以上のことをしないようにしてくれたならば)、民間企業は安心して事業を展開できる。「利権」がないので、変な「横槍」は入らない。このように、パイプに流れるお金を絞り、流し方を少し見直すだけで、大きな効果が得られる。しかも、政治も官僚も業界の関係も健全なものに近づけることもできる。

ぜひともスタンスを転換してほしい。