大手損害保険各社“夏の陣”
これまでにないサービスを展開するのが特徴で、確実にいい物が売れる時代へシフトし景気回復が感じられる。
◆サービス拡充
東京海上日動火災保険は、契約者の事故の有無によって保険料が異なる「リスク細分型保険」を一新。事故防止から発生後まであらゆる面で契約者を支援し、補償とサービスを融合させる新商品「トータルアシスト」を売り出す。
たとえば、主婦が事故を起こし家事代行のホームヘルパーを頼む場合、従来は契約者自身が業者を探し、後から代金の形で給付していた。これに対し、新商品は同社に電話をすれば、業者の手配から費用の支払いまで代行する。
最大で月三千円程度の価格上昇になるが、「各種の代行業務が流行している中、多忙な現代人のニーズに応えたい」(自動車営業開発担当の長友英夫常務)という。同社の自動車保険商品に占める「リスク細分型保険」の割合は25%程度だが、今後は60%程度まで引き上げたい考えだ。
三井住友海上火災保険も主力の「MOST」に補償内容やサービスを拡充した「ファーストクラス」を設定。クレジットカードのゴールドカードをイメージし、利便性やステータス感を味わえるようにした。保険料は7-10%程度高くなる一方、専用デスクの新設による素早い対応といった「ワンランク上質のサービス」を目指す。
また、ニッセイ同和損害保険は七月から、初回保険料を契約の翌月に徴収するサービスを開始した。通常、保険の効力は保険料を払って初めて発生するが、保険料の徴収前から適用される。日本興亜損保も対応システムを全面的に刷新し、事故発生から保険金支払いまでの日数を15%、約五日間短縮し、利便性を高めている。
◆レクサス
各社の攻勢に、トヨタ傘下のあいおい損害保険は、ずばり「レクサスオーナーズ自動車保険プラン」と銘打って富裕層の開拓を進める考えだ。事故や水害で買い替えが必要になる場合、同一車種の新車を提供。入院時に個室に入れるように補償水準を高く設定したり、代車に高級大型車を手配するなど、ぜいたくな内容だ。トヨタのサービスデスクと連携、損害調査は六十人体制のレクサス専門班を設置して経過報告を早めるという。
レクサスの月間販売目標は三千台と小さいものの、ダイムラークライスラーをはじめ欧米メーカーが今後対抗して打ち出す新型車、特別仕様車への「波及効果も期待できる」(あいおい損保)とみており、将来はレクサス以外の高級車に同種の保険を適用していく。トヨタ系ディーラーに強い三井住友海上、東京海上日動もレクサス対応商品を投入する。
◆競争激化
こうした「ワンランク上」のサービスに余念がないのは、自動車保険市場に吹いている“逆風”への危機感がある。
無事故を続ける契約者に対し、自動車保険は年々「等級」が上がって割引が進み、最大割引率は60%に達する。日本自動車工業会によると、平成十六年末時点の国内の自動車保有台数は前年末比0・6%増の七千四百六十五万台と頭打ち状態のうえ、買い替え期間も延びている。外資系企業や通販専門損保との低価格競争が拍車をかけ、自動車保険の利益確保は難しくなっているわけだ。
このため、一段のサービスの差別化に向けてハンドルを切ることで、顧客の「囲い込み」を図っている。もっとも、自動車保険は損保商品全体の47・8%(十五年度)を占める主力商品だけに、「高級志向」を目指しても“戦国時代”は避けられそうにない。
これまでにないサービスを展開するのが特徴で、確実にいい物が売れる時代へシフトし景気回復が感じられる。
◆サービス拡充
東京海上日動火災保険は、契約者の事故の有無によって保険料が異なる「リスク細分型保険」を一新。事故防止から発生後まであらゆる面で契約者を支援し、補償とサービスを融合させる新商品「トータルアシスト」を売り出す。
たとえば、主婦が事故を起こし家事代行のホームヘルパーを頼む場合、従来は契約者自身が業者を探し、後から代金の形で給付していた。これに対し、新商品は同社に電話をすれば、業者の手配から費用の支払いまで代行する。
最大で月三千円程度の価格上昇になるが、「各種の代行業務が流行している中、多忙な現代人のニーズに応えたい」(自動車営業開発担当の長友英夫常務)という。同社の自動車保険商品に占める「リスク細分型保険」の割合は25%程度だが、今後は60%程度まで引き上げたい考えだ。
三井住友海上火災保険も主力の「MOST」に補償内容やサービスを拡充した「ファーストクラス」を設定。クレジットカードのゴールドカードをイメージし、利便性やステータス感を味わえるようにした。保険料は7-10%程度高くなる一方、専用デスクの新設による素早い対応といった「ワンランク上質のサービス」を目指す。
また、ニッセイ同和損害保険は七月から、初回保険料を契約の翌月に徴収するサービスを開始した。通常、保険の効力は保険料を払って初めて発生するが、保険料の徴収前から適用される。日本興亜損保も対応システムを全面的に刷新し、事故発生から保険金支払いまでの日数を15%、約五日間短縮し、利便性を高めている。
◆レクサス
各社の攻勢に、トヨタ傘下のあいおい損害保険は、ずばり「レクサスオーナーズ自動車保険プラン」と銘打って富裕層の開拓を進める考えだ。事故や水害で買い替えが必要になる場合、同一車種の新車を提供。入院時に個室に入れるように補償水準を高く設定したり、代車に高級大型車を手配するなど、ぜいたくな内容だ。トヨタのサービスデスクと連携、損害調査は六十人体制のレクサス専門班を設置して経過報告を早めるという。
レクサスの月間販売目標は三千台と小さいものの、ダイムラークライスラーをはじめ欧米メーカーが今後対抗して打ち出す新型車、特別仕様車への「波及効果も期待できる」(あいおい損保)とみており、将来はレクサス以外の高級車に同種の保険を適用していく。トヨタ系ディーラーに強い三井住友海上、東京海上日動もレクサス対応商品を投入する。
◆競争激化
こうした「ワンランク上」のサービスに余念がないのは、自動車保険市場に吹いている“逆風”への危機感がある。
無事故を続ける契約者に対し、自動車保険は年々「等級」が上がって割引が進み、最大割引率は60%に達する。日本自動車工業会によると、平成十六年末時点の国内の自動車保有台数は前年末比0・6%増の七千四百六十五万台と頭打ち状態のうえ、買い替え期間も延びている。外資系企業や通販専門損保との低価格競争が拍車をかけ、自動車保険の利益確保は難しくなっているわけだ。
このため、一段のサービスの差別化に向けてハンドルを切ることで、顧客の「囲い込み」を図っている。もっとも、自動車保険は損保商品全体の47・8%(十五年度)を占める主力商品だけに、「高級志向」を目指しても“戦国時代”は避けられそうにない。