「継ぐ者」(上田秀人著 角川書店 2022年12月16日 初版発行)を読みました。
その内容は、徳川家康とその嫡男徳川信康についての物語でした。
徳川家康が今川家に人質となった頃から、その嫡男徳川信康が家康の命で自害させられるに至った時までを扱ったものでした。
一般には、信康が自害させられるに至った理由としては、信康の生母の瀬名(築山殿)(今川義元の養女、今川義元の姪)と信康が武田側に通じていたことが織田信長の耳にまで達したため、信長の命で家康が信康を自害させたということになっていると思います。
ところが、この本では、ちょと違っていました。
信康は、生母瀬名(築山殿)の画策もあって、側室を迎えますが、信康は、だんだんとその側室を愛するようになります。ところが、その側室は一向宗の門徒でしたので、信康も次第に一向宗の影響を受けるようになっていきました。
それを知った信康の正室の五徳姫(織田信長の娘)は、信康の側室に対する嫉妬も手伝い、それを一向宗嫌いの信長に通報します。
それを知った信長は、信康の処分を「よきにはからえ」と、家康に委ねます。信長の真意を「信康に自害させろ」という意味であろうととった家康は、信康に自害するように命じたということでした。
なお、信康の生母瀬名(築山殿)は、岡崎城から追放され、自害することを求められましたが、それを拒否したため、斬首となったとのことです。
ところで、この処分に関し、筆者は、次のように記しています。
「以降、家康は織田信長に従って武田家を滅ぼし、その褒美として駿河一国を与えられた。
織田家の家臣として生きていく決意をした家康だったが、信長が天正十年(1582)六月二日、明智光秀によって害されたことで大きく状況は変化した。
織田信長というくびきをなくしたことで、家康はふたたび独立の機を得、やがて天下人へと駆けのぼっていく。
嫡男信康を犠牲にするという判断が正しかったのか、まちがいだったのか、それをわかるのは一人家康だけであった。
ただ徳川家の天下は二百六十年余り続き、その子孫は今も名家として続いている。 (p.402~403) 」
恥ずかしながら家康が嫡男を犠牲にしていた史実を知りませんでした!
戦国時代はとんでもないですね!!
立場が立場ならばそういったことも仕方ない世だったんでしょうね。
現代人で良かったです笑(^^)
今回の本の推理も、一理ありそうあです。
信長は弟、秀吉は秀次など、戦国時代は身内に手をかけた武将は多いですが、家康の場合ほど深刻でミステリアスな例は少ないのではないでしょうか。
三河でも一向一揆ははげしかったとききますし・・信長に言われなくても家康はやっちゃったかもしれませんね🌀
家康は子供が多いですが、もし信康が長男じゃなかったら、その死がこれほど歴史上の話題にのぼらなかったかもしれないなあと思います。
戦国時代は、厳しい時代だったようですね。生き残るためには、身内で殺し合うのは日常茶飯事だったようで、ホント、現代に生まれていてよかったと思います(^-^*)
本能寺に変のように、いろいろと推理できますよね。
「今回の本の推理も、一理ありそうです」よね。
戦国時代は、生き残るために、身内で殺し合い、身内に手をかけた武将は多かったわけですが、家康のように、嫡男を自害に追いやったというケースは深刻ですよね。廃嫡するケースは多かったようですが、、、。
信康を死に追いやった原因は、普通は、信康と築山殿が武田に通じたからとされていますが、そのことが、いっこうに出てこなかったからでした。
そして、「信康の側室が一向宗の門徒!」ということが書かれてきて、はじめて、なるほどと思いました。
三河の国も一向宗の強かったところだったようですものね。
家康も、一向宗のために滅びる寸前までいったようですものね。
「信長に言われなくても家康はやっちゃったかもしれません」よね、、、。
確かに、「もし信康が長男じゃなかったら、その死がこれほど歴史上の話題にのぼらなかったかもしれないなあと思います」ね。
それに、信康は、今川義元の養女(姪)の子供でもあり、今川一門の子ですから、歴史上にも十分に登場する価値にある人物でしたものね。
ですが、家康が長男の信康を殺したと言うのは事実で、切腹にはなってますが表向きだけかもしれません?信康の妻が信長の長女だけに、信長がからんでくるんですから難しいです。
これは、色んなストーリーがつくられる話ですよね!
信康が死んだのは確かなのでしょうけれど、それが、家康が家臣に命じて殺したのか、切腹したのかは分かりませんね。
本によっては、家康が家臣に命じて殺させたとしているものもありますね。
信康は家康の嫡男だったわけで、生き残っていれば、或いは家康のあとを継いで将軍になっていたかもしれませんし、信長の長女の娘婿でもありましたから、その関係からも別な人生展開が生まれたかもしれませんものね。
そのようなことから、「たら」「れば」を考えますと、いろんなストーリーを作ることのできる魅力を持った人物なのかもしれませんね。