モコ助は我が家にやってきて7年目のトイプードルです。
未だに落ち着きが無く、嬉しいときには足元をクルクル周り、叱られると一目散に逃げていきます。
本当は犬はもう飼わないはずでした。
なぜならモコ助の前に買っていたゴールデンレトリバーのマックが亡くなった時、その悲しみがあまりにも大きかったたからです。
自分の子供のように可愛がっていた妻はその日から涙が止まらず、眠れない夜が続いていました。
夫婦の間にも徐々に会話が減り、家の中の雰囲気も暗くなりはじめました。
もう買わないと決めていたのにこれではいけないと思い、行きたくないという妻を半ば無理やりペットショップに連れていったのです。
本当はまたゴールデンレトリバーが欲しかったのですが、あれほど賢くて優しかったマックと比べられるのが可哀そうで、見た目も全く違うトイプードルにしました。
「抱いてみますか」とスタッフさんに言われ、私が抱いた後に妻に手渡します。
妻は最初は頭を撫でながら少し笑みを浮かべていたのですが、「暖かい・・」と言って急にポロポロと涙を流し始めたのです。
マックが亡くなったのは私が単身赴任中の時でした。
その夜は妻から「マックが散歩から帰って急に歩けなくなった・・」と連絡があったのですが、すぐに帰ることもできず翌朝まで待つように言いました。
マックの大きな体は妻一人では簡単に動かすこともできず、その場所でマックを抱きかかえて体をさすりながら朝を待ったのです。
そして3日後に病院から我が家に帰ってきたマックにはあの優しい温もりはなく、ただただ固く冷たいものに変わっていたのでした。
久しぶりに生きた子犬を抱いた妻はその温もりで、またマックの記憶がよみがえり、泣いてしまったのです。
スタッフさんはびっくりしていましたが事情を説明すると、「もうしばらくは心を慣らしてからの方が良いかもですね」と言ってくれました。
言われる通りに何回かペットショップに通い、そして顔見せルームの片隅で大人しそうに私たちを見ている子犬の目がマックに似ていたので、その子を飼うことにしたのです。
ところが我が家に来てしばらくすると、大人しいどころかやんちゃパワー全快で、身も心もマックとは正反対のワンコに成長したのであります。
まあ、我が家に活気が戻ったことには変りないので・・