ドンマックのつらつら日記

離職してからの毎日の生活や愛犬モコ助のことを気楽につらつらと書き綴ってみようと思うオジサンなのであります。

間質性肺炎日記 ~ 術後翌日のこと ~

2019-04-19 11:39:00 | 間質性肺炎
※フリー画像をお借りしたものです。
 残念ながら私ではありませんし、残念ながら看護師さんも・・

前回の記事

2019年4月19日のこと

 胸の痛みは一晩中続くも、ウツラウツラしながらなんとか朝を迎えました。
 朝になっても体を動かすたびに深く差し込まれたシリコンチューブが胸の中で擦れるらしくジワリと鈍く痛みます。
 そのチューブに繋がっている機械を転がしながら廊下をよたよたとゆっくり歩く姿は結構な同情を持って見られていたでしょうが、自分でトイレにも行けるようになったことで気分的にも楽になりました。
 問題は無いと言うことで隣の簡易ベッドで夜を明かしてくれた妻も一旦家に帰り、そのまま仕事へと向かいました。

 先月、気管支鏡検査で入院した時に同じ病棟にNさんと言うスキンヘッドの患者さんがいました。
 身長もあり体格もがっちりと良いので、夜の街で前から歩いて来られたら思わず脇道に逃げたくなる感じの人でしたが、病棟の廊下ですれ違ったり洗面所で顔を合わす度に大きな声で挨拶をしてくれる気の良いおじさんでした。
 Nさんはあれからもずっと入院しているようで、私と同じく機械を押しながら歩いているのですが、彼のそれは鼻に繋がっている細いチューブに絶えず酸素を送るためのものでした。
 Nさんは少し歩くとハアハアと苦しそうに立ち止まり、酸素をゆっくりと吸入して落ち着いたらまた歩き出すという繰り返しです。

 何人かでガラス越しに外を見ていた時に、Nさんが「先生、私の肺は今どんな感じですかねぇ?」と聞いたら「30%くらいです・・」と言われたので、「え、もう30%もやられてるんですか?」と聞きなおすと「いや、残りが30%です。」と言われたよ、と笑いながら話してました。

 私と同じ間質性肺炎だと思うのですが、これだけ入院して少しも改善していないのは、ステロイドの効かないタイプなのでしょうか。
 深刻な病気であることは知っているのでしょうが、気持ちの強い人です。
 自分もまだ確定診断は付いておらず、どういうタイプなのか?治療はどうなるのか?
 この先の展開は全く分かりませんが、こういう強い気持ちをもって病気と向き合っていければと思います。



 午後から胸に突き刺さっている太いチューブを抜くことになりました。
 ナースステーションの診察室で若いドクターが簡単に問診と触診を済ませ、「じゃ、1,2,3で抜きますよ。良いですか・・」と言った後に、
「1.2・・」とゆっくり数えて「3」の前に一気に引き抜かれました。
 こうすると構えることなく感じる痛みも少ないのだとか。
 「ウッ!」と内臓が全部持っていかれる感じがした瞬間、映画のエイリアンのように血液の付いた細長い物体がズボッと体の中から引き抜かれたのであります。

 そしてなんとか翌日の午後には検査入院を終えて帰宅できたのでした。

間質性肺炎日記 ~術後の夜に起こったこと~

2019-04-18 21:30:05 | 間質性肺炎


2019/4/18
 手術直後に私がまどろんでいた頃、妻へは「この肺炎は恐らくステロイドが効くタイプだと思われます。」と説明があったということでした。
 詳しくは採取された組織を病理検査に回して、また2週間くらいはかかることになります。

 まあ、何はともあれ無事にナースステーション横の個室に戻ってくることができました。
 目が覚めてくるにつれ、術中に見た夢のことや事前説明で言われた5%に入らなくて良かったなあ、などと妻と笑いながら話していたのであります。

 ところが意識がだんだんとはっきりしてくるにつれ確実に麻酔が切れてくるのが判ります。
 2時間も経った頃には大きなシリコン管が突き刺さっている右胸の奥深くがズキズキと痛み始めました。
 看護師さんに言うとすぐ痛み止めをもってきてくれましたが、それを飲んでもさらに酷くなるばかり。
 痛みには結構強い方だと思っていましたが、ついには顔をしかめたまま、会話どころか息をするのも辛くなってきました。

 呼ばれた医師がすぐに来てくれて、「強い鎮痛剤を注射した方が良いかもね、だけどなあ・・」と口ごもります。
 効くには効くらしいけれども副作用も強くて、強い吐き気が出るのだとか・・。
 それでも今のこの状況から早く逃れたい私は片目をつぶり痛みを堪えながら小さな声で「お願いします・・」と訴えたのであります。

 なるほど、なるほど・・・
 しばらくすると本当にあの強い痛みが和らいでくるではありませんか。
 「助かったあ・・」と一息ついたのも束の間、今度は急に胃のあたりがグルグル音を出し始めて、内容物がボコボコと噴射しそうになってくる感触が解りました。

 付き添っている妻に口を押さえながら「早く、はやく・・そこの・・早く!」なんて言葉にならない声で、傍にあった膿盆を指さして涙目で叫び、それを受け取り両手で顔の前に構えた瞬間に激しく嘔吐してしまいました。
 それが10分置き位に何回か続くと吐き気はだんだん落ち着いてきて、痛みの方も何とか我慢できるまで収まっていきました。

 そういう訳で今夜は眠るのは諦めたとして、もうひとつ大きな問題があります。
 まだ尿が出ていないのです。
 トイレに行けば何とか出せると思うのですがベッドの上に大の字に寝たまま股間に置かれた尿器に「どうぞ」と言われてもなかなか出るものではありません。

 夜中に当直の若い看護師さんが何回も入ってきて「まだ出ませんか?朝までにせめて300㏄くらいは出ないと腎臓に良くないんです。そろそろ先生に連絡してきてもらいましょうかねえ・・」と。
 それは申し訳ないと「もう1回挑戦してみます」と答えて、今度は横で寝ていた妻にも外に出てもらい、一人部屋の中で心を整え集中し、排尿のことだけを考えた・・のですが残念ながら出ません・
 「出さねば!」と思えば思うほど出ないってどんだけプレッシャーに弱い男なんだという話です。

 ここに至って、看護師さんは「いざ!」と腕まくりをすると何やら準備をしてして最後の実力行使に出たのであります。
 そう、真夜中の導尿です。
 これが嫌だからOP中の導尿も拒んだのに、結果的に密室でこんな格好のまま若い看護師さんの手を煩わせることになるなんて・・

 でも緊張しているのはこちら側だけで、向こうは若いとは言え看護のプロです。
 手際よく〇〇の先っぽにシリコンチューブを差し込むとスルスルと挿入していく。
 すぐに出口を解放されたオシッコたちが歓声を上げて尿器に飛び出してきました。
 看護師さんは全量を採りおわると「良かった、良かった。きれいなオシッコが500くらいは出ましたよ、フフ」と爽やかな笑顔を見せながら部屋を出て行ったのであります。

 暗い天井を見つめながら、「こんなことなら変な意地を張らずに術前に尿管を入れてもらった方が皆に迷惑かけずに済んだのになあ・・」と反省するおじさんなのでした。

間質性肺炎日記 ~手術中にお花畑を見る男~

2019-04-18 17:01:21 | 間質性肺炎


2019/4/18の手術のこと

 ストレッチャーに寝かされたままOP室の前で手を振る妻と別れても入室前がバタバタだっただけに、それほどの緊張感はわいて来ませんでした。
 手術台に移されると同時に、心電図や点滴やいろいろなチューブとコードが装着される。
 導尿するための尿管をどうするかも事前に聞かれたのですが、恥ずかしさもあり、あまり深く考えもせず断わっていました。
(このことを後で後悔することになるのですが・・)

 次に、目が覚めた時にびっくりしないようにどういう状態になっているかを簡単に説明されて、いよいよ口に装着されたカップ型のマスクから麻酔が流される。
 「数を数えてください」と言われて、催眠術みたいにこんなものですぐ眠れるのだろうかなんて思っていたら次の瞬間には完全に眠っていました。

 その後、現実世界の私の体は右に左に起こされながら、右胸部に何か所か穴が開けられ、カメラやらチューブやらズルズルと挿入されて、切られて、組織を採られて凄い状況だったのでありましょう。
 おそらくは昔見ていた初代仮面ライダーのオープニングでショッカーの医師たちに囲まれて改造されている本郷剛のような感じだったのでしょうか?

 ただ、当の本人はもの凄く楽しい夢を見ていた・・ような気がします。
 どんな夢だったのかは殆ど覚えていないのですが綺麗な場所で楽しいことをしていたような気がします。
 「手術終わりましたよ~」と体をゆすり起こされたときに、急に楽しい夢の世界から現実に呼び戻されてしまったような感じがしたのです。
 後で先生が言っていたのですが、最近の麻酔は「楽しい夢」を見るようにできているとかいないとか・・。

 目が覚めた時の自分の体を見ると、胸に巻いたさらしの隙間から出ている太い透明なチューブが機械とつながっており、中を赤色の液体がジュル、ジュルルと行ったり来たりしていました。

 痛みもそれほど感じなかったので「良かった、こんなものか」と少しほっとしたのも束の間、夕方になり麻酔の効き目が切れてくるにつれ、大変な状況が待ち構えていたのであります。

続く・・

間質性肺炎日記 ~手術の朝のドタバタ劇~

2019-04-18 11:54:57 | 間質性肺炎
2019/4/18のこと

 さあ、いよいよ我が人生初の手術の日となったのであります。
 ただ、気管支鏡検査の時とは違い術中は完全に眠らされるので、目が覚めた時には全てが終わっていると考えれば少々気は楽であり昨夜もまあまあ眠れたのでした。

 朝食は抜きでいつものように朝のバイタルチェック(体温、血圧、酸素濃度)があったのですが、何と今日に限って血中酸素濃度が95%を表示している。
 正常人なら97~99%くらいだそうで、自分もずっとそれぐらいをキープしていました。
 熱も無いし呼吸も苦しくないので特に心配はしなかったのですが、執刀するドクターたちは今日の手術に難色を示し、部屋にやってきて私のベットの周りに集合します。
 もし急性増悪(急激に炎症が進むこと)が起こっていれば手術中に危険な状態にになる、と言うことで予定外の胸部写真を撮ることになりました。
 結果は前回と変わらずでやれやれと思ったところに、またまた先生がやって来て「自分らは大丈夫と思うんだけれども、麻酔科の先生だけがどうしてもCTじゃないと判断できないというんですよ。」とのこと。

 CT自体は痛くも何ともない検査なのですが、その被ばく量が気になります。
 実は肺の病気が見つかる少し前にも人間ドックで尿潜血が+になり、泌尿器科で人生初の造影CTを撮っていました。
 異常は無かったのですが、すぐ後に間質性肺炎が見つかり、たった2週間後にまた同じ病院でCTを撮ることになる。
 1月には経過観察で、3月には気管支鏡検査目的で、そして今回の入院前にも撮っています。
 それなのに、「念のため」ということでわずか半年で6回目のCTを撮るとなると自分の気持ちとしては「大丈夫か?俺の体?」と躊躇してしまう。

 素直に「はい」とは言えず、ベッドに座って腕を組んで黙っている私と周りを囲む外科医たちの間にしばしの沈黙が流れたのであります。

 でも最終的には「撮らない、被ばくが怖い」といくら声を大にして訴えたとしても今日の手術が中止になるだけで、困るのは自分ということになります。
 で、しぶしぶ同意した私は点滴を付けたまま車いすに乗せられてゴロゴロと撮影室に連れて行かれたのでありました。

 結局、CTの結果も数日前の画像と変わらず急性増悪は確認できないと言うことでバタバタとした中で予定よりも1時間遅れでOP室への入場となったのでございました。

間質性肺炎日記 ~再び検査入院す!~

2019-04-17 23:31:35 | 間質性肺炎

2019/4/17のこと

 手術(肺生検)のために再び入院となりました。
 人事異動で着任したばかりの新しい室長に検査入院で休むことを告げなければなりませんでしたが、室長はそもそも再任用である私の後輩だったこともあり快く承諾してくれました。
 
 病院に着いて、先月と同じ手続きを行い、同じ病棟に向かう。
 看護師さんたちも知った顔ばかりで、笑顔で挨拶してくれたので何かと心強かったです。
 今回は術後のケアを考えて、ナースステーションに近い個室に入れてくれました。

 早々に私のOPを執刀する外科医3名が挨拶に来ました。
 説明をする部長の後に2人の若いドクターが無表情でじっと立っています。
 如何にも「現代っ子」という感じで大丈夫かなと少し不安になりましたが、明日はしっかり頼みますよと心の中でお願いしたのであります。
 
 具体的な説明は午後からするとのことだったので、職場からやってきた妻と一緒に指定されたカンファレンスルームに入りました。
 少し遅れて先ほどの若いドクターの一人が看護師を伴って入ってくる。

 彼が言うには・・
 ・術前検査に問題はなかったので、明日のOPは計画通り行える。
 ・風船の空気を抜くように肺を縮ませてから3か所の組織を採る。
 ・昔は胸をメスで切り開き、肺を露出させた上で組織を採るという大手術だったが、今では胸の3か所に穴を開けて胸腔鏡で行うので何も問題さえ起こらなければ5日くらいで退院できる。
 ・間質性肺炎の患者の場合、術中に急性増悪を起こし死亡する確率が5%ほどあると言われている。

・・などと説明されました。

 最後の一言が引っ掛かり、「え、5%も死亡する場合があるんですか・・」とびっくり顔で聞いたのですが、その童顔のドクターは銀縁メガネを人差し指で擦りあげてメモを見ながら「はい、5%ですね。」と真顔で小さく呟いただけでした。

 いや、その言い方よ・・
 症状が重い人で最悪の場合のことなので心配しなくて大丈夫ですよとか返事してくれるのかと思ったら、「5%です!」なんて事務的にサラッと言われてもねぇ・・
 まあ外科医っていちいち感情に流されたりしていては切った張ったの世界でやっていけないのだろうか、はたまたこの新米先生がこれまであまり会話でのコミュニケーションをとって来なかっただけなのだろうか・・
 まあ、お願いするしかない身としては、差し出された同意書に素直にサインして部屋に戻るしかなかったのであります。

 その後、普通に食事を採り、普通にお風呂に入り、普通に・・剃毛をされました。
 剃毛は胸の手術なのになぜか大事なところ(もはやそんなに大事な年でもないですが (-"-))も剃るということになり、「わ、若い看護師さんだったらどうしよう・・」とベッド上で毛布を首まで被りドキドキしながら待っていたら、コンコンとノックがありなんと凄く若い看護師さんが洗面器とカミソリをもって入ってきたのである。
・・・男性だったけど・・・

 こうして、人生初の手術前夜は更けていったのでありました。
 続く・・