うちのモコ助は退屈すると私が座っている椅子をガジガジして「遊んでアピール」をしてくるのですが、60を過ぎたオジサンではなかなか要求にお応えすることもできずについつい放置しがちです。
そうすると奴はソファの上でしばらく恨めしそうに私を見ていますが、ついにあきらめるとおもむろにソファの下の狭い隙間に太り気味の体を一生懸命ズリズリしながら潜っていき、そのまま動かなくなります。
ふて寝なのか、あるいはただ落ち着くだけなのかは分かりませんが、簡単に身動きできないこんな隙間に挟まっている姿を見ているとあの日の思い出が蘇ります。
あれは小学生の夏休みが終わろうかという頃。
近所の山には戦争中の防空壕がまだ埋められることなく残っていました。
当時は面白い遊びもそれほどなく、ガキ大将の呼びかけで肝試しの洞穴探検をすることになりました。
懐中電灯やらスコップやらを持ち、補欠に自転車のライトで入口を照らさせながら恐る恐る入っていきます。
穴は中でいくつかに分かれており、恐らく何処かで間違ったのか穴はだんだん狭く小さくなり、ついには子供でも這って進むのがやっとの状態になりました。
体の向きも変えられないほどなのでもうこうなったら後戻りはできそうもなく、天井にはゲジゲジがガサガサと這いまわっており、今思えばインディジョーンズに出てくる一場面みたいな感じでしたね。
とにかく後で泣き虫とは言われたくないので、ひたすら前の子の足を見ながら這っていくしかありませんでした。
鹿児島のシラス台地に掘られた古い洞穴なんていつ崩れてもおかしくないはずで、本当に危険なことをやってたんだなと今思うとゾッとします。
その先がどうなっているのか分からないのに前に進むしかないわけですから・・
ここで短い人生が終わるかも・・?と思い始めた頃に突然、視界が開けて3畳間くらいの空間に出ました。
そこには人が暮らしていたような痕跡もあり、直ぐ先には大きな穴が開いておりその下を清水が流れていたのです。
帰りは腰まで浸かって川沿いを伝い帰ることができました。
恐らくは住んでいた人もこの川の方から出入りしていたのだと思います。
今の子供たちには決してさせられないけれど、昔は結構、親に内緒で命がけの冒険をしながらいろんな経験を積んでいったのだなと思います。
もし、その経験が良い感じで影響していれば少しは偉くなれたんだろうになあと思うオジサンでした。
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