昔は、のら、だらけだった。
ナチュラルで、オーガニックで、のら、がいっぱいだった。
舗装されている所は、幹線道路ぐらいしかなかった。
土だらけで、雨が降ればドロドロ、デコボコ、
乾けば、土ぼこり、砂ぼこり、
家の中の掃除も、土、砂ぼこりを、ほうきで、掃き出すだけだった。
そういうナチュラル感は、いっぱいだったのに、
かたや、公害だらけだった。
煙突、車の排気ガス、町の中にちっさい工場がいっぱい有り、
そこからも、いろんな匂いや煙が出ていた、
普通、いいにおいと言われているものでも、
大量にずっと同じ匂いだと、頭が痛くなってきたりする。
そして、のら、がいっぱいいるので、そこらじゅうに、
糞尿が落ちている。
人間様の男共はそこら中で、立ち小便をしていた。
のらオヤジ、のらガキだらけだった。
いい意味で、フリーダムだった。
いい意味か ?
親戚の大きい家が近所に有って、
そこは、のら、大集合だった。
玄関は開けっ放しで、のら猫、ついでに、のら人間が入り放題、
どれが、飼い猫か、のら、か分からないほど、そこら中で、ウロウロしていた。
その上、庭には、二羽、ニワトリが、じゃなく、
拾ってきた雑種の犬が一匹か二匹、
必ず、名前は、ジョンかポチ、
池には、飼えなくなった金魚が、適当に放り込まれ、
ほったらかしのせいで、最近トレンディーになった、ミドリムシが大量発生し、
何が入ってるか全く見えない状態になっていた。
ひとつの部屋は、丸ごと鳥小屋になって、
文鳥とかメジロとか小鳥が、20羽以上はいたと思います。
襖には、穴が開き、そこを自由に猫が出入りし、
家全部が、猫のラビリンス状態、
あほガキ共は、全部の動物と、お友達、或いは、おもちゃ。
猫を捕まえては、二階から背中から落とし、
くるっと捻って、ちゃんと立つのを確かめたり、
猫の髭を切って丸顔にしてしまったり、
銀玉鉄砲の的にしたり、
鳩や、カラスや、雀も的です。
当然のことながら、
奴らも黙って的になっていません、
攻撃してきます。
本来、最近のBB弾と違って、銀玉鉄砲如きでは、
数メートルぐらいしか、威力はありません。
逆襲の方が、よっぽど怖いです。
キャッチアンドリリースです。
間違った、タッチアンドゴウてす。
せいぜい、こわごわ近づいて、ちょっかい出して、
ひーーと言いながら、一目散に逃げるしかないです。
アラレちゃんが、木の枝で、ウンコをツンツンするみたいなもんです。
ウンコは逆襲しませんが、奴らは、何しょんじゃーーと、襲ってきます。
それが、楽しいんです。
噛まれたり、引っかかれたり、いっぱいされました。
鳥には、ウンコ爆弾を頭に落とされました。
今の、のら、より、よっぽど、みんな凶暴でした。
のら、は、のら同士の戦いが、毎日のように有ったからでしょう。
一度なんか、六甲山に、みんなでハイキングに行った時、
山上の道路を一列に歩いていると、
前から、真っ直ぐ、こちらに向かって歩いてくる野犬がいました。
その顔の怖いこと。
嘘のようですが、本当に眉間に傷が有り、
恐ろしい顔つきで、相当の手練れだと分かります。
そら、山では、イノシシちゃんと、張り合わなアカンのですから。
人間のチャラチャラした、若造如きが、張り合えるわけがないです。
みんなに、目を合したらあかんぞーー。と言いました。
私らが、ちょっと道を譲り、
お犬様は、堂々と、真っすぐ、私らの横を、
一瞥もせず、通り過ぎました。
通り過ぎる時は、手に汗握る、ど緊張状態です、
相手は、ただ一匹の雑種なのに。
やっぱり、ほんまもんは、違います、怖かったです。
あれは、何人も、やった、目です。
もとい、何匹でした。
いや、もしかして。
ご苦労様です。
昔の神戸は、まさに、いろんな人間も含めた動物が、ノラっていました。