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増税そのもの「インフレ税」国民に強いる負担 進む「金持ち優遇」のいびつな政策

2025年03月15日 22時00分07秒 | 社会

増税そのもの「インフレ税」とは? 知らぬ間に徴収、政府債務の返済に充てられる構図

2025/03/15  AERA 渡辺豪

金子勝 @masaru_kaneko  金融資産が2000兆円ある、デフォルトがない、国民負担率が高いなど、財務省陰謀論・財務省解体論はほとんど根拠がおかしい。結局、赤字国債依存の減税論の裏側で、企業団体献金禁止を何とか避けようとする。

メディアがアベノミクスに乗っかってきたせいで、日本経済の現実から目を背けるため、トランプ発のフェイクファシズムとして財務省陰謀論・財務省解体論が行き交う。無責任な言説をたたき、滅びを避けなければいけない。

 

インフレが定着する中で家計から企業へ企業から政府へと所得の移転が進んでいる。「見えない増税」ともいえる「インフレ税」の実態に迫った。AERA 2025年3月17日号より。

 

収入が増えない中、この物価高は一体いつまで続くのか。

 帝国データバンクは2月末、2025年の飲食料品の値上げ品目数は早ければ4月にも前年実績(1万2520品目)を上回り、年間で2万品目前後に達する可能性がある、と発表した。夏場にかけて断続的な値上げラッシュが見込まれ、値上げの勢いは前年と比べて大幅に強まっている、という。

 内閣府が2月に発表した2024年10〜12月期の国内総生産(GDP)でも、コメや野菜など身近な食べものの値上がりの加速を背景に、個人消費の失速が浮かんだ。GDPの内訳の5割超を占める個人消費の伸びは0.1%増(3月11日発表の改定値で0.0%増に修正)にとどまり、鈍化傾向にある。

 ただ、GDP全体で見ると、「さえない内需」の実態はつかみづらい。24年10〜12月期のGDPは年率換算で前期比2・8%増(改定値で2.2%増に修正)と3四半期連続でプラス成長を維持し、回復基調を維持しているからだ。これに対し、「成長の中身を見る限り、今期の成長は全くポジティブな評価はできない」と厳しい視線を注ぐのは、みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストだ。

外需に牽引された成長で内需はさえないままです。その外需も、内需がさえないゆえに輸入が減っている側面や、インバウンド消費による『旅行サービスの輸出』の押し上げが寄与しているのが実態です」

着目すべきはGDI

 確かに都内には「インバウンド向け」の高級飲食店も少なくない。ビジネスホテルも高くて利用しづらい、といった声もよく聞かれる。居住者の代わりに「訪日客」という非居住者が消費を増やしているだけ、との唐鎌さんの指摘にも頷ける。

 実際、24年のGDPは約557兆円で、コロナ禍前の19年(約553兆円)と比較して微増にとどまっている。つまり、「ほとんど成長していない」ことが分かる。ただ、これでは現状認識には不十分だという。22年のロシアによるウクライナ侵攻を機に円安と資源高が併発したのに伴い、海外への所得流出が顕在化している内実を捉えきれないからだ。

 円安の慢性化が輸入インフレをたきつけ、家計や企業の購買力を奪い、それが政治・経済面で大きな影響を与えているいま、着目すべきは国民の景気実感により近いGDI(国内総所得)だと唐鎌さんは言う。GDIは19年の約551兆円から、24年は約550兆円と減っているのだ。

「このGDIの低迷は、円安発・輸入物価経由の物価上昇がインフレ税として個人消費を抑制している姿と符合します」(唐鎌さん)

 インフレ税とは、物価上昇でお金の価値が下がり続けると、政府の借金の返済負担が実質的に軽くなり、増税と似た効果が表れることを指す。

「日本経済はいまインフレが定着する中で家計から企業へ、企業から政府へと所得の移転が進んでいます」(同)

 所得の移転が進んだ結果、どの程度まで政府の財政再建は進んだのか。唐鎌さんが参考データとして提示するのが、一般政府(中央政府・地方公共団体・社会保障基金)の純債務残高(総債務から通貨や預金、負債証券などの金融資産を差し引いたもの)の名目GDP比率だ。新型コロナのパンデミックが発生した20年を境に政府の純債務は絶対額、名目GDP比ともにピークアウトし、名目GDP比は20年に130%近くだったのが、24年上半期の時点で86%まで大幅改善している。

 この背景にあるのがインフレだ。

 政府から見れば、インフレの影響で値上がりした財・サービスに対し、家計が保有する金融資産を従来以上に取り崩して消費税などの形で納税してくれることになり、債務残高をハイペースで減らすことができる。一方、家計から見れば、主体的な意思決定とは無関係にインフレの影響で可処分所得が減り、その一部が政府債務の返済に充てられる構図になっている。これはつまり、と唐鎌さんは続けた。

現象として起きているのは『増税』そのものです」

低所得者に大きな負担

 歳出削減や増税による財政再建であれば、選挙で選ばれた政治家が政策として実行するため、そこに民主主義国家としての正当性を見いだせる。しかし、インフレ税は国民が知らない間にお金が少しずつ抜かれていくようなもの。しかも、生活必需品の値上がりは低所得者により大きな負担を強いる。唐鎌さんは言う。

可処分所得が減るのが増税の影響として挙げられますが、そういう意味では消費税もインフレ税も同じです。ただ、それを自覚している人は少ないということでしょう」

 日本だけでなく、海外でもインフレが引き金となり、政権交代や与党の後退が相次いでいるのが現実だ。唐鎌さんはこう見据える。

「昨年の衆院選で与党が大負けしたのは都市部でした。インバウンド流入の影響が大きく、物価の上昇が激しい都市部から民意が変わるのは必然です。今夏の参院選でもインフレに苦しめられた批判的な民意が再び政府・与党に向けられる素地は十分あります

 

「インフレ税」なし崩し的に国民に強いる負担 進む「お金持ち優遇」のいびつな政策運営

Yahoo news  2025/3/15(土)   AERA dot. 編集部・渡辺豪

 

収入が増えず、物価上昇が続いているインフレが定着する中で家計から企業へ、企業から政府へと所得の移転が進んでいる。家計から見れば、可処分所得が減り、その一部が政府債務の返済に充てられる構図だ。「見えない増税」ともいえる「インフレ税」の実態に迫った。AERA 2025年3月17日号より。

*  *  *

インフレ税による財政再建については様々な見方がある。

純債務残高の名目GDP比率はインフレの分だけ分母のGDPがかさ上げされますから、確かに見かけ上の財政状況は改善されています。しかし、そのことのみをもって財政再建が進んでいると捉えるのは早計です」

 こう唱えるのは、日本総合研究所の河村小百合主席研究員だ。

 財政運営の継続性を左右するのは、新規と借り換え分の国債発行を続けられるかどうか、だと河村さんは強調する。いま懸念されているのは、インフレで金利が上昇して国債の利払い費が増えると、財政が圧迫されて市場の信頼を失い、国債の買い手がつかなくなりかねない事態だ。

 財務省によると、普通国債残高は24年度末に1104兆円に上ると見込まれている。ただ日本の場合、現状ではこれを十分カバーできる2179兆円もの国内金融資産を保有している。これは何を意味するのか。

■過去には預金封鎖も

「万一、国の財政運営が行き詰まっても、09年以降のギリシャの財政危機の時のようにIMF(国際通貨基金)の融資をすぐに受ける流れになるとは考えられません。まずは国内にある資金を充当する形で既に発行した国債の満期到来分の元本償還のめどを立てる『大規模な国内債務調整』を断行せざるを得なくなるでしょう」(河村さん)

 日本人は「大規模な国内債務調整」を第2次大戦の敗戦時に経験している。このとき政府は預金封鎖や切り捨て、家計が保有する金融資産や不動産を召し上げる財産税、戦時補償特別措置法といった政策を、施行時期をずらして断行した。

一方、インフレで金利が上昇して国債の利払い費が増えても、税収も増えるため財政運営は問題ないとの見方もある。「インフレ税」による財政再建説だ。これについて河村さんは「逆進的で公平な負担とは到底言えないそのシナリオが仮に実現した場合、問題の解決ではなく回避」だと切り捨てる。

 河村さんは23年度の決算ベースの税収額をもとに、4パターンのシナリオで税収がどの程度伸びるのか試算した。それによると、33年度の税収は「デフレ逆戻りシナリオ」では約76兆円止まりなのに対し、「高インフレシナリオ」(日銀が高インフレ進行を抑え切れなくなるケースとして5%のインフレを想定)では約123兆円に達する。税収がこれだけ高い伸びを示せば、国債の利払い費の増加分もカバーできるのでは、との印象もぬぐえない。しかし、と河村さんはこう続けた。

「ここで決して忘れてはならないのは、税収が高インフレ要因で伸びる場合大部分の歳出も高インフレに応じて金額を上げないと、政府からの支出や給付を受け取る側の企業や国民生活はとてもじゃないが回らなくなるということです」

 財政規律を無視して補助金をばらまけ、というのではない。例えば、高齢者向けの年金や公務員の給与、公共事業の入札の予定価格などは物価上昇分を適宜上乗せしていかなければ国民や企業がないがしろにされる、と河村さんは説く。実際、人件費や資材調達費の高騰を受け、全国各地で公共工事の入札不調が相次いでいる。

■負担できる人が負担

 永田町の政治家や日銀、霞が関の官僚の中には、インフレ税の形でなし崩し的に国民に負担を強いることになっても、歳出効率化や増税といった正面からの財政再建に向き合わないで済ませられるならそれでかまわない、と考えている人が一定数いるのではないか、と河村さんは憤る。

インフレが進行しても痛くもかゆくもない層が日本にはいます。いまなし崩し的に進んでいるのは、こうしたお金持ち優遇のいびつな政策運営です。インフレで厳しい生活を強いられている国民が声を上げない限り、お金持ちにおもねった政策が今後も続けられるでしょう」

日本人はこの先、負担から逃れられる方法はない。であれば、負担できる人にしっかり負担してもらうよりほかにない、というのが河村さんの持論だ。

「日本はお金がないから財政再建できない国ではありません。お金がある人に対する負担の合意を得る努力を怠ってきた結果が、世界最悪の財政事情を招いたとも言えます。負担を後世に押し付けて逃げ切ることは許されません」

インフレで生活困難者が増える中、日本では富裕層が増加を続けている。

 野村総合研究所の推計によると、23年の純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると165.3万世帯で、21年の148.5万世帯から11.3%増加している。内訳は、富裕層が153.5万世帯、超富裕層が11.8万世帯。23年の富裕層・超富裕層の合計世帯数は、この推計を開始した05年以降増加しており、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も、13年以降は一貫して増加傾向にある。

 河村さんの試算結果では、高インフレ下でも税収だけでは利払い費とインフレ見合いの一般歳出を到底賄いきれないことも明らかになっている。河村さんはこう強調した。

財政運営の安定的な継続のためには、国の債務残高を減額に転じさせるべく、財政収支の均衡・黒字化を達成して新規国債の発行をほぼなくし、それを長期間維持する必要があります。そのための計画策定が日本の財政運営上の喫緊の課題です」

 少子高齢化による社会保障費の増大に加え、政府は防衛費の大幅増額も打ち出している。さらに、首都直下地震や南海トラフ巨大地震など壊滅的影響が予想される自然災害がいつ起きてもおかしくない日本で、「財政破綻は起きない」と高をくくっている余裕などない



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