木全賢のデザイン相談室

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“ちいさな企業”未来会議第2回総会の取りまとめ案を読んで

2012年07月03日 | デザインコンサルタント木全の実績
<“ちいさな企業”未来会議ロゴ>


◆“ちいさな企業”未来会議第2回総会の取りまとめ案を読んで
【デザインコンサルタント木全の実績】


 こんにちは!
 中小企業のデザインコンサルタントの木全(キマタ)です。
 中小企業の方々に向けて工業デザインのエッセンスについて、毎週更新してお知らせしています。

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“ちいさな企業”未来会議 サポーターをしています

 今年3月から中小企業庁主催の「“ちいさな企業”未来会議」サポーターに就任しました。「ブログ等を通じ、本会議の活動状況について広く周知すること」がサポーターの主な役割の一つですので、今回は「“ちいさな企業”未来会議第2回総会の取りまとめ案」の感想を書きます。


“ちいさな企業”未来会議第2回総会の取りまとめ案を読んで

 6月16日に開催された「“ちいさな企業”未来会議第2回総会」の取りまとめ案が、ネットにアップされましたので、未来会議サポータとして、早速読んでみました。

 “ちいさな企業”未来会議第2回総会の配付資料
 http://www.chusho.meti.go.jp/miraikaigi/2012/0616.htm

 “ちいさな企業”未来会議 取りまとめ(案)
 http://www.chusho.meti.go.jp/miraikaigi/2012/download/0616-5.pdf

 A4で50ページを超える報告書ですが、読んでガッカリです。

 5月15日に、拙ブログでサポータ意見書の自由意見欄を「教育においてもビジネスにおいても、日本の行政はデザイナーの育成や権利保護に全く関心を払ってきていませんでしたので、仕方のないことだとあきらめていますが、一言書かせていただきます。」という出だしで書きはじめましたが、この取りまとめ案は、上記意見を強力に裏付けてくれるものでした。

 日本の行政は、本当にデザインに関心がないんですねえ。
 東大にデザイン学部がないからでしょうか?(トホホ)





「デザイン」は、たった3か所だけ!

 50ページの取りまとめ案で、「デザイン」という言葉が出てくるのは、以下のたった3か所だけです。



 「また、我が国中小・小規模企業がグローバル競争を勝ち抜くため、技術やデザインの強みを知的財産としてしっかり保護・活用していくことが重要である。」(P26)

 「○地域需要創出型起業・創業(若手・女性等による起業・創業)
:都市・地方を含め、若手・女性層などが中心となって、個人や尐数従業員の企業、複数人による協働をはじめ、活力ある“小さな企業”として、主として地域の需要や雇用を支えるものとして起業・創業するもの

 (例)ウェブデザイン・子育て・介護などのサービス、服飾・靴等のデザイン・販売、パン等の食品製造・販売、ネイルサロン・雑貨小物販売、学習塾・教室など」(P37)




 もちろん、「知財としてのデザイン」も「若手・女性等による起業・創業」も「ウェブデザイン」も「服飾・靴等のデザイン」も重要なことだと思います。

 そうではなくて、補助金などお金にかかわる話は延々と続くのに、デザインは上記のたった3か所だけ。

 日本の行政は、トヨタやパナソニックと違い、デザインを信用してない見たいです。



デザイナーなしで、できるのかしら?

 そうはいいつつ、取りまとめ案の中には、デザイナーにとって気になる以下のような文言もあります。

 それらの文言に追記形式で、気になる点を追記してみます。

 以下、太字が取りまとめ案からの抜粋。細字がデザイナーとしての木全の意見です。


 「トヨタ、パナソニック等の現代の大企業がもともと小さな町工場から成長を遂げたこと等にかんがみる」(P5)

 「グローバル市場をも視野に、新産業の芽となるなど、我が国経済の成長を牽引すること (→成長指向型企業の支援)」(P10)



 トヨタやパナソニックが、世界で売れているのは、性能と「デザイン」が優れているからです。成長指向型企業の支援にはデザインが必須です。



 「“日本の知恵・技・感性”をいかして海外展開する企業も増加するなど、内外市場の中で潜在力を発揮しうる小規模企業も多い。」(P6)

 「例えば、新興国市場の獲得を狙った海外展開、内需減尐の中での生き残りのための合理化・高付加価値化、新興国企業との競争に打ち勝つための技術力向上、親企業の海外進出に伴う自社ブランドでの新たな販路開拓、環境・安全面に配慮した品質維持など、経営課題は、多岐にわたり、かつ、いずれの課題も専門的な知識に裏付けされた解決が必要となる。」(P13)

 「【図13】販路拡大に際しての課題【今後取りくむべきこと(中小企業)】
  新規需要の掘り起こし  54.1%
  既存事業の高付加価値化 48.2%
  新事業の展開      54.1%」
(P19)



 「日本の感性をいかした海外展開」「自社ブランドでの新たな販路開拓」「新規需要の掘り起こし」「既存事業の高付加価値化」は、商品デザインなしでは全く「絵に描いた餅」でしかありません。それらを「売れる餅」にするには具体的なデザインが必須です。



 「このため、内需減尐・取引構造変化の中で、販路の喪失・縮小を余儀なくされた中小・小規模企業が自ら新たな販路を開拓するための取組(マーケティング、新商品開発、量産体制整備等)を集中的に支援する必要がある。」(P19)

 「○第二創業
 既に事業を営んでいる企業において、例えば、若手後継者が先代から事業を引き継いだ場合などに、業態転換をしたり、新事業・新分野に進出したりするもの」(
P37)



 「マーケティング、新商品開発、量産体制整備等」は具体的な商品デザインがなくては、意味がありません。デザインなしでどうやって「新事業・新分野に進出」するのでしょうか?「新商品開発」「新事業・新分野に進出」には具体的なデザインが必須です。



 このくらいでやめておきます(笑)



本当は反省していない?

 取りまとめ案のまとめの部分に、行政の今までの施策を反省する以下のような文章があります。

 「しかし、これまで、今回の会議のように、全国津々浦々の個々の“ちいさな企業”自身と国や行政が直接に対話する機会がなかった。これは、国や行政の怠慢と真摯さの欠如と言ってよい。」(P49)

 前項のデザイナーの意見に対して、しっかり答えて、施策に反映されるまでは、中小企業と「真摯」に真面目に付き合っているデザイナーとしては、この反省はあまり信用できないですね、誠に残念ながら。


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