木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

中小企業のデザインのお悩み、なんでもご相談ください!!

糸面取り

2008年03月25日 | 角RやC面(コツツボ)
<糸面の例 NTT DOCOMO N703iD>


◆糸面取りについて
261:【デザインのコツ・デザインのツボ 100連発!】第61発 デザインワーク


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

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少し前に「糸面」についてご質問をいただいていました

 3月のはじめに、コメントで「糸面」についてご質問をいただいていました。

 「中小企業会社」様からで、

 「糸面」とは普通、C何ミリをいうのでしょうか?

という大変簡潔なご質問でした。翌日、私もコメントの形で、以下のようにお返事をしました。


 中小企業会社様

 コメントありがとうございます。

 「糸面」が何(mm)かとのことですが、製品のサイズや素材や業界によって違います。

 厚さ0.5mmの鋼板の端面に0.5Cをつけるわけには行きませんし、直径1000mmの円筒に0.5mmの糸面を取ることに意味があるかといわれると、判断は難しくなります。

 ただし、家電製品のような、家庭や職場で人が身近に使う製品で、ピン角では触ると痛いような場合、プラスチックなら0.3mm程度、金属やガラスであれば、1mm程度の糸面は欲しいですね。ただ、金属の場合は糸面よりも、バリをしっかり取ることのほうが大切ですし、ガラスであれば、ヒビや割れがないことのほうが重要になります。

 お役に立ちましたでしょうか?


 この私のコメントに対して、お返事がなかったので中小企業会社様のお役に立ったかどうかは分からないのですが(愚痴ではないですので、念のため。ブログではそのようなことは当たり前だと認識しております。)、アクセス解析の検索キーワードを見ても、「糸面」「糸面取り」というキーワードでこのブログにたどり着いている方が結構いらっしゃいますので、今回、糸面取りを改めて取り上げることにしました。


糸面取りは流行?

 糸面取りの説明は、上の説明で大体お分かりいただけるかと思います。人の手が触れそうな場所であるにもかかわらず、あまり大きな角RやC面をつけたくない場合には、素材にもよるけれど、0.3mm~1.0mm程度のC面もしくは、角Rをつけることを、糸面取りと呼ぶわけです。

 ただし、ある頂点に集まる3つの稜線すべてが0.3mmの糸面だと、その頂点は触ると痛そうです。そういう場合は、3つの稜線のうちの1つを1.0mm~2.0mmくらいの角Rにしておくとよいでしょう。どれを大き目の角Rにするかは、製品全体のフォルムと相談しながら決めることになります(このあたりは、デザインの領分ですね)。

 さて、どうも、最近この糸面取りが少し流行っているような気がしています。

 特に家電製品に多いようなのですが、最近の製品はごちゃごちゃと装飾せずに、シンプルな基本形をざっくりと見せるような造形をよく見かけます。シンプルでいいのですが、同じような外観の製品を各社が出す必要があるのかどうか、各社ちゃんと儲かっているのかなど、要らぬ心配をしてしまうようなこともあります。

 ユーザーから見れば、冷蔵庫と電子レンジと炊飯器のメーカーがばらばらでも、シンプルデザインで、ある程度統一できれば、よしとする部分もありますし、反対に装飾過剰な突飛なデザインも求めていないのも確かでしょう。

 デザイン談義はこのくらいにしましょう(こういう話はいろいろな人が書いていると思いますから(笑))。

 実は、最近流行っているらしい「シンプルな基本形をざっくりと見せるような造形」というのは、具体的に言うと、稜線に大きな角RやC面をつけない造形ということができます。

 たとえば、立方体の各稜線に大きな角RやC面をつけていくと、基本形の立方体のイメージよりも大きな角RやC面の方に目が行ってしまいます。従って、「基本形をざっくりと見せる」には、なるべく角RやC面は小さいほうがいいわけです。

 つまり、「基本形をざっくりと見せる」ためには、糸面取りが結構重宝するというわけです。

 そんなわけで、昔であれば糸面取りといえば、ほぼ機械的に0.3mmくらいのC面か角Rをつけておけばよかったのですが、最近は、糸面取りまでも、造形デザインの領分になってきたため、0.1mm単位で糸面を決めないといけない時代になってきているようです。


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