木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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“ちいさな企業”未来会議サポーター意見書

2012年05月15日 | デザインコンサルタント木全の実績
<“ちいさな企業”未来会議ロゴ>


◆“ちいさな企業”未来会議サポーター意見書
【デザインコンサルタント木全の実績】


 こんにちは!
 中小企業のデザインコンサルタントの木全(キマタ)です。
 中小企業の方々に向けて工業デザインのエッセンスについて、毎週更新してお知らせしています。

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「“ちいさな企業”未来会議」サポーターをしています

 今年3月から中小企業庁主催の「“ちいさな企業”未来会議」サポーターに就任しました。「ブログ等を通じ、本会議の活動状況について広く周知すること」がサポーターの主な役割の一つですので、今回は意見書を転記します。

 黄金週間直前に、事務局より、以下の依頼がありました。

 「これまで総会、ワーキンググループ、地方会議の場において、皆様方から忌憚のない御意見を頂戴し、今後の中小・小規模企業の経営力・活力の向上に向けた施策のあり方等をお伺いしておりますが、具体的に施策を取りまとめていく上で重要な論点について、更に議論を深めるためにサポーターの皆様に是非、御意見をいただきたいと存じます。

 GW連休前の御忙しいところ大変恐縮ですが、下記の質問事項につきまして、5月9日(水)までに御意見をお願い申し上げます。(様式自由)」


 ということで、締め切りギリギリに送ったサポーター意見を転記します。(転記については、事務局の確認を取っています。)

 少し、愚痴っぽい内容になってしまいましたが、日頃感じていたことなので、正直に書きました。読みづらいところがありましたら、飛ばしてください。



“ちいさな企業”未来会議サポーター意見

中小企業庁“ちいさな企業”未来会議 ご担当者様

 平成24年5月9日
 木全デザインオフィス
 木全賢

■未来会議での議論を深めるためのサポーター意見

 いただいたご質問事項につきまして、以下のように考えております。

 30年近くプロダクトデザイン業界に身を置いてきた者の意見ですので偏りがあることは承知しておりますが、ご一読いただければ幸いです。



1.「知識サポート」の強化について

【質問1-①】
日頃、経営上の課題・悩みをはじめ、起業、事業拡大、事業承継等の各段階において、知識・ノウハウ、経験等を得るための身近な相談相手はどなたになりますか。
(例:起業・事業承継経験者、同業関係者の先輩、地域に存在する専門家等)


 2006年に独立し、現在は中小企業をメインターゲットにデザインコンサルタントをしております。

 独立時には、個人営業のデザイナーの先輩3名に相談をしました。現在も何かあるたびに、相談させていただいております。

 独立後は、行政のデザイン支援のお手伝いなどもさせていただき、関東圏を中心に200社近くのものづくり系中小企業の経営責任者とお会いして、デザインを中心にものづくりに関するアドバイスをさせていただいております。

 その、中小企業の方々のご活動を客観的な立場で見させていただいた経験から、参考になる点や注意しなければならない点など、それこそ現場の生きた知識を常にいただいております。

 地域の専門家という点では、経理について青色申告会のお世話になっておりますが、それ以外、特別なサポートは受けておりません。



【質問1-②】
今後、新たに起業や事業承継等を行おうとする方をはじめ、個々の中小・小規模企業に対するきめ細かな支援を実施するため、相談したい人に容易にアクセスが出来るよう、実践的で生きた知識を共有する「知識サポート」の体制を講じるためには、どのような仕組みとしたら良いと考えますか。


 行政のお手伝いをさせていただいて、歯痒く思うのは、「依怙贔屓」ができない点です。

 相談に来たすべての企業に同じサービスを提供することが「平等」だと信じられているようです。公正中立の立場を崩せない地方自治体の担当者にとって、その「平等」が犯すべからざる金科玉条になっています。

 その「平等」がある限り、中小企業の様々な全く違う状況に対して「実践的で生きた知識を共有する」「きめ細かな支援」は不可能です。

 地方ではすでに「依怙贔屓」的な支援が始まっています。そうしないと地場産業がなくなってしまうという強い危機感があるからです。

 また、開発期間が数年に及ぶものづくり系企業にとって、行政の会計が単年度決算であることも、とても大きな障害になっています。

 「知識サポート」も大切ですが、その前に取り組まなければならない課題が多いと感じています。



2.下請構造・取引の適正化について

【質問2-①】
中小・小規模企業が不公正な取引に係る情報提供や相談などを適切に行えるようにするためには、具体的にどのような環境を整備したらよいと考えますか。


 デザイン業界では、契約書(エビデンス)がないまま、仕事を進めてしまい、後でトラブルになるケースをときどき聞きます。

 また、デザイン作業は時間単価でしか算定できませんが、スケッチ制作やアイデア捻出にかかる時間を評価することが難しいため、激安の金額で仕事を請け、結局時間を掛けられず、安易な成果物を提案して信用を無くしている例も聞きます。(悪徳なデザイナーがいることも確かですが。)

 中小企業も契約関係には疎い方が多く、まずはメールでもいいのでエビデンスを残すことからお伝えするしかないと考えています。



【質問2-②】
事業者間での不公正な取引について、具体的にどの事業のどのような取引において、どういった問題が生じていますか。


 私自身は、デザイン業務において、必ずエビデンス(契約書・見積書・議事録・メール等)を残しておりますので、そのようなトラブルはありません。

 数冊の書籍を執筆した経験から言えば、大手に限られるかもしれませんが、出版業界は原稿料・印税の支払いについてとても紳士的です。

 契約は基本的に紳士協定だと思いますので、時間はかかりますが、そのような風土を育ててゆくしかないだろうと思います。



3.その他中小・小規模企業施策一般について
○未来会議に関すること、中小・小規模企業施策一般について、具体的に御意見等ございましたら、御自由に御記入下さい。


 教育においてもビジネスにおいても、日本の行政はデザイナーの育成や権利保護に全く関心を払ってきていませんでしたので、仕方のないことだとあきらめていますが、一言書かせていただきます。

 今後、中小企業が生き残っていくためには、海外、特にアジア新興国を意識せざるを得ません。特にものづくりの現場では、上昇志向の強い新興国の若者たちが、最新の生産設備を手に入れて追いかけてきています。

 日本のものづくり系の中小企業が彼らに先行できるとしたら、私は「デザインセンス」しかないと考えています。

 そういう意味で、未来会議のコアメンバーにデザイナーが参加していないのはとても残念です。各種業界のデザイナーが各一名いてもいいと思います。

 また、未来会議と言いながら、現状の対策を協議しているのも、後ろ向きな印象です。

 「10年後に新たにアップルやダイソンのような企業を100社日本に育て上げる」というような前向きなビジョンを示し、そのためにどんな施策が必要か考えることこそ、『未来』会議で検討するべきことだと思います。

 まずは、なぜ、アップルやダイソンがデザインに力を入れているのか、未来会議で研究するところからはじめてはいかがでしょうか?

 行政支援の面で有効なのは、なぜ、韓国のサムスンが破竹の勢いで売上を伸ばしているのか研究することかもしれません。(その理由は、依怙贔屓+デザインです。)

 以上



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