<写真>上2枚 BMW Z4 Coupe Concept/
左下 BMW750Li/右下 レクサスLF-Sh
■BMWのこだわり(東京モーターショー2005)
103:【よろず週末版】第3回
モーターショーのことは前回でおしまいにしようと思っていたのですが、もう一台どうしても気になる車があるので、書いちゃいますね。
■BMW Z4 クーペ コンセプト
前回「ここ最近、ずっと『アルファロメオ156』でした。」なんて書いておきながら、実はBMW Z4 ロードスターも気になってました。すごくかっこいい訳じゃなくて、でも、アクの強い外観がなんとも言えず気になっていた。
建築の世界では、遠景・中景・近景から見て、建物を評価すると言われてます。そういう見方をすると、BMW Z4 ロードスターはかなり評価が高い。遠くからでもすぐ気がつくし、近付いて来ても、思わず目が吸い寄せられてしまう。整った顔だちの美人じゃない、ちょっとごついけどかわいい、そんな微妙なバランスがいい。
新しいZ4 クーペ コンセプト(上写真参照)は、塗装がマットになってました。写真でも、ボディのハイライトが柔らかくなっているからわかりますね。ピンスポットだらけの会場でも、造形のメリハリがきれいに撮れて、とてもフォトジェニック(笑)。でも、このまま市販されたら、手入れが大変そうですね。
さて、今回は塗装の話ではなく、Z4の魅力についてでもなく、ロードスターとクーペ コンセプトを較べて「外観デザイン」と「企業のデザイン」とのせめぎあいの話をしようと思います。
■BMWの特徴
車はサイドビューが一番大切だと思っているのですが、BMWは昔からサイドビューがかっこいい。Cピラー下の窓の斜ラインが真直ぐ伸びて後部ドアのラインに繋がっているのがBMWの特徴。後部ドアのラインがタイヤハウスにぶつからず直線になっています。最新のBMW750Li(上写真参照)でもそのデザインは踏襲されている。この直線と伸びやかなキャラクターラインとリアウインドウのラインがスピード感と安定感を醸し出していて、カッコいい。
ついでですが、トヨタの新レクサス(上写真参照)のCピラーの窓と後部ドアのラインが、どうもBMWに似ている。細かい処理が違うから真似とは言いませんが、トヨタがレクサスブランドを立ち上げ、その新車がBMWの特徴を取り込んでいると言うことは、世界のトヨタもその魅力を認めたと言うことですよね。
さて、Z4ですが、Z4 ロードスターはオープントップでCピラーがないため、 BMWの特徴であるCピラーとドアの斜ラインが作れない。そこで、フロントウインドウの斜ラインをボディまで引っ張り、そのラインの真ん中にエンブレムを置き、ウインカーした。BMWの特徴を上手く翻案して新しい造形に結び付けています。全体のバランスは変わってしまいましたが、決して嫌じゃない。
Z4 ロードスターは、BMWらしさを残しながら、新しいイメージの創出に成功しています。
■やっぱりBMWだよね
Z4 ロードスターにルーフがついて、Z4 クーペ コンセプトになりました。ルーフがあるので、Cピラーができてしまった。ここで、BMWのデザイナーはかなり悩んだのだと思います。
BMWの特徴は、既にウインカーのラインで再現している。ルーフがついてCピラーができたからといって、ここでまたBMWの特徴を踏襲しなければならないのか?
結論は、やはりBMWの特徴を踏襲して、Cピラー下の窓の斜ラインがあります。
こんなところに「外観デザイン」と「企業の商品デザインへの姿勢」とのせめぎあい、企業の商品デザインへの「こだわり」を見ることができます。本当に細かい部分なのですが、こういうこだわりは大切だと思います。そういうこだわりこそが、ファンの琴線に触れるはずだから。
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
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■BMW Z4 クーペ コンセプト
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建築の世界では、遠景・中景・近景から見て、建物を評価すると言われてます。そういう見方をすると、BMW Z4 ロードスターはかなり評価が高い。遠くからでもすぐ気がつくし、近付いて来ても、思わず目が吸い寄せられてしまう。整った顔だちの美人じゃない、ちょっとごついけどかわいい、そんな微妙なバランスがいい。
新しいZ4 クーペ コンセプト(上写真参照)は、塗装がマットになってました。写真でも、ボディのハイライトが柔らかくなっているからわかりますね。ピンスポットだらけの会場でも、造形のメリハリがきれいに撮れて、とてもフォトジェニック(笑)。でも、このまま市販されたら、手入れが大変そうですね。
さて、今回は塗装の話ではなく、Z4の魅力についてでもなく、ロードスターとクーペ コンセプトを較べて「外観デザイン」と「企業のデザイン」とのせめぎあいの話をしようと思います。
■BMWの特徴
車はサイドビューが一番大切だと思っているのですが、BMWは昔からサイドビューがかっこいい。Cピラー下の窓の斜ラインが真直ぐ伸びて後部ドアのラインに繋がっているのがBMWの特徴。後部ドアのラインがタイヤハウスにぶつからず直線になっています。最新のBMW750Li(上写真参照)でもそのデザインは踏襲されている。この直線と伸びやかなキャラクターラインとリアウインドウのラインがスピード感と安定感を醸し出していて、カッコいい。
ついでですが、トヨタの新レクサス(上写真参照)のCピラーの窓と後部ドアのラインが、どうもBMWに似ている。細かい処理が違うから真似とは言いませんが、トヨタがレクサスブランドを立ち上げ、その新車がBMWの特徴を取り込んでいると言うことは、世界のトヨタもその魅力を認めたと言うことですよね。
さて、Z4ですが、Z4 ロードスターはオープントップでCピラーがないため、 BMWの特徴であるCピラーとドアの斜ラインが作れない。そこで、フロントウインドウの斜ラインをボディまで引っ張り、そのラインの真ん中にエンブレムを置き、ウインカーした。BMWの特徴を上手く翻案して新しい造形に結び付けています。全体のバランスは変わってしまいましたが、決して嫌じゃない。
Z4 ロードスターは、BMWらしさを残しながら、新しいイメージの創出に成功しています。
■やっぱりBMWだよね
Z4 ロードスターにルーフがついて、Z4 クーペ コンセプトになりました。ルーフがあるので、Cピラーができてしまった。ここで、BMWのデザイナーはかなり悩んだのだと思います。
BMWの特徴は、既にウインカーのラインで再現している。ルーフがついてCピラーができたからといって、ここでまたBMWの特徴を踏襲しなければならないのか?
結論は、やはりBMWの特徴を踏襲して、Cピラー下の窓の斜ラインがあります。
こんなところに「外観デザイン」と「企業の商品デザインへの姿勢」とのせめぎあい、企業の商品デザインへの「こだわり」を見ることができます。本当に細かい部分なのですが、こういうこだわりは大切だと思います。そういうこだわりこそが、ファンの琴線に触れるはずだから。
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