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<昔のパソコンですが、実は。。。>
◆ダサさはわかるのに、なぜデザインを評価できないのか?
82:【デザイン相談室】第82発
こんにちは!
中小企業のデザインコンサルタントの木全(キマタ)です。
中小企業の方々に向けて工業デザインのエッセンスについて、毎週更新してお知らせしています。
中小企業のデザインのお悩み、なんでもご相談ください。
designsoudan★goo.jp(★を@に)
木全のデザイン実績
木全のデザインセミナー実績
墨田区「無料商工業アドバイザー派遣」 ※墨田区に事業所のある方限定。
■「ダサい」はわかるのに
黄金週間前に、「ダサい」はわかる というテーマで次のようなお話ししました。
「デザインの良し悪しが直感的にわからない鈍感な人間」など日本に住んでいる人には一人もいません。
「ダサい」ものは誰が見ても「ダサい」、「良いデザイン」は誰が見ても「良い」のです。
しかし、現実には、商品デザインの場合、その「姿かたち(色・形・素材・質感)」だけでは評価できません。
何百年も前の商品デザインなら、心置きなく「姿かたち」だけを見て直感的に判断できますが、同時代に製造販売されている商品に関して「姿かたち」だけで、人は判断できないのです。
「姿かたち」と同時に「制作者の意図」が大きく関っているのです。
少し不思議な説明になってきましたが、上の写真を見ていただければ、何を言わんとしているのか、わかっていただけると思います。
■昔のダサいパソコン?
上の写真は、木製で手作りのパソコンの写真です。
「姿かたち」だけを見ると、たいしたことはありません。素人が日曜大工で作ったパソコンという風情で、お世辞にも「洗練されている」とは感じません。
しかし、このパソコンは、アメリカのスミソニアン博物館に展示されています。
1976年に発売され、200台製造されたうち170台しか売れなかった、幻の「アップル1」の写真だとわかったら、どう感じるでしょう?
なんだか急に「良いデザイン」に見えてきませんか?
今まで粗探ししていたのに、急に良いところを探す目線に変わっていませんか?
さらに、この写真の中にアップル1はどこにも写っていません。
アップル1はボード(基板)だけの商品でしたので、購入者がキーボードや電源を用意し、様々なケースに入れて使用していました。
そして、たぶん、上の写真の木製筐体の制作にはジョブズもウォズニアックも全く関与していません。
にもかかわらず、ジョブズも関わらず、アップル1がどこにも写っていないこの木製パソコンの写真を見ながら、「これはアップル1だ」というヒントをもらって感じる感動は、「姿かたち」による感動とは、全く違うものです。
その感動は、アップル1が現在のアップル社の原点だという歴史を知り、アップル創設者であるスティーブ・ジョブズの「制作者の意図」を知っているからこそ起きる感動です。
アップル社やスティーブ・ジョブズに関することを全く知らない人が、写真のパソコンの「姿かたち」を見ただけでは、この感動は起きません。
■商品デザインを評価するためには
商品デザインに関して、外観の「姿かたち」だけなら、我々はその良し悪しを直感的に判断できますが、同時代に製造販売されている商品のデザインに関しては、「姿かたち」以上に「制作者の意図」がわからないと安心して、その良し悪しを評価できないのです。
それは、最近のことではありません。縄文土器の美しさは、画家の岡本太郎によって再発見されましたが、1万年前の縄文時代の人たちは、「やっぱり壷造り名人の○○さんが作った土器は違うなぁ」といいながら土器を使っていたはずですし、200年前の江戸時代の人々は「今度の写楽はいいねぇ」といいながら浮世絵を楽しんでいたはずです。
人は昔から「姿かたち」と共に、同時代に生きる「制作者の意図」を汲み取って評価してきたのです。
「デザインはわからない」「デザインを評価できない」と考えている人は、「姿かたち」を見て、良し悪しを評価できるのに、同時代に生きている「制作者の意図」までは読み取れないために、半分わかるのに半分わからないから、なんだかもやもやして「デザインはわからない」「デザインを評価できない」と考えているのだと思います。
従って、デザインを評価するには、「姿かたち」と「制作者の意図」を別けて評価すればいいのです。
デザイナーが商品デザインを評価する際には、いつもそうしています。
新商品であっても、まずは、博物館に並んでいる数千年前の遺物を見るのと同じように「姿かたち」だけを見て評価します。
その次に、パンフレットや取扱説明書などを読んで「制作者の意図」を類推して、総合的な評価をします。
デザイナーでも、商品の「姿かたち」を見ただけで「制作者の意図」を読み取れるわけではありません。
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新書「中小企業のデザイン戦略 」(PHPビジネス新書) 好評発売中
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82:【デザイン相談室】第82発
こんにちは!
中小企業のデザインコンサルタントの木全(キマタ)です。
中小企業の方々に向けて工業デザインのエッセンスについて、毎週更新してお知らせしています。
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木全のデザイン実績
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■「ダサい」はわかるのに
黄金週間前に、「ダサい」はわかる というテーマで次のようなお話ししました。
「デザインの良し悪しが直感的にわからない鈍感な人間」など日本に住んでいる人には一人もいません。
「ダサい」ものは誰が見ても「ダサい」、「良いデザイン」は誰が見ても「良い」のです。
しかし、現実には、商品デザインの場合、その「姿かたち(色・形・素材・質感)」だけでは評価できません。
何百年も前の商品デザインなら、心置きなく「姿かたち」だけを見て直感的に判断できますが、同時代に製造販売されている商品に関して「姿かたち」だけで、人は判断できないのです。
「姿かたち」と同時に「制作者の意図」が大きく関っているのです。
少し不思議な説明になってきましたが、上の写真を見ていただければ、何を言わんとしているのか、わかっていただけると思います。
■昔のダサいパソコン?
上の写真は、木製で手作りのパソコンの写真です。
「姿かたち」だけを見ると、たいしたことはありません。素人が日曜大工で作ったパソコンという風情で、お世辞にも「洗練されている」とは感じません。
しかし、このパソコンは、アメリカのスミソニアン博物館に展示されています。
1976年に発売され、200台製造されたうち170台しか売れなかった、幻の「アップル1」の写真だとわかったら、どう感じるでしょう?
なんだか急に「良いデザイン」に見えてきませんか?
今まで粗探ししていたのに、急に良いところを探す目線に変わっていませんか?
さらに、この写真の中にアップル1はどこにも写っていません。
アップル1はボード(基板)だけの商品でしたので、購入者がキーボードや電源を用意し、様々なケースに入れて使用していました。
そして、たぶん、上の写真の木製筐体の制作にはジョブズもウォズニアックも全く関与していません。
にもかかわらず、ジョブズも関わらず、アップル1がどこにも写っていないこの木製パソコンの写真を見ながら、「これはアップル1だ」というヒントをもらって感じる感動は、「姿かたち」による感動とは、全く違うものです。
その感動は、アップル1が現在のアップル社の原点だという歴史を知り、アップル創設者であるスティーブ・ジョブズの「制作者の意図」を知っているからこそ起きる感動です。
アップル社やスティーブ・ジョブズに関することを全く知らない人が、写真のパソコンの「姿かたち」を見ただけでは、この感動は起きません。
■商品デザインを評価するためには
商品デザインに関して、外観の「姿かたち」だけなら、我々はその良し悪しを直感的に判断できますが、同時代に製造販売されている商品のデザインに関しては、「姿かたち」以上に「制作者の意図」がわからないと安心して、その良し悪しを評価できないのです。
それは、最近のことではありません。縄文土器の美しさは、画家の岡本太郎によって再発見されましたが、1万年前の縄文時代の人たちは、「やっぱり壷造り名人の○○さんが作った土器は違うなぁ」といいながら土器を使っていたはずですし、200年前の江戸時代の人々は「今度の写楽はいいねぇ」といいながら浮世絵を楽しんでいたはずです。
人は昔から「姿かたち」と共に、同時代に生きる「制作者の意図」を汲み取って評価してきたのです。
「デザインはわからない」「デザインを評価できない」と考えている人は、「姿かたち」を見て、良し悪しを評価できるのに、同時代に生きている「制作者の意図」までは読み取れないために、半分わかるのに半分わからないから、なんだかもやもやして「デザインはわからない」「デザインを評価できない」と考えているのだと思います。
従って、デザインを評価するには、「姿かたち」と「制作者の意図」を別けて評価すればいいのです。
デザイナーが商品デザインを評価する際には、いつもそうしています。
新商品であっても、まずは、博物館に並んでいる数千年前の遺物を見るのと同じように「姿かたち」だけを見て評価します。
その次に、パンフレットや取扱説明書などを読んで「制作者の意図」を類推して、総合的な評価をします。
デザイナーでも、商品の「姿かたち」を見ただけで「制作者の意図」を読み取れるわけではありません。
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