木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

中小企業のデザインのお悩み、なんでもご相談ください!!

デザインの提案営業は可能か

2006年09月12日 | デザイン相談室の回答
◆デザインの提案営業は可能か?
【回答】その4


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

 記事の目次
 デザイン相談室の目次    デザインの考え方と運用について
 デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
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 デザインセミナーは、なんとか好評のうちに終えることができました。セミナーの翌日、参加者の方から

 昨日の木全さんの講義、大変興味深く聞かせて頂く事ができました。私はデザインについて勉強した事もなく、まったくの素人ですが、そんな私でも楽しく講義を聞くことができました!ありがとうございました。

 なんていうメールをいただきました。わかりやすさを第一に考えていましたので、感激しています。

 でも、まだ出版企画の初稿、完成していません。きゃー

 そうそう、先週末瞬間風速ですが、拙Blogがgoo blogで627,112Blog中320位ユニークアドレス466ipにまで上りつめました。理由はよくわかりませんが、びっくりすると共にありがたい事だと感謝しております。

 皆様、今後ともご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます!


久しぶりの質問

 久しぶりにメールで質問をいただきました。

 個人でグラフィックデザイナーをされている方からの質問です。私は独立したばかりで、とても回答できるような立場にはないのですが、先輩デザイナーの仕事振りを参考に回答させていただきます。

 以下、いただいた質問のメールです。若干短縮してありますが、ほぼ全文です。


デザイナーは提案営業できないのか?

 極端な例です。既存のバーがあるとします。そこへ自分としてお手伝いできそうなビジュアル関連の改善提案をすることは可能でしょうか?

 既に、店主手作りロゴタイプ・ウェブサイトなどで売上に困っていないかもしれません。こちらの提案は傲慢かもしれません。メニューやらインテリアなど改善しなくても差し障りないかもしれません。自分の提案により、そのバーの売り上げが飛躍的に上がるのだろうか、とつい考えてしまいます。

 職業柄こちらから作品提示などできますが、仕事はその都度フルオリジナルフルオーダーです。絶大な信頼を得ている場合は別としてクライアントに対しなにも保証はできません。それでも、デザイン料は頂かなければなりません。

 そこで質問です。

 中小企業等に対する、一方的なデザイナーからの提案営業は成立するのでしょうか?

 発注を受ける側に一定の評価があれば、受注はごく自然です。しかし、一方的なデザイン提案となると失礼にあたる場合もあると思います。デザイナーというのは自分の作品・仕事をひたすらに発表し、評価を受け、受注することにつきるのでしょうか?

 デザイナーの立場としてあくまで受注という依頼が健康的なのでしょうか?それとも、少しでも良くなりそうだと思い、万一できることがあると思ったなら、非礼を覚悟で提案することもデザイナーとしてのあり方なのでしょうか?


先輩デザイナーの事例

 デザイナーとしてもっともな悩みだと思います。一般の企業であれば、提案営業は当たり前です。相手の迷惑を考えない飛込みだってテレアポだって普通に行われています。それなのにデザイナーに限って、提案営業できないのでしょうか?受注が来るまで待っているしかないのでしょうか?それでは、顧客開拓ができず、ジリ貧です。

 営業の基本は、信頼関係です。どうすれば、デザイナーとして新規顧客との信頼関係を構築できるのか?きっと、信頼関係ができていれば、少しくらい耳の痛い話でも、相手は乗ってきてくれる。けれど、信頼関係がしっかりしていない状況では、相手がこちらの思い通りの反応をしてくれることはほとんどない。

 どうすれば、いいのでしょう?

 毎回、信頼関係が構築できるほど深く付き合わなければ、提案営業できないのでしょうか?

 工業デザイナーのある先輩は、経験があり、流通や下請けメーカーや行政などとの付き合いが広く、例えば、クライアントがよい技術を持っているにも拘らず、開発資金がないために新製品開発に二の足を踏んでいるのであれば、行政に掛け合って、資金調達の手伝いをしたり、新しい技術を持っているのに量産化できない開発系メーカーがあれば、量産能力の高い下請けメーカーとお見合いさせたり、生産できても流通がなくて困っているところには、流通を紹介するなど、デザイン以外の実業の部分での提案も含めて行うことで、短期間で信頼を得ています。

 その先輩は、これからのデザイナーは、絵だけ描いていては駄目だと断言していました。私もその通りだと思います。

 しかし、上記の手法は、長年の経験と人脈があってこそできる仕事の進め方です。では、そのほかの方法はないのか?


私の場合

 そんなことはありません。私の場合がいい例です。私はいままで、企業に在籍し、先輩のように流通や下請けメーカーや行政に人脈はあまりありません。でも、独立したばかりの割には順調に仕事をいただいています。

 私は、このブログをほぼ1年間休むことなく週一回更新して、工業デザインの情報を発信してきました。今回のセミナーの話も、出版企画の話も、すべてこのブログから始まっていると思っています。自分の専門知識を発信し続け、ブログを見てもらうだけで、信頼を得てきました。出版社の担当の方はこのブログを見て、出版企画を進めてもいいと判断してくださったのだと思います。

 ピンスポットで是非見て欲しい人と思っている人に紹介すれば、ちゃんと見て評価してくれます。そして、それが信頼に結びついています。私が本を出版したいと考えたのも、短期間で確実に信頼を得るには、出版という手法が有効だと考えたからです。(まだ出版されていませんが(苦))

 ブログの先輩は、内容のあるブログを100本書くと、違う世界が見えてくると教えてくれました。その方は私よりずっと若いのですが、半年で100本書き、本を出版し、いまでは、ブログプロデューサーとして大手家電メーカーからの受注を受け、独り立ちしています。

 情報発信はブログだけではありません。ホームページでもメルマガでもいいと思います。他の方法もあるかもしれません。(手軽さから言えば、ブログがベストですが。)

 とにかく、相手の信頼を獲得するために、自分の専門知識をネットや他の媒体で発信し続けること、それが長年の経験や人脈がない場合の最短の方法だと思います。私でさえ、たった1年で商業出版にまでこぎつけました。

 情報発信と関連業種や異業種との人脈の構築。まずは、手近な情報発信がいいと思います。発信し続けるといつの間にか、人脈もできていきます。半年我慢して、内容の濃い記事を100本書くことに励んでみては如何でしょうか?きっと違う世界が見えてくるはずです。

 私の場合も、出版は受注したわけではありません。こちらからの提案が通ったのです。情報発信を続ければ、きっとバーのオーナーも提案に耳を傾けてくれるはずです。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (hirameki)
2006-09-16 08:23:45
商品開発に興味を持つ個人です。

アイデアを商品化するのは可能なのか調べています。アイデアに投資して、生産してくれる中小企業を探しています。万が一、将来商品化されたらこちらにコンサルタントをお願いしたいと思っています。本業ではありませんので、いつになるかわかりませんが。
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コメント感謝です! (木全賢)
2006-09-16 18:33:28
hirameki様

コメントありがとうございました。

hirameki様のブログも見させていただきました。

アイデア商品の数が半端でなく、また、デザインコンペでの実績も素晴らしいですね!



商品化を希望されているとのこと。

アイデアを商品化される場合、いろいろな方がいらっしゃいます。hirameki様のスタンスがどうなのか、利潤追求なのか、とにかく商品化できて人の役に立てばいいのか、特許出願をどのように考えるのか。

そういったスタンスによって、どのような方と組んで、どのような流通をするか進め方が変わってくると思います。



そのあたりをどう考えているのか、一度ご自分で気持ちの整理をされるといいと思います。



地元の行政が、デザイナーと企業のマッチングビジネスを行っている場合があります。そのようなシステムを利用するのも一つの手だと思います。



不必要なアドバイスかもしれませんが、ご参考まで。



でわ!  木全賢拝
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