木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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差異化要因その2

2006年10月17日 | 商品コンセプトとは(コツツボ)
<テプラとミシン>


◆商品の差異化要因<その2>
231:【デザインのコツ・デザインのツボ100連発!】第31発 商品企画


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

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 月曜日に、すみだ作る・創る会の「とき時アート展・やわらか頭の○△□」の展示会にいってきました。やはり、確かな技術を持っておられる方たちの作品は、見ていて気持ちがいいですね。

 中小企業振興公社主催の「ものづくりデザイン道場」で講師を勤めています。私の担当は「デザインの心・技・体」の「技」、コンセプト作りですので、講義の内容の詰めもかねて、しばらく商品コンセプトの話をしていこうと思います。商品コンセプトは、次の10項目が一般的です。

1) 商品の存在理由 (なぜ、今必要なのか?)
2) 差異化要因 (今までの製品とどこが違うのか?)
3)ターゲット設定 (誰がどこで買い、誰が使うのか?)
4) ニーズ設定 (使う人が求める機能は何か?)
5) シーン設定 (だれがいつどこでどう使うのか?)
6) 企業理念の確認 (なぜ、作るのか?)
7) シーズ設定 (どのように作るのか?)
8) 販売ルート設定 (どのように売るのか?)
9) 商品構成 (どのような商品にするのか?)
10)デザインコンセプト (どのようなイメージにするのか?)

今回は、「差異化要因(今までの製品とどこが違うのか?)」の2回目です。


差異化とマーケティングフレーム

 以前、マーケティングフレームについて簡単に説明したことがありますが、一般的に以下の四つのフレーム(4P)があります。4P/製品・価格(中間卸)・流通・販売促進というフレームで、ほとんどの企業の主要業務を分類できます。4Pは現在の産業の基本構造になっています。

 Product(プロダクト):製品の性能・デザインはよいか
 Price(プライス):価格は適正か
 Place(プレイス):顧客の手元に届く流通はあるか
 Promotion(プロモーション):販売促進・顧客は製品を知っているか

 差異化を考えるときに、この四つのフレームにあてはめて考えれば、他社製品との違いを検討することができます。詳しくは、前回の「差異化要因<その1>」をご覧ください。今回は

●Place(プレイス):顧客の手元に届く流通はあるか

 既存の技術を使って、新しい市場に展開できないか?


について、考えてみます。


プレイス(流通)での差異化

 キングジムのテープライター「テプラ」は発売当初、円形の文字入力ダイヤルが使いやすさやとっつきやすさを感じさせ、市場に普及していきました。

 テプラ発売当初は、ワープロが普及し始めた頃で、まだQWERTYキーボードに違和感をもっている一般ユーザが多くいた時代でした。テープライターという機能を限定した小型の電子文具という判りやすさと、円形ダイヤルの使いやすそうなイメージが受けて、当時、急速に市場に浸透していきました。

 「テプラ」は、ブラザーの電子技術と、キングジムの文具流通が結びついて、完成した製品です。

 ブラザーは、ミシンやタイプライターやワープロやプリンターを製造するメーカーです。テプラには、ブラザーのミシンのダイヤル式入力装置の技術とワープロとプリンターの技術が応用されています。

 キングジムは、ファイルなどを作る事務機器メーカーで、電子技術は持っていませんでしたが、当たり前ですが全国の文具流通を持っています。テプラは、その強力な文具流通に乗り、市場に展開されていきました。

 「テプラ」は、ブラザーの既存の技術を、キングジムの持っている文具流通に展開したことでヒットに結びつきました。

 既存の技術であっても、新しいプレイス(流通)と結びつくことによって、新しい価値(差異化)を生み、ユーザに受け入れられる場合もあるのです。


 ちなみに、ブラザーとキングジムの橋渡しには、工業デザイン事務所が関与したといわれています。工業デザイナーは、そのネットワークを使って、技術を持っているメーカーと流通を持っている会社を結びつけ、「プレイス(流通)での差異化」のお手伝いができる場合があります。


 デザインのコツツボですので、企画の話よりも、デザイン実務の話を中心に進めていたのですが、やはり、企画の話は避けて通れないみたいです。しばらく、企画寄りの話をしていきます。

 でも、極力デザイン実務に近いところから攻めていこうと思っています。


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