木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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ターゲット設定

2006年10月24日 | 商品コンセプトとは(コツツボ)


◆ターゲットの設定
232:【デザインのコツ・デザインのツボ100連発!】第32発 商品企画


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

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 金曜日に東京ビッグサイトで開催されていた産業技術展と東京デザインマーケットに行ってきました。 デザインマーケットに出展している知り合いのブースに立ち寄り 様子を聞くと、展示した試作品について、売りたいという 話はあったけど、作りたいという話はなかなかないとのこと。

「生産するリスクは負えないけど、商品としては面白そう」 ということなんでしょうね。 当たり前といえば、当たり前。 デザインからメーカーへの売込みって、やっぱり難しい。。。

 中小企業振興公社主催の「ものづくりデザイン道場」で講師を勤めています。私の担当は「デザインの心・技・体」の「技」、コンセプト作りですので、講義の内容の詰めもかねて、しばらく商品コンセプトの話をしていこうと思います。商品コンセプトは、次の10項目が一般的です。

1) 商品の存在理由 (なぜ、今必要なのか?)
2) 差異化要因 (今までの製品とどこが違うのか?)
3) ターゲット設定 (誰がどこで買い、誰が使うのか?)
4) ニーズ設定 (使う人が求める機能は何か?)
5) シーン設定 (だれがいつどこでどう使うのか?)
6) 企業理念の確認 (なぜ、作るのか?)
7) シーズ設定 (どのように作るのか?)
8) 販売ルート設定 (どのように売るのか?)
9) 商品構成 (どのような商品にするのか?)
10)デザインコンセプト (どのようなイメージにするのか?)

 今回は、「ターゲット設定 (誰がどこで買い、誰が使うのか?)」です。


エンドユーザーとターゲット

 ターゲットの設定なんて簡単なような感じがしますが、これがなかなか奥が深い。

 「使う人(エンドユーザー)がターゲットに決まっている」はずです。でも、そうでもないです。例えば、幼児向けの服や玩具はどうでしょう?

 使うのは子供だけれど、買うのは親です。この場合は、どちらもターゲットです。ある通信教育の会社は、教育玩具のデザインのユーザー調査を行う際、子供の「欲しい」と親の「与えたい」を同じ比重で調査しています。

 どんなに子供(使う人)が「欲しい」と思っても、親(買う人)が「与えたい」と思わなければ、その教材の性能がどんなに素晴らしくても、子供(使う人)の手元には届きません。

 買う人と使う人が違うことはよくある話です。極端な話ですが、環境面から考えれば、製品を捨てた後、それを分別してリサイクルしたり、焼却したり、廃棄することも考えなければなりません。

 まあ、リサイクル業者をターゲットととらえるのは、行きすぎですが、そこにも充分な配慮をしなければなりません。

 メーカーの場合は、エンドユーザーの手前に卸売りや小売などの流通業者がいます。その場合、直接のお客様は、エンドユーザーではなく流通業者です。家電業界では、ずいぶん以前から、メーカーが家電量販店の意見に左右されています。特に、価格へのプレッシャーが大きく、どんなにいいものでも、売れれば売れるだけ、値下げを要求され、メーカーの利幅がどんどん少なくなり、家電メーカーは「良いものを作ってたくさん売っても、儲からない」というジレンマに落ち込んでいます。


それでもエンドユーザー

 それでは、エンドユーザー(使う人)も買う人も流通業者も(リサイクル業者も)満足するものを作らなければならない。エンドユーザー(使う人)は「自分だけが欲しいもの」を求め、買う人は「自分が与えたい」ものを求め、流通業者は「たくさん売れて、利幅の大きい」ものを求めます。

 みんなの意見を聞いていたら、いったい何を作ったら良いのかわからなくなってしまいそうです。

 それでも、やっぱり、エンドユーザーを第一のターゲットに考えて製品を作るべきです。

 確かに、買う人が「自分が与えたい」と思わなければ買ってもらえない。流通業者が「これはたくさん売れて儲かりそうだ」と思わなければ、お店の陳列棚に並べてもらえない。

 でも、買う人は、使う人の笑顔が見たいから買うはずですし、流通業者だって、いい製品を買ってもらって、ユーザーが満足してリピーターになってくれたほうがうれしいはずです。

 そのためには、やはり、エンドユーザーが喜ぶものを作ること。エンドユーザーを第一のターゲットにすることが、大切です。

 商品コンセプトとしてあげた10項目は、基本的にすべて、エンドユーザーが喜ぶためにどうしたらいいかを考えるためのものでもあります。(本当によいコンセプトは、エンドユーザーは当然、メーカーにも流通にも喜ばれるものですが。でも、第1のターゲットはエンドユーザーです。)

1)商品の存在理由 (なぜ今、エンドユーザーにとって必要なのか?)
2)差異化要因 (エンドユーザーにとって今までの製品とどこが違うのか?)
3)ターゲット設定 (エンドユーザーはだれか?)
4)ニーズ設定 (エンドユーザーが求める機能は何か?)
5)シーン設定 (エンドユーザーはいつどこでどう使うのか?)
6)企業理念の確認 (なぜ、エンドユーザーのために作るのか?)
7)シーズ設定 (どうすればエンドユーザーが喜ぶ商品が作れるのか?)
8)販売ルート設定 (エンドユーザーにどう知らせ、どう売るのか?)
9)商品構成 (エンドユーザーが喜ぶ商品は何か?)
10)デザインコンセプト (エンドユーザーが喜ぶイメージは何か?)

 エンドユーザーのことを、一所懸命に考えれば、きっと買う人や流通業者にも、その製品に込められた想いは伝わるはずです。(でも、環境への配慮も必要ですよ。)



 デザインのコツツボですので、企画の話よりも、デザイン実務の話を中心に進めていたのですが、やはり、企画の話は避けて通れないみたいです。しばらく、企画寄りの話をしていきます。

 でも、極力デザイン実務に近いところから攻めていこうと思っています。


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