スポーツライター・オオツカヒデキ@laugh&rough

オオツカヒデキは栃木SCを応援しています。
『VS.』寄稿。
『栃木SCマッチデイプログラム』担当。

心中は免れた模様だ~俊輔解放~

2005-03-29 12:34:23 | サッカー
中田英寿と中村俊輔が恐らく、ジッコに提案したのだろう。4―4―2ではチームが機能しないし、勝てないだろう。3―5―2に戻すべきだと。これは、バーレーン戦が終わった後の『ナンバー』、『サカマガ』、『サカダイ』等で、密着ドキュメントとして誰かが活字にすると思われる。お楽しみに。

取り敢えずは、ジッコとの心中は免れたと言える。システムを変更したことでバーレーン戦の敗戦の可能性は、幾分かは減少した。でも、まだまだ予断は許さない。なぜなら中田英寿をボランチに起用しているから。システムを元に戻しても、熟成された当時にまるっきり回帰したとは言い難い。イラン戦同様に、ぶっつけ本番の要素が多分に強い。

しかし、多くのメディアが取り上げているように中村俊輔と中田英寿の関係が「横から縦へ」変更されたことは、好材料である。どうも2人が横並びになると中村俊輔が遠慮してしまうのか、しっくりこないことが多かった。ポジションチェンジを左と右で行っても、さして相手DFを混乱に陥れたことはなく、左なら左、右なら右へしっかりとポジションを取っていれば良いのに、と何度も思ったものだ。

イラン戦でも中田英寿が、ある程度のパフォーマンスを披露したのに対して、中村俊輔は後半7分のFKの際しか見せ場、存在感を示せずにストレスを往々にして抱え、90分を消化不良のまま終えた。試合後の会見では、守備に忙殺されたことで蓄積されたフラストレーションを珍しく吐露した。あれだけハキハキと自分の意見、チーム状況、試合内容を率直に伝えたところは見たことがなかっただけに、自分が、いや俺が代表を牽引してやるとの強い気持ちを感じた。やや乱暴な言い方をすれば、中田英寿だけに任せていられないと。攻撃は俺がリードする。揺るぎない、強固な意志を感じた。

とはいえ、中村俊輔にはバーレーンのボランチ・ドサリがマンマークで付いてくることが予想される。トップにより近い位置でプレーすることを明言したが、そこに居てばかりではハードマークを受け、攻撃の起点とはなり得ない。そこで中田英寿の重要性が増す。アジアカップでは遠藤、中田浩二が中村俊輔と絶妙な縦のポジションチェンジをを行い、好機を演出してきた。遠藤、中田浩二が担った役割を今度は、中田英寿が着実に遂行しなければならない。

戦術理解度が高い中田英寿のことだから、柔軟に与えられた役割を全うするであろうが、なかなかに今回のミッションは困難である。驚異的なカウンターを兼ね備えているバーレーンの攻撃を警戒しつつ、更にバランスをとり、中村との機を見てのポジションチェンジ、追い越すプレーが要求されてくる。

3―5―2にしたことでプレスの掛かり具合は、4―4―2よりも良くなるであろうが、ボールを奪ってから攻撃を如何にするか。そこに焦点が当てられるだろう。脇の甘いバックラインを巧みに、したたかに突くことができるのか?そこが、やはりバーレーン戦の勝敗の鍵を握ってくる。

中田英寿と中村俊輔の共存共栄が実現するのか。これは、これからの代表戦線を左右する大事である。明日は2人から目が離せない。

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