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【書評】希望~日本から世界を変えよう(大西つねき)

2018年05月26日 | 書評


「希望~日本から世界を変えよう」(大西つねき)
いつまでも続くデフレ不況で、銀行に借金をする人も企業も減り、また銀行も貸し倒れを恐れて金を貸さない。お金は退蔵され、投資に使われないまま金利だけが積み上がる。そこで、国が国債を銀行に売り、その代金を政府支出を通じて市中に散布する。しかし国の借金は、返済のための増税を引き寄せるため買い控えを招く。結局、最初にもどって堂々巡り繰り返すことになる。今の社会のラフスケッチはこんなものだろう。金利を上回る経済成長が期待出来なくなった今、裏付けを失った金利はいかがわしい金融商品に姿を変え、繰り返しバブルを引き起こしている。

本書はその根本原因を、「誰かが借金をしなければお金が発行されない仕組みが持続不可能である」ことと、喝破する。ゆえに、金利に紐づけされない政府紙幣の発行と、それを国民に配当することにより経済の活性化と民主化を実現できると主張する。確かに、今までの制度的枠組みのなかで数字を上げ下げしても、構造的デフレを解決できないことはアベノミクスが証明している。著者はこの自説を、自ら政党を作り議会の力で推し進めようとしている。正直この方法は、スポンサーを敵に回すような行為で難しいように思う。しかしこの本を読めば、経済の原点は良質なモノやサービスを広く世の中にゆき渡らせることであることを、私たちに思い起こさせてくれる。そして、行動のきっかけを導くだろう。

混同されがちな、企業経営と国家経営の違いに関する論説も鋭いものがある。国家経営の目的は営利ではなく、国民が持つ時間と労力を活かし切ることであるという著者の視座は、民営化やコストカットを是とする新自由主義に対抗する梃子になるに違いない。さらに土地国有化という大胆な提言もなされる。こういう意見が金融の現場をよく知る元ディーラーから出るのが、今の危機的な時代状況を現しているように感じる。


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