京都デモ情報《ブログ版》

京都周辺で開催されるデモ行進・街宣・イベント・裁判・選挙等の情報を共有するためのページです。

【書評】資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐 マルクス・ガブリエル (著), マイケル・ハート (著), ポール・メイソン (著), 斎藤 幸平 (編集)

2019年08月31日 | デモ



本書に登場する四人の論者が共通して重要なテーマとしているのが、デジタルテクノロジーをいかにコントロールしていくのかという問題だ。今のところデジタルテクノロジーは、GAFAに代表される巨大独占企業に管理運営されており、デジタルテクノロジーが本来持つはずのネットワークと民主的機能を疎外している。これが資本主義に根底的変革をもたらす、ポストキャピタリズム到来の妨げとなっている。

しかし、対抗する四人の解決策はその未来像に比較すると、相当遠慮したものになっている。曰く、選挙、啓蒙、教育、法規制、新省庁建設…。彼らもこれでGAFAに勝てるとは本気で思っていないだろう。思想界も今だに、分業とそれを中央で束ねる19世紀型産業社会の残滓と、ソ連崩壊ショックに足を絡め取られているように思われる。盛んに資本主義崩壊の危機を煽るが、本当に足元を浸食する危機を具体的イメージとして捉えられているのか疑問。

とはいえ、本書の中で新時代を迎えるための標的は明確化されている。それは情報と所有だ。情報と所有を奪い返し我々自身で創造し運営するポストキャピタリズムへ。そのためにはどのような行動が必要なのか、トライ&エラーで確かめることが読者に与えられた宿題のようだ。


8・31安倍政権打倒デモ開催のお知らせ

2019年08月17日 | デモ



★韓国連帯・表現の自由勝ち取れ・改憲阻止!
【安倍政権打倒デモ@京都】

徴用工問題を逆恨みする安倍政権は、韓国に対して経済侵略を仕掛けています。名古屋では「平和の少女像」をはじめとする展示が中止に追い込まれました。韓国を敵視する安倍政権は、アジアの平和と人権の妨害者です。韓国をはじめとする世界各国で反安倍、安倍政権打倒の声が上がっています。日本の民衆は、安倍に追従するのか、アジアの民衆と連帯するのか、問われています。京都から安倍政権打倒の声を響かせ、韓国民衆へ友情の証を送ろう!
◆日時:2019年8月31日(土)
    18:30集合19:00出発
◆集合:京都市役所広場
◆コース:京都市役所~四条河原町~円山公園
◆主催:e未来の会
◆手製プラカード、のぼり、横断幕、楽器持ち込み歓迎
※シェア拡散よろしくお願いします。





【書評】世界の中心でAIをさけぶ (片山恭一)

2019年08月07日 | 書評



◆人間はAIにデータを吸い取られアルゴリズムとして管理運営される
◆人間が行う労働は減少し、超巨大IT企業がベーシックインカムを与える
◆電脳空間上でほぼ無料の娯楽が大量かつ迅速に提供される
◆仮想通貨を介して様々な経済圏ができる
◆国家は超巨大IT企業に取って代わられ解体していく

本書で描かれるシンギュラリティ到来前後の未来像を抜き書きすると、こんな感じになる。つまりシンギュラリティは地球を覆い尽くす宗教になる。それは近代が押し進めてきた人間社会の原子化の行尽いた先であり、AIで最適化された世界からは不景気も戦争も環境破壊も無くなるだろう。

だが著者は、デジタルにお膳立てされた人生に何の喜びや価値があるのかと煩悶し、デジタルに還元されない人間固有の自然的価値を見出そうと呼びかける。そして、バラバラにされた人間がAIの網に支配される世界に、人間同士の交流から起ち現れる「私よりも近いあなた」を対置し、それを仮想通貨の形で贈与しあう世界を構想する。

これは疎外に対して観念的な類的本質を併存させるロマン主義的宗教だ。現実の階級分断が存在する社会に美文で装飾された精神的聖域を架橋しても、VRよりもはるかに効果の劣るガス抜きにしかならない。AIと私たちの直接的交流を妨げるものに対して私たちが抗わない限り、私たちはデータ端末の一片として生きるしかないだろう。

思考の足がかりやヒントとして、本書は一読の価値がある。