【書評】コミック版二十歳の原点 (原作：高野悦子 作画： 岡田 鯛)

社会運動の主役が、労働者から中産階級に移り変る時代の狭間に生まれた「二十歳の原点」は、青春に殉ずることで永遠の無垢を得ようとする学生の護符であった。それが２０１９年になって、人生指南漫画の体裁になってリバイバルした。そうでもしないと、今の時代には共感を得にくいのだろう。本の帯は「今のままじゃダメ」だと感じている人に向けているが、「今のままでいいのだろうか」と感じている人にこそ「二十歳の原点」は回路を用意してくれている。「コミック版二十歳の原点」は、労働者となる学生の魂と併走してくれるだろうか。