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【書評】未来のプルードン——資本主義もマルクス主義も超えて

2020年06月17日 | 書評



プルードンは資本主義から搾取、利子、相続、地代といった収奪を排除し、公正な市場競争を行う中から等価交換を実現しようとする相互的結び付きを広げることにより、国家の占める余地がない無政府主義社会を目指した。一昔前のマルクスプルードン論争では、このような資本主義国家の枠中から改良主義的自律経済圏を作ろうという、その非現実性をマルクス主義者にあげつらわれるのがオチだった。しかし、インターネットやAI、ブロックチェーンの進化が、消費者と生産者を直接結びつけ純粋な等価交換を可能たらしめる未来を可視化させ、プルードンを蘇らせようとしている。その息吹きを、本書は「マルクスかプルードンか」ではなく「マルクスからプルードンへ」という、新たな交錯として提示する。読者は、全ての民衆がアソシアシオンとデジタル技術を自主管理する担い手として意識変革していく道筋に、権威と権力を無効化するアナーキーが立ち現れるのをリアルに感じられるだろう。