京都デモ情報《ブログ版》

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【書評】幕末未完の革命 水戸藩の叛乱と内戦 (長崎浩)

2020年01月26日 | 書評



幕末、西洋列強という外敵の襲来を前にして、江戸幕藩体制の理念や権力システムは機能を失調した。
「日本国が観念としても現実にも存在しない」(p195)
という、空白期が到来したのである。その間、徳川御三家である水戸藩は、この空白を自己の主導のもと、尊王、攘夷、佐幕の枠組みでもって幕政を改革しようとした。だがそのことが逆に、尊王、攘夷、佐幕、それぞれの立場を際立たせ分裂を促進し、水戸藩と江戸幕府を追い詰め水戸藩全領民を巻き込む領内内戦へと導く。なぜそうなったのか?
「日本から国家が失われている」(p195)
としても、既存の制度やイデオロギー、それに従属する人々という巨大な形骸は残っている。この現実性に誘導され、形骸に添え木をするような折衷案や、ひたすら事態好転を待つ待機主義に陥り主体性を喪失した時、降りかかる事象に右往左往しながら、次々と意図しない事態を招く負の弁証法を重ねる。そして、水戸藩によって政治的集団として動員された水戸藩領民の圧力が、逆に水戸藩武士達を退くに退けない立場に追いやり、それが弁証法的運動を加速させていく。本書はそのダイナミズムを、幕末水戸藩を舞台にして緻密に分析している。
「だが、今日のリアルが明日のリアルかどうか、図り難いのが危機の時代であり集団の運命である」(p87)
『「威儀ニ公以来の』の我が藩の忠孝のもとに団結せよと呼びかけるばかりで、弊藩滅びても苦しからずというように、我が藩自体を改めて対象化する視点がない』(p87)
江戸幕府から物理的にも精神的にも近いという条件に縛られた水戸藩は、現状打破のための実力行動を繰り返しながら、ついに開国と攘夷、尊王と佐幕の矛盾に向き合うことができず引き裂かれ粉々になった。
「国体が危ない。国体の精神こそ尊王なのだから、尊王すなわち攘夷だ。攘夷は尊王だ。国体論の観念の威力が彼らに取り憑いて離れない。そしてこれがまた水戸藩が時勢に取り残されるように機能した」(p160)
幕末の日本社会は、水戸藩の悲劇を避けるには尊王攘夷を倒幕の方向に組み替えるしかないことを学んだ。明治維新は水戸藩を生贄にすることで達成されたともいえる。今、再び国家の不在という時代を向えて、我々は本書で蘇る「幕末未完の革命」を再び汲み取る必要があるだろう。悲劇の後追いをしないためと、革命完遂のために。


1・11【戦争反対デモ@京都】開催のお知らせ

2020年01月09日 | デモ


【戦争反対デモ@京都】
第3次世界大戦は御免だ!中東に平和を!アジアに平和を!世界に平和を!平和を求める世界の民衆と連帯し、京都から声を上げよう!
◆日時:2020年1月11日(土)
 午後3時30分集合 午後4時出発
◆集合場所:京都市役所広場
◆デモコース:京都市役所前~四条河原町交差点~円山公園
◆呼びかけ:e未来の会
◆手製プラカード、のぼり、楽器持ち込み歓迎


(京都市役所地図)