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【書評】差し迫る、 福島原発1号機の倒壊と日本滅亡

2023年12月14日 | 書評




福島原発事故収束作業は行き詰っている。溶け落ちた880トンもの核燃料デブリが原子炉圧力容器直下で鎮座し、相当分が原子炉格納容器底部にはみ出している。そして、この核燃料デブリが原子炉を支えるコンクリートを溶かしたため強度不足となり、震度6強の地震で原子炉圧力容器ごと倒壊する可能性が高い。それだけでも3・11を超える大事故だが、核燃料プールを巻き込めば放射性ダストの飛散により史上類例のない惨事となる。つまり我々は、日本滅亡と隣り合わせ運任せの日常にある。この現状を本書は、科学に基づき淡々と明らかにしてゆく。

思えば3・11から12年もの間、日本社会は福島原発事故を見て見ないふりしてきた。その象徴が東京オリンピックだ。覚えているだろうか、このオリンピックが「復興五輪」と呼ばれていたことを。今となっては噴飯もので、東京オリンピックのトの字も話題にならない。復興どころか、日本の衰退を全世界にさらけ出したからだ。我々は高度経済成長の果てに突き付けられた、この敗北をいい加減認めなければならない。にもかかわらず、まだ大阪万博や札幌冬季五輪といった昭和の戦後復興二番煎じ劇を演出し、その真打である原発再推進に執着している。小型原発や核融合など悪足掻きでしかない。

読後、原子炉倒壊を防ぐことが我が国の最優先課題だと分かる。そして福島原発事故収束作業をどうするのか、考えなければならない。原子炉倒壊を防ぐにはどうしたらいいのか。核燃料デブリを取り出せるのか否か。著者は、日本の経済成長を支えた技術者らしい修繕案を提示する。けれども、無限の熱エネルギーを渇望する非合理な社会に触れることなく、技術的合理性だけ囲い込み抜き出しても通用せず跳ね返されるだろう。何せ日本は、官民一体で放射能汚染水を処理水と言い換え海に棄てる国だ。そもそも核燃料デブリを取り出すべきなのか、仮に取り出せたとして何処に保管するのか、展望は見えてこない。今の政治経済体制の下ではどの政党が政権を担おうとも、見て見ないふりを国是とする圧力に支配される。

我々は「台湾危機」などにかまけている余裕はないはずだが、フクシマという本当の危機から目を背けるためなら何でも乗るらしい。そんな日本人の都合や俗世の権益争いなどお構いなしに、その時はやってくる。崩壊寸前の原子炉を支えるコンクリートは、日々冷却水や放射線、潮風に晒されている。また、幾多の地震によるダメージも蓄積していく。本書は福島原発1号機に焦点を当てているが、2号機3号機も1号機と同様かより酷い状態だと考えられる。あえて言えばもう時間切れであり、日本社会は文明転換の捨て駒になる覚悟を持つべきステージへ移行したのだ。



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