泰西古典絵画紀行

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サムソンの物語 The Story of Samson(3) 旧約聖書 士師記15章

2012-08-16 21:41:11 | バロック期迄の版画と素描


ロバの下顎骨でペリシテ人たちを打ち倒すサムソン
Samson smiting the Philistines with the jawbone of an ass
engraving on paper, round plate, app.26.7 mm (diameter); c.1560
Lettered on a shield below "Martin / heems / kerck / inven" and "Philippus gallus fecit H. Cock excu". Numbered below "4".
invented by Maarten van Heemskerck; engraved by Philips Galle; published by Hieronymus Cock
from "The Story of Samson";group of 5 engravings,(New Hollstein 85-90)

 (妻との間を引き裂かれたサムソンはペリシテ人に報復する).遠方のペリシテ人の小麦畑は,サムソンが300匹のジャッカルの対の尾に松明をつけ放ったため火の手が上がっており,そこに諸手を挙げたサムソンが描かれている.(これを見たペリシテ人はさらに妻だった女性を焼き殺してしまう.これを知ったサムソンは,同族によってペリシテ人の前に連行されたとき),彼ら1000人を手近にあったロバの顎骨で徹底的に打ち殺してしまう.下方には死体の山が広がる.顎骨の辺りから出た水を飲むサムソンが中景にやはり異時同図法で描かれているが,サムソンが顎骨を投げ捨てた高台「ラマト・レヒ」でのどの渇きを主に祈ると,主はその地を割いて「エン・ハコレ」(祈るものの泉)を与えられ,そこから水を飲んだというのが正しく,後世誤訳のため,顎骨から水を飲むサムソンがよく描かれている.連作の第四作.