「生協だれでも9条ネットワーク」

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【情報】オバマ大統領の広島スピーチに立ち会った岩佐幹三さんに聞く(寄稿)

2016-05-28 23:59:10 | 情報提供


<管理人より>
 伊勢志摩サミット終了後、5/27(金)夕方、オバマ大統領がアメリカ大統領として初めて広島を訪問し、平和記念公園の記念碑への献花を行った。
 その翌日5/28(土)午後、「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」の第4回通常総会に参加し、代表理事の岩佐幹三さんの冒頭の挨拶で、オバマ大統領の広島スピーチに立ち会った時の感想をお聞きした。

【情報】オバマ大統領の広島スピーチに立ち会った岩佐幹三さんに聞く(寄稿)

(5/27の立会い前に書かれた原稿を踏まえ、口頭で補いながらの挨拶より抜粋してのご紹介)

 5/27にオバマ米国大統領の広島訪問にあたって、外務省からの指名で日本被団協の三代表委員と田中事務局長が被爆者やその他の参拝者の皆さんと一緒に出迎えることになり、私も広島まで出かけることになりました。同大統領のメッセージに答えられるものなら、初心を忘れずにこれからも「核兵器のない世界」の実現をめざして国際的な世論、国際的な運動の先頭に立ち続けて欲しいし、私たちもその動きを期待し、多くの皆さんと共に支えていく決意を伝えられたら素晴らしいなと思っていました。ま、伝えることはできませんでしたし、一緒にお話をすることもできませんでした。
(管理人注記:当初の予定メンバーと報道されていた長崎の谷口さんが入院中で欠席となり、米軍捕虜の被爆の研究を続けていた森重昭さんに変更になったと思われ、広島の坪井直さんと森さんの2人とだけの会話となった。これを米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は、謝罪との受け止めを避けたいオバマ氏は被爆者と私的な場で会わず、公衆の場での短時間の会話に留めたと指摘。)

 しかしですね、広島で発行された新聞をいろいろな会社のを持ってきましたけど、新聞が一番期待したのは謝罪の問題だったんでしょうね。記者会見の時もそれが出て、坪井さん、田中さんに質問が集中しました。
 私は、オバマ大統領のあの初心(2009年のプラハ演説の内容と思われる)は素晴らしいものだったと思います。何故かといいますと、米国大統領としてではなく、人類の代表として言ってる。あれは人類としての謝罪で、人類として考えてこういうことはあってはならないとということで、人類の歴史から縷々述べている。みんなで考えましょうと言っているんです。
 だから米国大統領として来て、謝罪について何か言わなきゃならないのではないかといった期待を持たれていたが、これはやっぱり非常に難しい問題。オバマ大統領の立場に立ったら本当にやりたいことがやれてないと思います。いろんな形で抑えられる。たとえばCTBT(包括的核実験禁止条約)だって、上院の共和党多数派が抑えていて批准できないんです。そういった形で足をひっぱっている。単に原爆の使用は戦争を早めに終結させるために必要だったという世論だけでない。アメリカの核兵器保有国としての威信を考える人が多いんですね。そういう人の中で彼は「核兵器のない世界」を打ち出して、そのために頑張ろうとしたんです。
 彼は、核の問題に関して太陽発電、風力発電推進といったことまで言ってるんですができていません。やっぱり反対の力がものすごいんだと思います。核兵器がなくせないというのは単に保有国が反対するというだけでなく、原子力企業や経済界が「核依存」というものを考えているからだと思います。
 そういう中で彼は「核兵器をなくそう」と言っている。その立場を考えると、そのことが言えなかったことについていろいろ言うことはできます。だけれど、彼の本心をやっぱり受けとめてやりたいと思う。
 彼は核のない世界について一緒に考えて進んでいきましょうと。それは人類の課題、責任ですよと言っているんです。そのことを私は受けとめて帰ってきました。いい発言だったと思います。
 それに比べてアベさんのは、日米共同の云々、そんなことで他人に依存しておんぶして核の問題を考えろという。日本ではどうなんでしょうかね。日本はどう考えたらいいんでしょうかね。(オバマさんとアベさんの比較評価部分は省略)
 そのような印象を受けて帰りました。オバマさんがこれからもやってくれるんだったら、辞めてからも、もう一度日本に来たり、国際世論、国際運動の中核になるような立場で活動をしてほしいと願っております。

<関連しての情報リンク>
オバマ大統領広島スピーチ全文
naverまとめ記事は以下(タイトルは皮肉たっぷりですが)
浮かれてるの日本だけ。海外が報じた「オバマ演説」

 私も当日の夜の「報道ステーション」で被爆者代表や広島市長、長崎市長らが並ぶ席が映った時に3列目にいる岩佐さんのお姿をしっかり見つけた。同番組では、安倍首相のスピーチと対照的な国連で「核兵器禁止条約」についての討議での日本代表の態度が対照的に紹介された。核兵器禁止条約締結のリーダーシップを取っているメキシコ代表から唯一の被爆国なのにと鋭い突っ込みを受けても、核兵器の使用については安全保障政策との関係もあってすぐに禁止に賛成できないという態度を貫いてしまっていた。岩佐さんの「日本はどう考えたらいいんでしょうかね」という言及は、そういう問題をさしているのではないかと思えた。(12/19「ヒロシマ・ナガサキを語り受け継ぐつどい」での川崎哲さんの講演概要を参照)

 冒頭の写真は、「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」の正会員として総会に出席された斎藤嘉璋さんが岩佐さんに、著書のブックレット『平和とよりよい生活のために 生協の歴史から戦争と平和を学ぶ』を謹呈したことの記念に私が撮影させていただいた1枚。
 「生協だれでも9条ネットワーク」のブログが昨年10月の開設以来、一昨日おかげさまで1万アクセスを突破したことを祝う記事として、お二人の2ショット写真とともにアップさせていただいた次第。
皆様のアクセスに感謝いたしますm(_ _)m

(5/29追記)
多くの方にシェアしていただいているようです。有難うございますm(_ _)m
岩佐さんは、最後の挨拶では「オバマさんは記憶を風化させてはいけないと言っていました。まさにこの記憶遺産を継承する会の活動が大事なんです」と言及されていました。皆様、どうぞ会の活動へのご協力もお願いいたします。「継承活動に取り組む人々をつなぐプロジェクト(仮)」のボランティア募集もされています。
「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」ホームページのボランティア募集のお知らせはこちら

それと、つけようと思って失念していた関連情報のリンク記事もここで1つつけさせていただきますね。
ゲバラが広島で発した「悲痛な言葉」 オバマ大統領は何を語る?

(5/31リンクの追加)
共同運営ブログ「リベラル21」で広島でのオバマ・スピーチについて書かれた記事をご紹介。お二人とも辛口ですが。
伊藤 力司 氏(ジャーナリスト)
岩垂 弘 氏(ジャーナリスト)

(6/3リンクの追加)
オバマ大統領の広島スピーチは誰が書いた?「何度も手直し」手書き原稿公開

「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」第4回通常総会の報告記事が「継承ブログ」に掲載され、岩佐幹三代表理事のご挨拶文も紹介されましたので、こちらにもリンクいたします。


1 コメント

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オバマ大統領って50代半ばなんですねぇ (K.M)
2016-06-03 23:48:33
「生協だれでも9条ネットワーク」のブログへのアクセスが1万を突破した記念記事ということですが、「いいね!」と「シェア」の合計が50を超えているのは嬉しいことですね。
それと、あっと思いついたのがオバマ大統領の年齢が私より年下で若いということ。1961年8月4日生まれで大統領就任時は48歳で、退任しても55歳です。後任を争うヒラリー・クリントンは1947年10月26日 生まれで14歳年上、トランプは1946年6月14日生まれで15歳も上。いずれが勝っても70歳前後での大統領就任ということで驚きます。
オバマが40代で大統領になったからこそ、若さの勢いでプラハの演説ができたのかもしれないと思えてきました。まだまだ50代も半ばなのだから、岩佐幹三さんが「 オバマさんがこれからもやってくれるんだったら、辞めてからも、もう一度日本に来たり、国際世論、国際運動の中核になるような立場で活動をしてほしいと願っております」とおっしゃったように、ノーベル平和賞受賞者としての責任を果たして欲しいですね。
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