douce vie

現代アートを中心に、色々と考えた事とかを日々綴っています。主に関西の展覧会の感想なども書いております。

一途で健気なお姫様

2005-01-18 | 歌舞伎
NHKの番組「芸能花舞台」で「本朝廿四考 狐火」をやっていたので、録画していた。
ようやく見る。

歌舞伎の舞台で「本朝廿四考」を観た事がある気がするのだけれど、さっぱり思い出せない。
確か三之助(市川新之助(今の海老蔵)、尾上菊之助、尾上辰之助(今は松緑、のはず))で
やっていたと思うんだけどなあ。濡衣が玉三郎だった、と思うんだけどなあ。
もう7、8年前の事でほとんど忘れている自分にがっかり。
ちゃんと記録しておかないとだめだ。もったいない。

「狐火」は「本朝廿四考」の中の一部で、夫を救う為に八重垣姫が
氷が張って船も通れぬ湖を渡っていく場面。
ちなみに「本朝廿四考」の八重垣姫は、
「金閣寺」の雪姫、「鎌倉三代記」の時姫とともに三姫と呼ばれ女形の難役とされている。

八重垣姫を市川笑三郎。
藤間紫のオリジナルの振り付け、演出で踊る。
舞台を映したものではなく、スタジオに設えたセットで踊るという趣向。
そのせいで、水面に狐の顔が浮かび上がったり、
蒼い狐火がゆらゆらしていたり、
兜が宙に浮かび上がったり、
八重垣姫の着物が(本当に早替わりじゃなくて)一瞬で赤から白に変わったりして、
それはちょっとどうか、と首をかしげたくなるようなところもあった。

美しい笑三郎の演じる八重垣姫が愛する夫を救おうと
狐に憑かれてまで薄氷の湖を渡っていく様には心打たれる。
雪の降る中、狐火に導かれ、舞い狂う八重垣姫。

「おまえは純愛なんてわからないだろ」と本日ばかにされた私だけど、
この一途で健気なお姫様が純愛でなくてなんであろう。
愛しい人の為になら、蛇にも狐にもなる女の情念。

「おまえは歪んでたり陰がないとだめだろ」って
あ、確かにちょっとそうかも。

ぐちゃぐちゃのエンタテインメント

2005-01-18 | 映画
忠臣蔵外伝 四谷怪談  深作欣二監督

忠臣蔵と四谷怪談を足した話。
伊右衛門が吉良の討ち入りに加わっていたかも、という設定になっている。
どちらも有名な話で知っていても良いはずなのに、どうにも思い出せない。
忠臣蔵は歌舞伎で通し狂言を見たし、
四谷怪談の方は京極夏彦の「嗤う伊右衛門」を読んだんだけどなあ。
あまり知らなくても楽しめるけど、知ってたらもっと面白かった気がする。

唖然としているうちに、あっという間に終わってしまった。

最初と最後の音楽。高岡早紀の裸体。渡辺えり子の風貌。
途中から力技で討ち入りに持っていってしまうストーリー展開。

時にポカンとしてしまうくらいの強引さだけど、そこはエンタテインメント。飽きさせない。

情念が色彩に絡み付き、妖しさ、おどろおどろしさ、哀しさがマーブル模様みたいにぐちゃぐちゃに混ざりあっていた。

ところで、伊右衛門を演じる佐藤浩市が最後まで芹沢鴨にしか見えなくて
いかに自分が「新選組!」にのめり込んでいたか、を再確認。
高岡早紀が鈴木京香に見えてくる程。
一つそうやってのめり込んでしまうと、今後、他のものを見た時に困るかも。
まだ見ていないけど「壬生義士伝」は、この上なくややこしいことが予想される。
佐藤浩市だけじゃなく堺雅人も出てるんだもん。
あ、でも「SABU」の藤原竜也はあんまり沖田総司を感じなかったな。