douce vie

現代アートを中心に、色々と考えた事とかを日々綴っています。主に関西の展覧会の感想なども書いております。

エモーショナル・ドローイング

2008-12-30 | 美術
エモーショナル・ドローイング 現代美術への視点 @京都国立近代美術館

アジア、中東の作家のドローイング作品を集めた展覧会。

ドローイングといってもアーティストによってその表現は様々で、
そしてどうやら目的もバラバラなものを集めている印象。

作品として見られることを意識していなさそうなものもあれば、
発表することを前提として作られているものもあり、
ちょっと展示としてどうなのかな、と首を傾げたくなった。

作品の完成度を求めるよりは、感情の発露を見ろということかもしれないが、
そのレベルが作家によってあまりにもバラツキがあるので、
全体としては、なんだかよくわからない感じ。

まあ、坂上チユキの作品が見られたので、それだけで満足。

アジアとヨーロッパの肖像

2008-12-29 | 美術
アジアとヨーロッパの肖像 SELF and OTHER @国際美術館

アジアとヨーロッパがそれぞれ、自ら(SELF)をとお互い(OTHER)をどのように捉えていたのか、
というテーマのもとに作品を構成した展覧会。

近代までは、なんとなく西洋中心的なものを感じたし、
テーマがはっきりしているので、牽強付会?って思わないこともなかったけれど、
展覧会の流れは、とても面白かった。
やっぱり人間って見知らぬものに対する警戒心とかは共通なのだな、と。
それでも、いずれはそれを受け入れ、取り入れて行くものなのだな、と。

現代においての自己と他者はもうアジアやヨーロッパのくくりではなくなるところも
興味深いですなー。
現代は、自己を確立するための帰属感が薄いということなのかな。
拠り所というか立ち位置が定まらんと、他者も定義しづらそうだ。

見てから時間が経ち過ぎて、色々忘れてしまいました。

アネット・メサジェ:生と俗の使者たち

2008-12-28 | 美術
アネット・メサジェ:生と俗の使者たち @森美術館

フランスの女性アーティストの個展。

2005年ヴェネツィア・ビエンナーレのフランス館で展示された「CASINO」が
何よりも凄かった。
これはピノキオの物語をベースとした作品で、今回の展示はその一部とのこと。
そう聞くと全部見たいがな…
ピノキオがクジラ? サメ? なんだっけ? の体内に飲み込まれた場面を表していて、
血液が流れ出てくるような赤い布の下に、ぼんやりと光るオブジェ。
胎内を思わせる空間から離れがたく、かなりの長居を。

ぬいぐるみやオモチャという可愛いものに潜む毒。
だけど「女の子って可愛いだけじゃないのよ」っていう、
安易でめんどくさい主張に流れていない。ぎりぎり踏みとどまっている。
そのアイロニーが良いと思った。

サヴァイヴァル・アクション

2008-12-28 | 美術
サヴァイヴァル・アクション ー新収蔵作品を中心に @東京現代美術館

現美のコレクション。
雑感を少し。

島袋道浩の「そしてタコに東京観光を贈ることにした」。
明石で捕まえたタコを東京に連れて行き、東京観光をさせて、また海へ帰すっていう、
なんだか、くだらないような映像なんだけど、ついつい見入る。
前からちょっと見てみたかった田中功起の作品も。あまりわからず。
もっと色々見てみたい気はする。
名和晃平と草間彌生の作品が近くにあった。
ドットというモチーフが持つ力というか不穏な空気を感じる。

足立喜一朗の作品は「Space for your future」の時に体験したかったが、
並んでいたのであきらめたやつだった。
マジックミラーで覆われた電話ボックスの中でiPodの音楽を聴くというもの。
電話ボックスの中にはミラーボールが回り、さながら一人ディスコ。
マジックミラーだから、中から外は見えず、外から中は丸見えという意図なんだけど、
会場の明度のせいで、中から外がはっきりわかる。ちょっと気持ちが萎える。
まあ、どっちにしろ踊りはしないんだけど。

また松井智慧。この人の大きな個展があれば良いのに。
毎回、断片ばかりを見ているが、全体像を知りたい。
マシュー・バーニーの作品は「拘束のドローイング9」のスチール写真。
写真だけで見てもなー。映像を見てしまうと、これは物足りない。
マレーネ・デュマスのこちらを睨みつけるような子供の絵。
不信感を露にした子供の強い視線に罪悪感を感じるのはなんでだろう。

色々、持っているんだね。東京都現代美術館。

森山大道ミゲル・リオ=ブランコ写真展

2008-12-28 | 美術
森山大道ミゲル・リオ=ブランコ写真展 共鳴する静かな眼差し @東京都現代美術館

日本の写真家、森山大道がサンパウロを、
ブラジルの写真家、ミゲル・リオ=ブランコが東京を撮った写真展。

森山大道の写真。
モノクロなのに、光と色の洪水、そして街の喧噪がまざまざと感じられる。
行ったことのないところなのに、エネルギーが渦巻く都市の様子がわかる気がした。

ミゲル・リオ=ブランコの写真。
いくらかは知っているはずの東京が、新鮮に見えた。
見たことのあるイメージでも、切り取られ方によってこうなるのか、と驚き。

ネオ・トロピカリア ブラジルの創造力

2008-12-28 | 美術
ネオ・トロピカリア ブラジルの創造力 @東京都現代美術館

今年は日本人ブラジル移住100周年記念ということで、
とてもブラジルがフューチャーされてる。
経済の発展著しい(この不況でちょっと停滞気味?)のBRICsの一国としても
注目を集めているブラジルのアート事情。

全体の印象として。明るくて良い。
おそらくブラジルの土地柄、光が強く原色が映えるのだろう。
カラフルな色の力強さが、とても良かった。

色とりどりのマント(名前忘れた)を着て、音楽を聴きながら踊ろう(誰も踊らんけど)という作品、
場所によって、ヘッドフォンに流れる音楽が変わり、ビーズクッションに座りながら、まったりできる作品、
カラフルな部屋を通り抜け、最後にマンゴージュースが振るまわれる作品。
天井からぶら下がるオブジェを、寝転んで見上げるエルネスト・ネトの「リヴァイアサン」
なんとなく、物質的には多少難があっても、精神的には思い切り楽しもうっていう雰囲気。

楽しかった。

横浜トリエンナーレ <日本郵船海岸通倉庫>

2008-12-28 | 美術
横浜トリエンナーレ @日本郵船海岸通倉庫

もうすっかり日も暮れてから、到着。

勅使河原三郎のパフォーマンスが行われていたんだけど、
並んでも見られるのはいつになるかわからない。多分一時間ぐらいはかかる。
ということだったのであきらめる。

まずヘルマン・ニッチュにびびる。
牛か何かを解体した写真や、血痕と思しきシミの付いた服やら何やら。
ただ、私はこれに免疫があった。
2年程前、ウィーンを旅行した時に見たから。
どうやら、ヘルマン・ニッチュだけではなく、こういう運動というか
表現様式が、ウィーンであったらしく、(VIENNESE ACTIONISMと書いてあった)
えげつない映像やら写真やらが、展示室に大量にあったのだ。
その時の衝撃に比べたら…。

一方、ポール・マッカーシーの映像は完全にアウト。
一瞬で焦点を合わせないようにして、部屋を出ました。
牛を解体は大丈夫でも、人間でのそれは無理。
このあたりどういう感情の構造なのか…。
マシュー・バーニーも微妙…。
「拘束のドローイング」の解体シーンもかなり厳しかったけど、
これもどうか…。そもそもシチュエーションがわからないままだった。

マリナ・アブラモヴィッチも不穏な空気を作り出しているし、
オノ・ヨーコの映像から漂う、強靭すぎる意思に気圧されるし、
大体、この古い倉庫自体、なんだか怖いし。

建物を出た時には、心身疲れ果てました。

このあと、H BOXを観に大さん橋国際客船ターミナルへ向かったが、時間切れ。
そとからだけ眺めた。エルメスの何か。思ったより小さい。

ここで、横浜トリエンナーレ終了。
たくさん見て満足できた反面、突き放されたような展示に不満も残り…
それに、今回の目玉とも言えるパフォーマンスがほとんど見られなかったことも残念。
地方から出掛けて、限られた時間しかない中で、パフォーマンスまでは無理だった。

今回は友人と回った。これは正解だった気がする。
一人だと、もっと暗い気持ちになっただろう。
たとえ水沢さんが暗い気持ちになってほしかったとしても、
やっぱりこういうイベント的な展覧会で暗くはなりたくない。
どっか希望とか明るさがないと、やだ。

何のために現代アートを見てるんだろう。
現代アートに何を見てるんだろう。
そんなことを考えさせられた。

横浜トリエンナーレ <横浜赤レンガ倉庫1号館>

2008-12-28 | 美術
横浜トリエンナーレ @横浜赤レンガ倉庫1号館

ここはパフォーマンスが中心とのこと。何一つ見てないが。
何を見たかな…。記憶がイマイチ…。そういやお茶したな。

映像資料は時間があまりないのでスルー。
テレンス・コーのウサギっぽい何かが可愛かった。
あとは何かなー。なんか並んでいて見られなかったものもあった。

思い出せない。おわり。

横浜トリエンナーレ <新港ピア>

2008-12-28 | 美術
横浜トリエンナーレ @新港ピア

一番作品数の多い、今回のメイン会場。

入った瞬間に既視感。このベニヤ板どっかで…。今回も川俣正?
と思ったら、やっぱり3月に東京現代美術館で行われた「川俣正展」で使われたものと同じベニヤ板らしい。
会場設営をする会社が同じだとか。そっか。そういうこともあるのか。

なんかベニヤ板のせいか、仮設感のある会場構成。
どこに何があるのか、わかりにくいのは三渓園と一緒。
入り口で買ったガイドブックを片手に一つ一つ見て行くが、
途中でもうガイドブックを見るのはめんどくさくなって止めた。
どうせ、目の前にある作品の解説ではないんだし。

今となっては作品名がわかりません。
チラシに書いてないんだもん。HPにも載ってないし。
会場の表示もわかりにくく、探した。

覚えているところでは、ペドロ・レイエスの「Baby Marx」。
ひょっこりひょうたん島風のほのぼのとした人形を使って、ずいぶんと風刺的な映像。
人形そのものも展示してあったので、格好の被写体になっていた。
そう、この展覧会。写真が全然オーケーだったので、
ケータイやデジカメがいたるところで、見られた。ちょっと驚き。そうか、いいのか。

あとペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイスのネズミとクマ(パンダ?)も
とってもかわいかった。呼吸しているかのように動くぬいぐるみに、最初はびびったけど。
他にも、色々と気になるものはあったのだけど、いかんせん作品名もアーティスト名も
今となっては良くわからない。
会場全体としては、まずまずの見応えで、お腹いっぱいにはなりました。


横浜トリエンナーレ <三渓園>

2008-12-28 | 美術
横浜トリエンナーレ @三渓園

もうとっくに終わってしまいましたが、今年の展覧会は今年のうちに…

横浜トリエンナーレの会場の一つ、本牧にある大きな日本庭園、三渓園へ。

今ひとつ、やる気がないというか、他人事な雰囲気を感じたんだけど、三渓園側に。
気のせいかな。
というか、三渓園から行くべきではなかったかも。
チラシも物販もチケットも何もなかった。
どこに何があるのか…探り探りで。


中谷芙二子の作品。小さな滝を光と霧で演出。「雨月物語」
幻想的で、タイムスリップしたような感じを受ける。おお、これがタイムクレヴァス?

ここでの作品では、ティノ・セーガルの「キス」も良かった。
古い建築の中で、男女二人のダンサーが繰り広げるパフォーマンス。
このドキドキ感は、なかなか得られないかも。

ホルヘ・マキとエドガルド・ルドニツキーの作品は時間が合わなくて見られず。
キャメロン・ジェイミーは出展しませんでした、みたいな看板が…何があったのかな。
まあ、そんな感じで。そこそこ。

小ネタ。


大量の鯉。

三渓園には大きな池があって、そこには大量の鯉が生息していた。
外国人が楽しそうにえさをやっていて、鯉がえさを食う度に歓声があがっていた。
えさをやって集まった瞬間を撮ってやろう、と私はカメラを構え、上の写真を撮った。
それからも、無尽蔵に増え続ける鯉。もっと集まった写真を撮れるかも、と待ち構える私。
そして、次に(外国人が)えさをやった瞬間、私は思わず「ぎゃー」と叫び、逃げた。
増え過ぎた鯉の怖さたるや、もう…筆舌に尽くしがたい。
だからこそ写真を撮りたかったが、正視できないもん。あんなグロテスクなもの。