douce vie

現代アートを中心に、色々と考えた事とかを日々綴っています。主に関西の展覧会の感想なども書いております。

小林鷹 写真展

2008-04-29 | 美術
小林鷹 写真展 SERENITY ~静かに時は流れる~ @PAXREX

広告写真で活躍している写真家の個展。
ネスカフェやシャープ、森永のCMや広告写真を撮っているそう。

世界中の風景写真。手漉き和紙にプリントしてあるせいか、
輪郭がぼやけていて、どこか優しい印象。
アメリカのニューオリンズ、フランスのパリやニース、
などとその風景の場所は記されているのだけれど、
モンサンミッシェルを除けば、どこともわからない風景。
そんな世界の何処かにあるはずの風景をぼんやりと眺めていると、
また、旅に出たい、どこか行きたい、という気持ちに捕われた。
会社の昼休み中に行ったので、その気持ちは余計に強かった。
会社に戻りたくなかった…

この人の作品にはアクオスの広告で使われている「和花」というシリーズもあって、
そちらも少し見せていただいた。やはり和紙にプリントしてあるので、
なんだか日本画のようにも見えた。写真にも色々な表現があるな。

京谷美穂展

2008-04-29 | 美術
京谷美穂展 Afterimageー残像 @ギャラリーヤマキファインアート

「残像」というだけあって、どれも影のような絵が多かった。
砂を混ぜているらしく、ところどころ表面がざらっとしている。
それがなんだか地面にうつる影のように見える絵があった。

これまで風景画を主に描いていたらしく、人物画は初めてとのこと。
置いてあった今までの作品ファイルを見ると、
パステル調のパリの街角みたいな作品が並んでいた。
私は断然、この影のような残像の絵の方が好みだな。


今年度の金沢21世紀美術館

2008-04-09 | 雑記
ちょっと前のクーリエジャポンにSANAAの記事が載っていて。
去年、ニューヨークにオープンした「ニュー・ミュージアム」についてで、
記事元ははドイツ。世界的な評価を受けてるんだなー。
箱をずらして積み上げたような建物。中はどうなっているんだろう。
変わっている面白い建物で行ってみたいが、ニューヨークか…

ニューヨークまで行けなくても、とりあえず金沢には行きたい。
金沢21世紀美術館の今年度の企画展はどれも見たいなあ。
まず、ロン・ミュエック。巨大な人間を作る人ですね。
以前、ヴェネツィア・ビエンナーレで見て、かなり度肝を抜かれた。
次のサイトウマコト。この人はデザイナーかな。
au design projectのペンクを長年愛用していた私としては、
行っておきたいところ。
そしてなにより杉本博司展。これは絶対に行く。
楽しみだ。

比べてみると

2008-04-08 | 雑記
本日、バレエを見た。
人魚姫の物語を描いた「リトルマーメイド」というオーストラリアのバレエ団の公演。
普段、生でバレエを見る機会がないので、新鮮だった。

海の中での場面の振付けとか工夫してあって面白いなーと思って見ていたのだけど、
バレエを見るのが久しぶりすぎて、これが良いのか普通なのかとかがよくわからない。
普段、絵とか映画とか歌舞伎とか見るときは、自分の中に今までの見てきた経験があるから、
それと比較して、(自分にとって)これは面白いとか面白くないとか判断できる。
だけど、普段接していないものだと、自分の中にデータがないから、
なんとも曖昧な感想になってしまう。

「見る」ことにも経験が必要なんだなー、なんて思ったのでした。

高層ビルのてっぺんで。

2008-04-08 | 美術
クーリエ・ジャポン4月号に森ビル社長の記事があって、これはとても面白かった。

内容としては上海ヒルズのことがメインなんだけど、
興味を惹かれたのは、森社長がル・コルビュジエに惹かれていたというくだり。

六本木ヒルズなどの高層ビルは、
コルビュジエの『バーティカル・ガーデン・シティ』という構想に共感して作られた都市ビジョンだそうで。
それは「建物の高層化を進め、そこに集う人の密度を高めれば、通勤時間を減らし、
公園や市民生活に人間的要素を取り戻すスペースが持てる」という構想。

去年、森美術館で行われたル・コルビュジエ展に行った時、
都市設計というのは人々の人生をも設計することで、
それはなかなか怖いことだな、というようなことを書いた。
コルビュジエの都市計画に関する展示を見ての感想だったのだけれど、
この森美術館、というか六本木ヒルズ自体が、
まさにそのル・コルビュジエの都市計画の構想に端を発したものだったとはね。

MOTアニュアル2008 解きほぐすとき

2008-04-06 | 美術
MOTアニュアル2008 解きほぐすとき @東京都現代美術館

「解きほぐすとき」をテーマに選ばれた若手作家5人のグループ展。

ーーーーーー
目の前にあるものを一度ばらばらに解きほぐしてみると、
その構造や裏側が見えてくることがあります。
ばらばらになった断片の重みや手触りと確かめることは、
その積み重ねとしての全体像を知ることにもつながります。
本展では、解きほぐし、読み解く行為を通じ、自分なりに世界の輪郭を
捉えようと試みる5人の作家を紹介します。
ーーーーーー

とパンフレットには謳われているのだけど、これを初めに読んだ時に
何のことかさっぱりわからなかった。
パンフレットには作家一人一人の作品の制作方法とか、
読み解くガイドのようなものが載っている。これを手がかりにするしかない。
しかし、これもとても難しい。
そうとう、理解能力試されてる? と感じた。

結局、「解きほぐす」「読み解く」ことをあまり考えないで
ぼんやりと見たんだけれど、なんとなく浮かびあがるものがある気もした。
手塚愛子なんてもう、ぱっと見で「解きほぐして」いるんだけど、
他の作家も、境界線だったり、輪郭だったり、をオリジナルの選択で
組み立てているような感じ。

よくわからないところも多かったけど、同じ条件が与えられても、
同じ解にはならないのが、アートなんだから、まあいいか。

川俣正[通路]展

2008-04-05 | 美術
川俣正[通路]展 @東京都現代美術館

美術館は[通路]だった。
館内外に並べられたベニヤ板で作られた通路を歩いていく。
その途中、壁に展示された今までのプロジェクトの資料を見たり、
設置されたラボでまさに現在進行中のプロジェクトを垣間みる。

あーこんなプロジェクトあったなーと軽く懐かしんだりもしたけれど、
終始とまどっていた。
歩いても歩いても出口が見えない。というか答えが見えない。
美術館というのはいつだって目的地であって、通過点ではなかった。
だから、美術館に着けば、あとはそこを楽しめば良い。
なのに、美術館が通過点=通路だって言われてしまったら、
ここからどこへ行くのかわからない。
一日の限られた時間しかそこで過ごす事の出来ない私は、
「通りすがりのもの」でしかない。
どうコミットしていいのかわからないのだから。

ルイ・カーヌ展

2008-04-04 | 美術
ルイ・カーヌ展 @ギャラリー ヤマキ ファインアート

フランスのアーティストの個展。
タイトルに<De l'air colore>とあるのだけど、「色づいた空気」みたいな意味かな。

金属の細かい網の目に色がぽたりぽたりと落とされている。
赤、紫、青、黄色。どれも透明感のある鮮やかな色。
本当なら網の目を滑り落ちてしまうはずの液体が、
網の目に留まっているような様子は不思議。
絵の具に樹脂を混ぜてあるらしい。

見えるはずの無い空気の色が、止まるはずの無い一瞬の時間が、
そこにあった。ような気がした。

ちょっと、美術館まで。

2008-04-03 | 美術
今月のエルマガジンが美術館特集。
かなり充実した内容で、テンションが上がる。
今年中の関西の主な展覧会スケジュールが網羅されているので、
赤ペン片手に読んだ。
最近、東京をうらやんでばかりだった自分を反省。
ちゃんと関西でも色々あるんだから、チェックしていかなければ。

赤丸つけたもののうち、日程が近い展覧会をいくつか。

「アール・ブリュット/交差する魂」@ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
→以前、アウトサイダーアートの本を読んだときから、
ずっと見てみたかった坂上チユキの作品があるみたいなので、絶対行きたい。
たとえ近江八幡は遠くても。
坂上チユキは11月から京都国立近代美術館での「エモーショナル・ドローイング」にも
出品されているらしく、こちらも楽しみ。

「絵画の冒険者 暁斎Kyosai」@京都国立博物館
→かなり面白そうな日本画だ。とんでもなさそうだ。
京都国立博物館は最近随分と集客している感じがするのだけれど。
これも混んでいるのかなあ。

「液晶絵画 Still/Motion」@国立国際美術館
→これは映像なのかな、絵画なのかな。
説明や出品作家からはいまいちピンとこないのだけど、面白そうではある。
森村泰昌、やなぎみわ、ビル・ヴィオラ、オピー・ジュリアン…見たいです。

「COLOR×COLORー色を奏でる作品たち」@伊丹市立美術館
どうやら色をテーマにした収蔵品展のよう。
ここの美術館のコレクションテーマは「諷刺とユーモア」。
ちょっと変わってて面白そう。
収蔵品を変わった切り口で見せてくれるような展覧会は良いな、と思う。

他にもこまごまと回りたいギャラリーがあるけど、まあ全部は無理かな。
まあ、ぼちぼちと。

建築の記憶 ー写真と建築の近現代ー

2008-04-02 | 美術
建築の記憶 ー写真と建築の近現代ー @東京都庭園美術館

近代から現代にかけての建築の写真展。
記録として撮られていた近代の写真から
アーティストの表現の被写体として撮られた現代の写真まで、
幅広く展示してあって、とても見応えがあった。

杉本博司による安藤忠雄の建築物の写真。
畠山直哉による伊藤豊雄のせんだいメディアテークの写真。
鈴木理策による青木淳の青森県立美術館の写真。
記録として始まった写真がたどり着いた、現代のこれらの写真は
写真家と建築家という二人のアーティストの静かな戦いのようだった。

建築というのはやっぱり実際にその場に行って見てこそ、だとは思う。
CASA BRUTUSなどを見ながら、旅に出たくなる事はしょっちゅうだ。
それでも、写真だからこそ、わかる魅力もあるし、
今となっては写真でしか見る事の出来ない建物もある。

アールデコ様式の旧朝香宮邸という展示空間も見どころ。
それぞれの部屋でどんな風に過ごしたんだろう、などと考えたりして。